太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

暑苦しいバレンタイン

2012-02-11 16:28:13 | 日記
夫の父が、大きな薔薇の花束と、「I LOVE YOU」と書かれたハート型の風船を抱えて帰って来て、

「ハッピー バレンタイン!ハニー!」

と言って、夫の母に手渡した。

アメリカのバレンタインは、男性が女性に薔薇とチョコを送るのが基本らしい。

互いに送り合う、というのもある。



私と夫は、ファミリールームでジグソーパズルに熱中しており、

隣りのキッチンから、二人のやりとりが聞こえてくる。


「あらまあ、ハニー、うれしいわ。なんて綺麗なのかしら!」

「赤い薔薇もいいけど、この色のほうがが君に似合うと思って」

「素敵よ、この色大好きだわ。ゴージャスね。ありがとう」

「いいんだよ、愛してるよ」

「私もよ、愛しているわ」

そして チュ、チュ というキスの音が入る・・・・・


やりとりだけ聞いていたら、新婚さんイラッシャ~イ じゃないか。

しかし実際やっているのは、六十代後半の、結婚して45年、知り合って55年という古婚さんである。



私は、こういう暑苦しい愛情表現が嫌いじゃない。

どちらかとうと、しつっこいぐらい表現豊かなほうが好きだからこそ、ガイジンと結婚した。

そんな私でも、本場に来てみると、目のやり場に困ることが多い。

夫の両親だけじゃない。義兄も、友人も、まあ、イッチャライッチャラ、はんぱなく暑苦しい。



アメリカの離婚率が高いのが、なんとなくわかる。

あえて気持ちを言葉や態度にしなくてもよくて、夫婦は家族という単位になってゆくという日本のやり方は通用しないのだ。

互いのことがこんなに好きだ、ということを表現するという努力は、

日本なら相手の誕生日ぐらいで済むものが、ここじゃ毎日求められる。

夫婦はいつまでも、男と女であることを抜いては成り立ちにくいのが、ここの文化なのだろう。

だから、その努力ができなくなったら、やっぱり夫婦を続けてゆくのはつらくなるだろうと思うのだ。



読んだ本に、こんな表現があった。

ラスベガスのホテルのロビーにいると、夫婦の様子だけで、大体どこの国から来たかがわかるというのだ。

女性が先に歩いているのはヨーロッパ。

男性が先に歩いているのは中国か、韓国。

距離をあけて並んで歩くのは日本。

手をつないでいるのはアメリカ。



ジグソーパズルをしながら、夫と私は互いにつっつきあって、

「ねえ、キスしてるよ、キス」

「しーっ!聞こえるよ」

私達も、毎日「アイラブユ~」とバカみたいに言い合っているけど、

この先20数年たっても、ずっと暑苦しいままでいられるのかなあと、ふと思う。




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