年も押し詰まった29日、正月準備もおおかた終えたので、
今年最後の山歩きとして奥多摩の高水三山縦走に行った。
三山縦走といっても標高700m台の奥多摩入門のコースで、
奥多摩よりグレードの低い高尾山域卒業後として行く山で、
中学の時に山を始めた私も中二の春に登っている。
そんな手軽な山だが、駅から(バスに乗らずに)直登できる手軽さがいいので、
ふらりと山に行きたい時に候補となる。
高水三山のうち、高水山は山上に寺、惣岳山は山頂に神社があるため、
例によって修行の”峰入り”として行く。
すなわち数珠を片腕に巻き、白鉢巻を額に巻き、ストックを錫杖代わりにして、
登るときは「懺悔、懺悔、六根清浄」と唱え(富士講が採用しているこの懺悔文が呼吸と合わせやすい)、
山上の寺社では真言を唱えるのだ。
青梅線が奥多摩の深い峡谷の入り口に達する軍畑(いくさばた)で降りる。
本来人気の山だが、押し詰まった時期の平日なので、降りた登山客は私の他に3名しかいない。
谷あいの道路を北上すると、不動三尊の珍しい石仏がある。
制吒迦迦童子の不敵な顔に高校の時以来注目している石仏で、通るたびに写真に収める(写真)。
峰入りなので道端の石仏・祠にも必ず立ち寄って拝む。
高水山(759m)の山上にある常福院(真言宗)は、
何やら大掃除の様子だが、波切不動を本尊としており、不動の真言を唱えて参拝し、梵鐘を静かに撞いた。
三山の中間にあり最高峰の岩茸石山(793m)だけは信仰と無縁だが、展望がよく、昼食で休むのに良い。
かような場所なので、数パーティが食事を楽しでいる。
冬の快晴のおかげで、東隣の高水山の向こうには都心の高層ビル群(スカイツリーも)が見え、
北東には常陸の筑波山、北には奥武蔵高原の奥に上州赤城山の白い頂が顔を出す。
かように奥多摩の山にしては展望が広い。
持参したおにぎり2つを食べて出発。
ここからの尾根道は以前は樹林帯だったが、今は東斜面の植林が伐採されて麓まで開けている。
都内の林業が維持されているのはいいことだ。
三山最後の惣岳山(756m)へは急斜面の岩崚を越える(観念を媒介せず自然の力と直接触れる山修行にふさわしい)。
樹木に囲まれた山頂には青渭神社の奥社があり、神仏習合派の私は、社殿に向かって光明真言を唱える。
あとは青梅線が走る多摩川に向かって下るのみ。
今回は御嶽駅に達する尾根通しではなく、青渭神社里宮のある沢井側に降りる。
惣岳山を仰ぐ青渭神社の里宮はそれなりに立派で、左(陽)側の狛犬が子連れだった(写真)。
山ではすれ違う登山者と挨拶を交わすが、里に降りれば地元の人と挨拶を交わす。
奥多摩の銘酒「澤乃井」の小澤酒造がある沢井駅に到着。
嬉しいことに、今回の下りでも腸脛靭帯はなんともなく、今年の後半からずっと調子いい。
帰宅したら、奥多摩の”美味い水”のような爽やかな酒「澤乃井」で一杯やろう。