今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

宿のサービス

2010年01月25日 | 
ホテル花更紗で三泊目。
夕食は広間でとるのだが、そこに料理を運んできた女性が
「本来は地鶏鍋なのですが、鳥肉が苦手とお聞きしたので、
牛の鉄板焼きにさせていただいたのですが、よろしいでしょうか」と言ってきた。
思わず目を丸くして驚きの声をあげ、礼を言った。

この宿を利用して長いが、私は彼らの面前で「鳥肉は苦手」と言明した記憶はない。
公表しているといえば、確かに自分のサイトの自己紹介欄に嫌いな食べ物に「鳥肉」を挙げている。
そして、そのサイトではこの宿を自分のお気に入りの宿として紹介していることもあって、
宿の関係者が私のサイトに行き着いて、読んでいることも知っている。
そのサイト内の情報が厨房にまで伝わったのだろう。

この宿は総檜の浴室も恵那山を望むロケーションも気に入っているが、
もうひとつ気に入っているのは、サービスの質の高さである。

質の高さは、量の多さではない。
たとえば和服を着た従業員が出そろって玄関で一列にお辞儀をするような、
これみよがしの”量的”サービスではない。
言ってみれば、提供する側にコストのかかるサービスではない。
コストはかからないがセンス(感性)が求められる。
センスとは個々の客側の視点に立った、通りいっぺん(マニュアル)でない柔軟な配慮。
これで充分なのである。

この宿は中津川市による第三セクターだが、
そこらの民間の旅館・ホテルよりもサービスの質が高い。
もともと中津川は、中山道の中継地として東西の文化交流の地であり、
文化レベルが高かった(藤村の『夜明け前』を読めばわかる)。
その地にふさわしい洗練を感じる宿だ。

ただ見た目の豪華さ・派手さはないので、
一泊して通り過ぎる客にはさほど印象に残らないかもしれないが。