太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

妄想コースター

2021-03-17 13:04:49 | 日記
私のことを、前向き志向だとか楽天家だとかいう人がいる。
それは並々ならぬ努力があって、かろうじてそう見えるというだけで、実際はとんでもない話である。

私の妄想ジェットコースターの、下りの勢いと傾斜角度といったら、回転するのも含めて富士急ハイランド以上だと思う。



たとえば昨日、昼休みに夫と電話で話をした。
これは私が家にいるようになってから始まった日課で、夫が毎日電話をかけてくる。
私が仕事の日でも、同じだ。

夫の声に、元気がなかった。
「How are you?」と聞いて、「Good」は良くて、「Fine」はまあまあ、「OK」とくれば、それはかなり悪い。
夫が「OK」と言った途端、私の妄想コースターは ガッチャン と角度を変えて、一気に加速度をつけつつ下り始める。
それは次のような経路をたどる。



腰痛がひどいのか(最近、昔痛めた腰がぶり返している)
職場で嫌なことがあったのか(うまくいかない人たちがいる)
まさかまた仕事を辞めるとか言い出すのでは
この時期に仕事を探すのは大変
いや、もしそうなっても、それは大局的に見て良いことだからに違いない
そうは言っても、正直なところ転職なんかもう御免
まあでも病気や怪我で働けなくなるより、いいか・・・・



急降下で、たった10秒でここまで落ちる。
底をつくまで落ちたら、電話を切ったあと、えっちらおっちらと登るのだ。
落ち込む気持ちをなだめすかし、不安をあおる妄想を根気よく書き換え、
家に帰ればにこにことしている夫を思い描き、
10秒で下ったのを盛り返すのに、何時間もかかる。

帰宅すると、夫はにこにこはしていないが、そう淀んでもいなかった。

「ランチを食べようとしたらさ、ランチボックスごと地面に落としちゃって
今日は何も食べられなかったんだ」

なんだ、そんなことかー・・・・・
電話をしたとき、それを言ってくれればよかったのに。
電波が悪くて、ほんの少ししか話さなかったんだけど。



「何か自分にとって重要なことがあるとき、最悪の事態を想定しておくの、そうすれば落胆が少なくなるから」
そう言っていた友達がいる。
私の場合、わざわざ想定などしなくても、瞬時に最悪の事態まで勝手に行ってしまうのだ。
それどころか、最悪の事態まで行った「あとの」想定や、慰めまで含まれている。


私のこの妄想コースターは、母から刷り込まれたのではと思っている。
母は、私がシュノーケルに行くと言ったら
「あんた、このまえどこかでシュノーケルで死んだ人いたよ、大丈夫なのかね」と言い、
メールで知り合った友達の話をすれば、
「メールで出会って殺されたり犯罪に巻き込まれる人が多いんだってよ」
と言わずにおれない人なのだ。

一方、父は事が起きた時の騒ぎは大げさで、悲観的なことを言い立てるのだけれど、
割とすぐに切り替えて、明るい面をみつけてケロリとしている。
母の場合、切り替え地点というものはなく、諦めることでやり過ごす。


私は母の、じっとりとした暗い部分と、
父の切り替えの速さを両方受け継いでいて、ようやくバランスをとっている。

この妄想コースター、我ながら辟易としてしまうのだが、
妄想コースターに乗っていることも気づかずに、ただ振り回されていた頃を思えば、
少しは成長しているのではないかと思うようにしている。
嫌ならコースターを降りればいい、それだけのことができない私の言い訳。




黄色いじゅうたん

2021-03-17 12:02:48 | ハワイの自然
ハワイは、4月から6月にかけてが一番きれいだと思う。
プルメリアの樹は、冬場は剝げチャビンだったのが、愛らしい花をつけ始めるし
ピンクテコマは、日本の桜に似ていて、咲く時期も近い。

ピンクテコマの樹


私が1番好きなジャカランダも、そろそろ紫の花が咲き始めている。

庭のアガパンサスも、蕾をつけた。
5月になると、こんなふう

ピカケ(ジャスミン)も咲く。




ホノルルで

とりわけ目立つのが、ゴールデントゥリー。
萌えたつような鮮やかな黄色い花は、そこだけ輝いていて、どんなに遠くにあってもすぐにわかる。
樹の下には、一面の黄色いじゅうたん。

「ギンコーみたいだね」

夫が言った。
ギンコーは、銀杏の樹。
言われてみれば、日本の神社の敷地にそびえる大銀杏の、あの黄色と似ている。
ピンクテコマで桜を思い、ゴールデントゥリーで銀杏を思うハワイの春。