夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

『吐露(とろ)』と『発露(はつろ)』、そして『自殺(じさつ)』と『自裁(じさい)』、表現について。

2012-03-15 13:00:52 | 定年後の思い
今朝、私はいつものように読売新聞の朝刊を読んでいた。
そして、何気なしに週刊誌の広告の記事があったので、読んだりした。
『週刊新潮』そして『週刊文春』の見出しのフレーズを見て、思わず微苦笑されることが多かったが、
『週刊文春』の見出しのフレーズのひとつを見て、私は小首をかしげた。

《 天皇が吐露された
         雅子さま「ご病状」への懸念 》

このような見出しのフレーズを掲げられていた・・。

確かな天皇陛下が皇太子妃の雅子さまの「ご病状」に懸念を思われるのは、
もとより当然と思われるが、《吐露》の表現の方法はに於いて、
『週刊文春』の記者か取材された契約フリー・ライターか解らないけれど、
もう少し天皇陛下の心情に、お気配りされた表現の方が適切ではなかろうか、
と私は思ったりしたのである。

そして私だったならば、《発露》と綴る、と思ったりした・・。

この後、私はひとつの国語辞典を開いた。
私が二十歳以来から何かと教示を受け、私としては秘かな言霊(ことだま)の恩師となっている辞書である。
久松潜一・監修の『新潮国語辞典 ~現代語・古語~』(新潮社)であり、
発行は1965(昭和40)年11月30日の古い国語辞典である。

《・・
『吐露(とろ)』
    心に思っていることを隠さず述べること。

『発露(はつろ)』
   (古くは露顕・暴露・発覚などと同じく悪い事に用いたが、今は良い事についていう)
    表面にあらわれること。
・・》
このように明記されている。

私は日常生活で心に感じたこと、思索していることなどの良きこと、
悪きことを素直に文章に認(したた)める時、《発露》という言葉で表現している。
《吐露》の場合は、今日に普及している言葉であるが、何かしら《吐く》の語源よりも、
私の感性から、《発露》を使用している。

今回の天皇陛下の思いを表現されれば、《吐く》の語源よりも、
《発露》という言葉の方が適切ではないかしら、と感じたのである。


この事とは、まったく別のことであるが、ここ50年ぐらいの風潮として、
《自殺(じさつ)》という言葉があるが、この言葉に憂いているひとりである。
私の場合は、《自裁(じさい)》という言葉を使用している。

いずれも《 自分で生命を断つこと 》の意味合いは変わらないけれど、
漢字の表現にすると、天と地の差が歴然とする。

ここ幾10数年、警視庁が発表されるニュースのひとつに、
《 昨年一年間の全国の自殺した人は
      動機の多くは、借金苦や生活苦などが多くは・・》
このような新聞記事などで見るたびに、私はやりきれなくなる。

自殺者、とサブ・タイトルにも書かれていたが、
私は無神経な記事を書く人多くなった、と嘆いたりするひとりである。

私としては、ご当人としてやむにやまれなく命を絶った人に、自裁、
少なくとも生前への尊びの言葉で綴るのが、礼節として必要と思ったりしている。

かって、文藝評論家の江藤淳(えとう・じゅん)氏は晩年は脳梗塞の身であり、
やがて奥様が亡くなった後、まもなくして1999年7月下旬に自裁されたが、
心ある人は、自裁、という言葉で綴っていた、と私は記憶している。

私は新聞などを読んだりしている時、特に定年退職前の現役の諸兄諸姉の1部のお方が、
人生のなかばで、命をみずから絶たれるのは、私は悲しく、辛いのである・・。

私は民間会社の中小業に勤めていた30代の後期、
次兄が自営業していたのであるが、
経済的な理由で、次兄は自宅の布団の中で、毒物を飲み自裁された・・。

私は次兄が突然に自裁した後、
会社から帰宅するたびに、深夜になると、
居間の外れのテラスの前で腰かけて、茶碗酒を呑みながら、
どうしてそこまで踏み切ったの、と戸惑いながら、ため息をしたりし、
前方のモミジの樹木に問いかけは、涙ぐんだりした・・。

そして10日ばかり過ぎた頃、私なりに次兄の追い詰められた心情を
遅ればせながら私になりに了解したりした。

こうした私なりの体験もさることながら、
どのお方にしても生前への尊びがあり、私は自裁という言葉で表現している。


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コメント (1)
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