若布(ワカメ)
【語源】
若布(ワカメ)の語源は、文字通り「若い」から来ています。
その昔、若返りの薬とされており、これが語源と考えられます。
奈良時代には、ワカメなどの海藻を刈り取る事は神事とされて
いたようで、和布刈(めかり)と呼ばれいました。
北九州市に和布刈(めかり)と言う名の神社があり、今も尚、
和布刈神事が行われています。
「布(め)」は、食用になる海藻の総称です。
根のすぐ上の部分がメカブと呼ばれます。
【旬】
流通しているワカメの大半は養殖物です。
6月から7月にかけて天然のわかめの胞子を種糸に採苗し、
採苗器を海中に釣り下げて種を育て、10月から11月にわかめの芽が
出た種糸を養殖縄に巻き付け、本養殖をします。
3月頃には2㍍近くまで成長し、5月ごろまでに収穫します。
したがって、若芽の旬は春です。
また、刺身で食べれる時期はこの春のみ。
時期はずれのワカメは乾燥ワカメに加工されたり、塩蔵されます。
1年中あり、馴染みのある食材の様に思われがちですが、春が旬
なんですよ~
塩ワカメ
【うんちく】
日本人のわかめの消費量は、年間で一人当たりおよそ2㌔。
海藻の中で最も多く食卓にのぼり、日本人の食生活の一端を担って
いる食材がワカメです。
海藻には数千もの種類がありますが、世界中で海藻を食用として、
日常的に食べているのは、日本と韓国・中国ぐらいなんです。
日本の遺跡から、縄文式土器と共にワカメなどの海藻が発見されて
いる現実をみると、昔から食べられていたんですね~
ワカメのサラダ
また、大宝律令には租税として、わかめの他、テングサやノリなど
8種類の海藻名が記されています。
この時代、海藻類は、上流階級の人たちの食べ物で、庶民の口には
入らない高級食材だったようです。
野菜などの栽培品種が、まだまだ少ないなかで、海藻は貴重な栄養源
だったと言えます。
ワカメと筍の煮物
【ブランド・産地】
ブランド・・・・とまでは言えないかもしれませんが、兵庫県淡路の
「鳴門ワカメ」は品質が良い事で有名です。
瀬戸内の荒波にもまれた、このワカメは最高級品です。近年、養殖も
盛んに行われているようです。
漁獲量は、岩手、宮城、徳島、兵庫の順。
茎ワカメ
【産地ならではの漁師料理】
ワカメは捨てるところがありません。
葉はもちろんですが「ワカメ」として。茎は「茎ワカメ」として、
根の上にできる種を作る肉厚のひだの部分は「メカブ」として、
部位別に販売されます。
あまりにも馴染みがありすぎて、漁師料理と言える特別な物は
見当たりませんが、岩手県大船渡の「茎ワカメの千本漬け」は、
郷土料理と言えるかも知れません。
細かく切った茎ワカメを酢醤油に漬けただけのシンプルな料理ですが
美味しいですよ~。
メカブ
メカブの雑炊
【栄養と効果・健康】
ワカメの最大の特徴は栄養成分が極めて少ない事です。
反栄養食品と言われ、食物繊維と同様に、採り過ぎた栄養分を体外に
出す作用が期待できます。
そう言う意味で、栄養の獲り過ぎで生活習慣病になりやすい、先進国
の人間にとっては、健康食と言えるでしょう。
特に、コレステロール、糖分、塩分を体外に排出してくれます。
栄養がないといっても、特異的に多い栄養素もあります。
ビタミンKとヨードです。前者は出血した際、血を止める作用を促す
成分で、後者は代謝機能を高める成分。
究極のダイエット食ですね。
茎ワカメとトマトのサラダ
そして、注目すべきは、根の部分に生育するメカブの栄養分~
「フコイダン」。
この強烈なヌメリ成分は、抗癌作用があり、特に大腸がんを予防する
と言われています。
茹でたメカブ
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