大仏鉄道遺構めぐり<里山編>

2022-01-14 06:40:40 | その他旅行き
その昔、大仏鉄道という短い年月で廃線となった鉄道路線があると知った。
その遺構を巡るハイキングコースがあるそうなので歩いてみることに。
出発地は京都府のJR加茂駅。
そこからJR奈良駅までの13km程である。

<奈良駅は地図の左下>


午前11時頃加茂駅を出発。
奈良市と木津川市が作った「幻の大仏鉄道 遺構めぐりマップ」という案内地図を、スマホで確認しながら歩く。
一つ目の遺構は加茂駅すぐ近くにある「ランプ小屋」。
すぐ近くにあるはずなのだがと探しながら歩くと、建物の陰に隠れていた小屋を見つけた。



ラミネート加工された紙に来歴が書かれ、小屋の前に結びつけてあった。
倉庫として今も使用されているそうで、立ち入るな、と書いてある。
敷地に入るなってことだよな、と理解したのでパンフ等にある正面右からの角度では撮影できず、後ろ姿・横姿を撮るに留めた。
壁にヒビが入っているけど、頑丈そうだから現役でいられるんだね。



次は踏切を渡った所にある「旧加茂駅跨線橋支柱」。
この支柱、鋳鉄製。
確か鋼鉄が作れるようになるまでの産業用鉄材だったはず。
つまり年代物。
いい感じで錆びていた。
ここにもラミネートの説明書きがくくりつけてあった。
この後各所で遺構を見学するが、小さなものから大きなものまで、何かしらの説明書があった。



さて次の遺構へ向かう。
方向はこちらで良さそうだが正しいかな?と少し不安に思いながら歩き出すと、曲がり角に道しるべが立てられていた。
これはありがたい。
この道しるべもほぼ全ての曲がり角に設置されていて、木津川市のこのウォーキングルートへの力の入れ具合が分かる充実ぶりだった。
次の見ものは遺構とは直接関係のなさそうな蒸気機関車の静態保存展示。
C57だそう。



ルートは最初関西本線に沿って住宅街を行くが、途中で田園風景を楽しむコースと歴史を感じるコースの二手に分かれる。
田園を楽しむコースを選択し、再び踏切を渡るとコースの名の通り田畑が広がった。
こんな詳細な道しるべが案内してくれる。



昔からからある集落の建物が遠くに見える。
田畑はすっかり冬景色だが、日差しは暖かく広々とした景色に心軽やかに歩けた。



用水路に沿った道を進むと次の遺構の「観音寺橋台」。
関西本線の橋台のすぐ隣に並んである。
関西本線の橋台も同じ時期に作られたそうだが、方や現役で方や遺構である。
橋台としてはどちらがいいのだろう、と擬人化して考えてしまった。



そこから線路沿いに少し進むと「観音寺小橋台」がある。
鉄扉に遮られているので外から伺うのみ。



ここから関西本線と離れていく。
道は竹林の中へと入っていき、なだらかな丘の上を歩くようになる。
林を開いた畑があり、ポツポツとある年季の入った作業小屋が私の目を楽しませてくれる。
左手にゴルフコースが見えると次の遺構の「鹿背山橋台」が現れる。
農業用水路を通すための橋で、今も細い水路が水を運んでいた。



新しい道路を右に見送り、ゴルフ場の入口への道を進む。
ここでコースは複雑に折れ曲がる。
案内図を見るとまっすぐな細い道路の下を左から右、そして右から左へとくぐるようだ。
つまりこの細い道路が線路跡ということか。
これまでは始めのランプ小屋以外、橋の支柱や基部ばかりで、線路がつながってるイメージが持ちにくかったが、ここにきてようやく明らかにそれと分かる線路跡が見れた。



短い坂道を降りると農地があり、そちらに入らないよう注意書きがあった。
案内図も曲がり角の度に立てられ、進入禁止のマークをコース外の道全てにつけていた。
こんなコース設定をして内外に宣伝したらハイカーが増えて、田畑を踏み荒らしたり悪戯されたりすることが多くなって、農家の方にとってはいいことは何もない。
コース設定に難色を示す地元の方と折り合いをつける方策のひとつだったのだろう。



細い堤防のような道路の下には梶ヶ谷隧道と赤橋があった。
同じように道路(当時は線路)の下をくぐるのに、梶ヶ谷隧道はトンネルで、赤橋は橋と造りを変えているのが手造り感があって面白い。
今なら同じコンクリート枠を使ってトンネルにしていそう。



赤橋を抜けると上り坂になり、細い堤防道路の反対側に出た。
右手に城山台公園、またの名を大仏鉄道公園があり、トイレがあったのでお借りした。
公園は芝生の広がる新しい公園で、すぐ隣にある新興住宅地の住民の憩いの場となってるようだった。
この後、一山越えた辺りからウォーキングルートは市街地に入っていく。
そちらは〈街中編〉にて別途記載予定。





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