その日暮らし

田舎に暮らすこの虫は「カネ、カネ、カネ」と鳴くという。

雲と自由が棲むという里で百姓に成りきれるかな?

閑さや…

2009-08-17 20:24:50 | 暮らし
8月15日付の地元紙『山形新聞』に山形県鮭川村のNPO法人が、「ミンミンゼミ」の生息調査を実施しているとの記事が掲載されていました。山形県は、大きく四つの圏域に分けられるのですが、日本海側の庄内地方には、ほとんど生息していないという。6日間に寄せられる一般県民の鳴き声情報調査によって、生息地の確認を行おうとする試みであります。
今年は、冷夏の様相を呈しておりましたが、ここに来て真夏日が続いております。7月中、鬱陶しいほど鳴く「アブラゼミ」の声が、今年はほとんど聞こえず、一方、子どもの頃、さほど見かけなかった「ミンミンゼミ」の声や姿が、事の外多いような気がします。
さて『閑さや 岩にしみ入 蝉の声』とは、俳人松尾芭蕉が山寺立石寺を訪れた際に詠んだ有名な句でありますが、かつて、この蝉が「ニイニイゼミ」であるのか「アブラゼミ」であるのか、文壇で論争になったとか。山形でいう「アガスケ」米沢では「ソンピン(ひねくれ者)」である故斎藤茂吉大先生は、「アブラゼミ」説を採り続け、芭蕉の来訪の時期と蝉の羽化時期から、敢え無く敗北してしまったそうであります。私のイメージからすれば、山寺の鬱蒼とした参道に似合う蝉は「ヒグラシ」であり、物悲しさを引き立てるには、打って付けであると思うのでありますが、蝉としては、か細い声で鳴く「ニイニイゼミ」だからこそ、その声が岩に浸み入ってしまうと考えると、また、それも有りか…と節操もなく主張を変えてしまうのであります。
           
今日は、早「送り盆」であります。亡き祖母が作っていた「菰(コモ)」を自分で編んでみました。こんなもん、今どきアルミホイルや発泡トレーを持参すれば済むことなのに…、古老が健在な内に少しずつ確認しておきたくて、祖母の手順を思い出しながらやってみたのですが、分銅替わりに使ったペットボトルの水の量が多く、重過ぎたようです。男の手芸は、どうしても力が入ってしまい、レース編みなどには向くかもしれませんが、編目が硬くなってしまうようです。朝、そそくさと作った白玉団子と枝豆を供えられて、また来年どうぞと送られるご先祖様も可哀そうな気もしますが、あの世とやらに行ってしまえばどうしようもないこと。
「ニイニイゼミ」も「アブラゼミ」もどうやら、田舎でも個体数が減っているようです。亡くなった先祖は、粗末ながらも供養できますが、一度、無くしてしまったものを復活させるのは、並大抵の努力では叶いません。蝉の声など、世の中の進歩に何ら影響を与えるものではありませんが、その声に耳を傾ける繊細な心も同時に失ってはならないと感じませんか…。
『軒辻に 閑さ戻る 盆送り(By夢)』ってがぁ~。
コメント (1)
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