澳門(マカオ)の媽閣廟(まこっみう)
距離感て何だろうか。
一般的には距離の短いのが近い、距離の長いのが遠いと捉えているはずだ。
しかし、若者の会話などで、「なんかあいつ、遠くに行っちゃったよなぁ。」なんて言うと実際に遠くに引っ越してしまったとか、付き合いが悪くなったことをさす場合がある。
もう一つ考えてみたい。日本人には基本的にはない感覚だと思う。
実際に距離は短い。しかしなかなかそこへは行けない場合である。
最初の写真は目の前に海か湖(河口)があり、直射日光も霧に和らげられた涼しい所であることが分る。ベンチで休むカップルの姿も見ることができる。ベンチ側はマカオで向こう岸は中国の広州である。かつてマカオがポルトガル領だった時、マカオ半島にいる中国人が、どうしても中国本土(広州)に帰りたくてこの川を渡ろうとしたが見つかって殺されたという。
マカオ半島
上の写真の中に矢印がある。その矢印が指し示している細い線の右側が一枚目の写真の場所である。その川幅は約340メートルである。陸上競技のトラック一周よりも短い距離(400m)である。かつてドイツが東西に分かれていた時に、ベルリンの壁が存在した。(1961-1989)資本主義と社会主義の思想の違いから、旧東ドイツが建設したものである。その壁を乗り越えようものならば、たちまち蜂の巣にされたという文献もある。国を跨ぐというのは命がけなのである。
340mを長く感じるか、短く感じるかは人間一人ひとりの中に物差しがあるのだと思う。