正月になると、餅を喉に詰らせて死亡するニュースが流れるが
今年も例外でなかった。
めでたい団欒の場面が一転して地獄絵図になるとは…。
餅が喉につまるのは、歳とって嚥下能力が落ちたせい、という以前に、
”食べ方”がまず問題。
テーブルマナーには、食べる作法というのがきちんとある。
しかも餅に限定しない一般則が。
大口を開けて、食べ物をつっこまない。
一口分に分けて食べる。
中世ヨーロッパの作法でも、大口を開けて、口いっぱい食べ物を頬ばるのは、
動物的でみっともないとされていた。
食べ物をかっ込むという行為は、文化を超えて下品とされているのだ。
餅なら、歯で一口分(弱)に切断し、それを呑込むまでは、次を口に入れない。
少量ずつ、落ち着いて食べる。
少量ずつ食べていれば、口にしたものが異常な場合でもすぐに吐き出せる。
作法通り食べていれば、品性だけでなく安全も確保できる。
というより、作法の第一義は安全の確保なのだ。
考え抜かれた作法とは、多重の価値をもっているのだ。