蟋蟀庵便り

山野草、旅、昆虫、日常のつれづれなどに関するミニエッセイ。

サヨナラ、ガラ携!

2020年06月24日 | つれづれに

 夏至……暦の上の夏が来た。そして、この日は「父の日」。
 「父の日」がすんなり受け止められたのは、せいぜい50代までだったろうか?娘たちも50代になり、「敬老の日」にまとめていいよ!」と言っていたが、やはり二人共忘れずに毎年祝ってくれる。確かに、幾つになっても母は母であり、父は父には違いない。
 「退職したら、贈り物探すのに苦労する!」とぼやきながらも、今年も届けてくれた。食欲だけで生きているような年寄りだから、飲食物が一番無難という判断だろう。長女からは「馬刺し3種のお試しセット」、次女からは「エールビール5種の詰め合わせセット」。二人共、自分が食べたいもの、飲みたいものを選んでいるのが可笑しい。
 熊本名物の「馬刺し」は、牛肉以上に高価である。解凍時間を調整しながら、ルイベ状のシャリシャリ感を残して生姜醤油で食べると、格好の酒の肴である。下戸でも、これは箸が止まらない。
 昔、初めて阿蘇内牧温泉で馬刺しが出たときは、さすがに箸を出すのに勇気が要ったようが、今では熊本県の温泉旅行の夕食には、必ず「馬刺し」を特注する娘たちである。コロナ禍で需要が落ち、牧場に馬が溢れているというニュースを見たのは、つい先頃のこと。私に似て下戸ながら、馬刺しに目がない長女なら、3種類を並べて一気喰いだろうが、我が家は慎ましく3回に分けて味わうことにした。

 エールビールは、普段馴染みがなかった。「発酵温度が、ラガービールは5度、エールビールは20度。下面で発酵するラガー酵母と異なり、上面で発酵するエール酵母を使う」と書いてあるが、下戸にはよくわからない。
 ネーミングが楽しい。「なよなよエール」(一口飲めば、鮮やかに香るホップのアロマとモルト由来のゆったりしたコクが絶妙なバランス)、「軽井沢高原ビール」(軽快でゴクリとのどに流したくなる爽快な味わい)、「インドの青鬼」(苦みが強烈な個性派ビール。口に含んでみるとニガッ!と声が出てしまうほどの強烈な苦さ)、「東京ブラック」(ロブスターポーターというスタイルの、イギリス生まれの黒ビール。グラスの向こうが見えないほどの漆黒の色合い)、「水曜日のネコ」(ベルギー生まれのベルジャンホワイトエールというスタイル)。
 猫好きで、今も2匹の姉妹猫を家族にしてカリフォルニアに住んでいる次女は、このネーミングで選んだという。上戸だから、彼女なら5種類を並べて一気に飲み比べることだろう。

 そして……遂に、アベの10万円×2を使って、ガラ携をスマホに買い替えることにした。コロナのお蔭でキャッシュレスが加速、現金払いは情報弱者や貧乏人のシンボルみたいになってきた。スマホを持たないと入れない店があったり、厚労省の「接触確認アプリ」が強く進められたり(尤も、早速複数の不具合が発生したらしいが)、スマホが生活必需品への道を辿り始めている。「生涯ガラ携」という信念が遂に潰えて、ショップに走った。
 3時間、店で特訓を受けたが、なんと使いにくく、疲れることか!PCやガラ携で「押す」「叩く」というキータッチに慣れた身にとって、そっと触れるだけで反応する超敏感なキータッチに戸惑うばかりである。女の扱いより神経が疲れる!入力ミスが相次ぎ、目は霞み神経痛の肩は痛み、慣れるまで暫く苦労が続きそうだ。
 果たして、慣れる日が来るのだろうか?若い人が、目まぐるしく画面操作している姿を見ながら、改めて「情報弱者」を思い知らされている。嗚呼、ガラ携が恋しい!!!

 そして、沖縄「慰霊の日」が来た。カッコばかり沖縄風にして、空しい言葉を並べながらリモート挨拶するアベのしらじらしさ!
 「沖縄県民斯ク戦へり 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」……自決前夜に、日本海軍沖縄方面根拠地隊の太田司令官が海軍次官に送った電文に対し、政府は何の高配もすることなく、辺野古の埋め立てばかりが進んでいる。この日、大宰府は33.8度の暑さに茹だっていた。
 かつて、このブログにも載せた「沖縄戦後史の原点」を、改めて読み直してみよう。
                     (2020年6月:写真:娘たちからの「父の日ギフト」)

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