夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

齢ばかり重ねた私でも、ときには『星に願い』を託(たく)して・・。

2012-03-28 10:37:38 | 定年後の思い
私は東京郊外の世田谷区と狛江市に隣接した調布市の片隅に住み、年金生活の67歳の身であるが、
一昨日の26日の夜の7時少し前、風呂から上がった後の私は、
いつものように玄関の軒下に立ち、ぼんやりと煙草を喫ったりした。

私は2004〈平成16〉年の秋に定年退職した後、年金生活を始め、
家の中でも喫っていた煙草を自主的に取り止めて、
玄関の軒下とか主庭のテラスなどで喫う蛍族のひとりとなった。

このように煙草を愛する私は、夕食前のひととき玄関の軒下に立ち、
ぼんやりと月を眺めたり、星を眺めたりしてきた。

そして26日の晩も月を観たりしていたが、なぜかしら月の上に輝く星があり、
月の下に星が観え、お月様がサンドイッチのようになっていた。
私は星、月、そして星がまるで一直線のように縦並びになっているように観えた・・。

私は居間にいる家内に声をかけ、家内が玄関の軒下に来たので、
『XXちゃんさぁ・・俺・・眼が悪くなったのかしら・・
月の上に星、月の下にも星・・行儀良く並んでいる・・と観えるだょ』
と私は少し不安げに家内に言ったりした。

『あらぁ、本当だわ・・確かに星ふたつの間に、お月様が輝いているわ』
と家内は私に微笑みかけるように言った。

『俺・・初めて観たよ』
と私は家内に言った後、私たちは見惚れたりした。

そして夜のテレビのニュースを私たちが視聴していた時、
今宵は三日月となっている細い月を金星と木星がはさみうちする光景が見られました、
と報道していたので、
『XXちゃんさぁ・・月の上に輝いていた星は金星だったんだ・・
月の下に観えた星は、木星かょ・・俺・・知らなかったょ』
と私は苦笑しながら家内に言ったりした。


私は恥ずかしながら星のことも全く知らず今日に至っているが、
星空を観たりするのが、好きである。

私は今住んでいる近くに生家があり、1944〈昭和19)年に農家の三男坊として生を受けた。
祖父、父が長兄、次兄と生まれたので、三番目の児は女の子を期待していたらしく、
私の数年後に妹が生まれ、溺愛した様子を私なりに見たりし、
幼児の私は何となくいじけた可愛いげのない子であった。

私のおぼろげな記憶をたどれば、
私が最初に映画を観たのは、小学校の入学前、『長崎の鐘』だった、
と思い返している・・。

この頃は、ラジオからこの主題歌が流れていて、
私の幼児なりに、物悲しさを感じ、涙を浮かべたりしていた。

近所のお寺の境内で、隅にスクリーンが張られ、夜のひとときを上映してくれた。
私は母に連れられ、近所の方達と共に立ちすくんで観た。
この当時の私の住む地域に於いては、娯楽が少なく、こうした映画を無料で観られるのは、
稀(まれ)であったので、盛会だったと記憶に残っている。

帰宅の途中、母に手を引かれて歩いていた時、
夜空の銀河の天の川が綺麗であり、圧倒的に満天の煌(きらめ)いた星空であった。

この後、私が小学2年に父が病死し、その後まもなく祖父も死去したので、
農家の大黒柱のふたりがいなくなり、我が家は衰退し、生活に困窮したが、
私たち兄妹の5人は、母と父の末妹の未婚前だった叔母の基で育(はぐく)まれ、成長した。

やがてこの叔母は、私が高校1年過ぎた頃に嫁ぎ、
母は私がサラリーマン時代の54歳の時に病死した。


私たち夫婦は子供に恵まれなっかったので、たった二人だけの家庭となっている。
そして国内旅行が共通の趣味のひとつで、ときおり各地に旅を重ねてきた。
こうした中で、私は夜のひとときに満天の星空を観ることを願ってきた。
しかしながら拙(つたな)い私の半生、そして年金生活の素行の悪さのせいか、
幼年期に母に手を引かれて観た満天の星空、或いは天の川には、めぐり逢えないのである。

やむなく私は幾つかの星が輝いているのに、見惚れたりすることが多くなっている。
昨今、私は67歳、家内は62歳の身であるので、
いずれは片割れとなり、おひとりさまの生活になる。

過日、ぼんやりと星を眺めていた私は、せめて家内が70歳を迎えるまで、
五体満足で生かしてくれ、と思ったりした。

かって私は定年前の55歳の頃は、定年後の60代は五体満足で10年過ごせれば、
あとは余生であると断言してきたが、
身勝手な私の性格なので、私が75歳、家内は70歳になるまで、
何とか今の生活で過ごせますように、と輝くひとつの星に願ったりしたのである。


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