
カタクチイワシ(片口鰯)・セグロイワシ・シコイワシ



【語源】

目が大きく口は広く開き、上顎が下顎よりも前方に出ており、
口の形が片寄って見える事が語源となっています。

背黒鰯(セグロイワシ)とも呼ばれ、これは字のとおり背が黒い為。





関東では主にシコイワシと呼ばれますが、これは別名のヒシコ(鯤)
から来ています。

その他、地方名は、セグロ・タレクチ・ドロメ・ドロイワシ・
ホホダレ・カクハリ・オオカミイワシ・ハンガン・マル・ヒシコ
・ブト・カエリ・タツクリ・ゴマメ・ホシコ 等々・・・・。

これほど多くの呼ばれ方をする魚は他に類を見ません。

標準和名は「カタクチイワシ」です。

このカタクチイワシの稚魚を釜茹でにし、干したものが一般的に
食されているシラス干しです。








【旬】

多く流通しているイワシの種類は、3種類あります。

一番、高価でポピュラーなのが、マイワシ。

その他に、このカタクチイワシとウルメイワシがあります。

その中で、カタクチイワシの旬は春です。

初春には、この稚魚のシラスが生で流通し、季節(春)を感じさせ
てくれます。シラス干しもこの時期、新物が出回ります。

但し、成長したカタクチイワシが一番美味しい時期は、冬から初春。

総合して旬は春として良いでしょう。











【うんちく】

自然界の食物連鎖はピラミッド型です。

その底辺にカタクチイワシは位置しています。(その下にはプラン
クトンがいますが・・・・)

カタクチイワシは、生まれた瞬間から死ぬまで捕食者に狙われ続ける
存在です。




1㌢に育つことができる確率はわずか0.1%と言われ、2年あまりの
寿命を全うできるものは極少と言えます。

捕食者は、中型のサバやカツオに留まらず、クジラやイルカなどの
大型のホ乳類、カモメなどの鳥類にいたるまで多種多様です。

食物連鎖の事を考えると、単に直接的な私達の食材としてだけでなく
非常に重要な存在なのです。






【ブランド・産地】

カタクチイワシ自身はブランド化はされていません。

しかし、稚魚を加工した白す干しについては、それに近い商品も
あるようです。

静岡県 用宗(もちむね)港の釜揚げシラスは、ブランド化されていると言って
良いでしょう。
鮮度が命の生シラスを、漁港から直接工場に運び込み、茹で上げ流通させて
います。
釜揚げ特有のフワフワ感がたまりません。
漁獲量では、カタクチイワシとしては、茨城、長崎、千葉の順。

生のシラスとしては、兵庫、愛媛、静岡が多いです。







【産地ならではの漁師料理】

カタクチイワシは、なんと言っても刺身でしょう~!
鮮度の良いものを手開きし、ワサビ醤油や酢醤油で軽く洗って粋に
食べたいものです。

生姜を利かして甘辛く煮るのも最高です。

稚魚のシラスは、釜茹でにし、豪快にご飯にぶっ掛けて食べるのも、
お勧め。
また、生のシラスは、山葵醤油で刺身でいきます。

これもはずせません。




生のまま、乾燥海苔を作る要領ですだれに付けて干した「タタミイ
ワシ」も酒の魚には最高!

以前は湘南が名産で、厚すぎても薄すぎても駄目で、このタタミ
イワシ五枚重ねて富士山がうっすらと透けて見えるのが最高級品だと
言われたとか・・・・。



【3すくみ】

カタクチイワシ・真イワシ・サバは「三すくみ」であるという説が
あります。

3種は共存しながら永久に変動して行くそうです。

サバが多いときは、主に餌となるカタクチイワシが少なくなり、
サバには食べられる率が少なく、餌のプランクトンを独占し、
真イワシが増えます。

サバが少ない時は、捕食される率が下がるカタクチイワシが増え、
餌となるプランクトンを食べつくす為、真イワシが減ります。

しかし~カタクチイワシが増えると、餌が豊富となるサバが又増え、
カタクチイワシが減り・・・・・
これを周期的に繰り返していると言われています。

面白いですね~





【栄養と効果・健康】

DHA・EPAを豊富に含む青ざかなで、カルシウムや鉄分、カリウ
ム、亜鉛なども豊富。

ビタミンでは、A、B1、Dが豊富です。

但し、丸ごと食す白す干しは注意が必要です。栄養価は高いですが、
コレステロールも多い。尿酸値の高い方は注意が必要でしょう。

また、茹でる際に塩も使いますので、塩分を気にしてる方も要注意
です。


























