暮れも押し詰まった28日、残す用事は大掃除とお節具材の買物だけとなったので、晴天の一日を山歩きに充てた。
すでに連日休日モードで食べる割りに歩かないため、増加気味になっている体重もなんとかしたい。
といっても相変わらず早起きは苦手だし、慢性化した腸脛靱帯炎を抱えているので近くて軽い山にする。
行き先として思いついたのは、東京・奥多摩にある御岳(みたけ)山。
スピリチュアル志向が高まるにつれ、どうせなら”霊山”に行きたくなる。
この御岳山の信仰の歴史は2千年に及ぶといわれ、信仰の山としてははるかに有名な木曽の御嶽(おんたけ)よりも霊山としての歴史は古い。
御岳なら、山上に飲食店があるので、食料は持参せず、そこで蕎麦を食べたい。
山にはケーブルカーが架かっているので、往きだけ使うことにする(つまり、山歩きというより観光気分)。
その代わり、朝食は抜いて出発。
8時半の遅い出で、山手線から西武新宿線・JR青梅線・バス・ケーブルと乗り継いで、ほとんど歩かずに標高850mの御岳平に11時すぎに着いた(バス停からケーブル乗り口までの急坂は短いがきついので、足の弱い人は注意)。
日本晴れで、スカイツリーを筆頭とする都心のビル群が見える。
山上には雪が残っていて、同じ都内でもここは下界とは異なる空間であることがわかる。
ここから御嶽※神社に向う道は平坦な舗装道路。
※山名は御岳、神社と駅名は御嶽
この御岳山は、山好きになって半年後の中学一年の正月に、運転好きの母と来たのが最初で(買ったばかりのキャラバンシューズを履いてきた)、
翌年は、中学の友人2人を誘って、大晦日の夜に登って(生まれて初めて)初日の出を拝んだ。
すなわち、山が好きになった私にとっての原点ともいえる所。
御岳の山中は、人工物が建ち込んで、深山の雰囲気がない代わりに、山と人とが共存しているこの地独特の雰囲気は好ましい(高尾山よりは観光地化していない)。
山上の食堂街をすぎると神社への長い石段が始まり、一汗かくころ、標高929mの頂上にある御嶽神社に達する。
立派な社殿に参拝して、その奥に行くと、まずは「蔵王権現命」(ざおうごんげんのみこと)と書かれた木の柱が立っていて、触拝所と書いてある。
以前にはなかったと思うし、実際柱は新しい。
崇神天皇創建という伝説はともあれ、ここは明治以前は蔵王権現信仰で栄えた所なので、神仏習合の原点に戻る姿勢は嬉しい。
本殿の真後ろには、オオカミを祀る大口真神(おおくちのまがみ)社があり、実質的な主神の位置を占める。
さらにその最奥には、奥の院(甲龍山,1077m)の鋭峰を拝む遥拝所がある(写真)。
はっきり言って、御岳山は山としてはまったく地味で目立たず、どう見ても、屹立したこの奥の院こそが山岳信仰の対象にふさわしい。
神社のある御岳山は、その遥拝所の位置づけだったのではないか(ただよりマクロ的には、さらにその奥の大岳山こそが主峰の風格を持っている)。
ともあれ境内の摂社群を一巡して、往路を戻る。
食堂街のどこかで山菜そばを食べるつもりだが(山では天ぷらではなく山菜)、値段が表示されない店は入りづらいので、850円と表示されている千本屋に入る。
付け出しに刺し身コンニャク(当地の名物)を出してくれた。
目の前の女性客がカレーを食べていたのを珍しいと思っていたが、後でガイドを見たらこの店の「鹿カレー」(ジビエ料理)が名物らしい。
帰路は、ケーブルを使わず、表参道を麓まで降りる。
道は山上の集落の車が通れるように舗装されているので、杉並木の中を軽快にスタスタ降りる(これが大山のような石段の連続だと膝につらい)。
ケーブル下からバスで来た道を歩き、御岳渓谷(多摩川)の橋を渡る近道を通って御嶽駅に着いた。
隣接の案内所で、名物・御嶽汁のフリーズドライ(2袋500円)を土産に買う。
下りは石段でなかったこともあり、左脚の腸脛靱帯はうずきもしなかったが、最後の最後、高田馬場駅で山手線のホームに降りる階段で、まともに降りれないほどの痛みがきてしまった。
帰宅後、風呂上がりに体重を測ったら、(昼食べた山菜そばが体内にはいっているのに)昨日より1kg減っていた!
ただ、今晩は延期だった甥の誕生会で、ケーキまで食べる予定なので、すぐにリバウンドするだろう。