物理的相違点

2025-02-18 06:20:52 | お酒
白雪蔵まつりではお目当てのお楽しみ袋が売り切れていたので、お土産は別のものに。
前回買ってとても美味しかった、すぐ隣にある老松酒造の「うすにごり」にした。
なんかとても記憶に残っている。
どちらかと言えば辛口のうっすらとにごった酒で、微発泡した口当たりが味わいに影響を与えるのだと知ったお酒。
生酒なので冷蔵庫に保管し、2日後封を開けた。

にごり方を確かめようと黒い酒器に入れてみた。
盃も黒い奴にした。
盃に注いで違いに気付く。
前回はお酒の表面に細かな気泡が浮いていたのたが今回はそれがない。
口に含んで確信した。
今回のは発泡していない。
普通に日本酒だ。

うーむ、これはどういうことかと考えてみた。
どちらがこの酒の本当の姿なのだろう。
前回の微発泡しているのが正しくて、今回は醸造過程の何かが相違して発泡しなかったのか。
それとも今回の状態が正しくて、前回は何かの拍子に炭酸ガスが発生してしまったのか。
毎年の出来具合を比べてみないと分からないが、多分どちらもこの酒の姿なのだろうと思い直した。

ウイスキーのような蒸留酒で、複数の樽から出来具合の違う原酒をバッティングし、味を整える酒ではなく、日本酒は醸造した酒をそのまま瓶に詰めるから、その年の米の出来方から仕込みの時の気温など、環境因子の違いが大きな影響を与えるのだろう。
同じ造り方をしても全く差のない酒ができるとは思えない。
こうした味の傾向の酒と思って飲むのが正しいのだろう。
ワインなんてブドウの収穫年で当たり年と外れの年があるらしいからな。

「うすにごり」の味わいに話を戻す。
今回の個体は発泡はしていないものの、厚みのある味わいで一拍置いて立ち上がる複雑な酸味がとても自分好みだった。
発泡の有無は物理的な差で明らかだが、味わいの差は個人の体調や気分で感じ方が変わるから、前回味わったものの感想とさらに変わっているだろう。
その時々の味わいを楽しむことにしよう。