太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

見知らぬ誰か

2021-03-31 07:38:49 | 日記
ハワイ州の図書館に寄付された書籍やCD、DVDなどを売る試みが、期間限定で催されている。(その記事はコチラ

そこで買った、日本の単行本を開いたら、ハラリと紙切れが落ちた。
拾ってみると、それはボストンミュージアムの入館チケットだった。
日付は2019年の4月12日。

私も、近くにあったものをブックマーク代わりにするから、よくわかる。
日本の本には、紐のブックマークがついているけれど、紙をはさんでおくほうが開きやすいのだ。
ここでは新しい本を買うのは難しいから、だいたい古本。
だから、前に読んだ人が残した足跡が残っていることがある。
たいてい、本を買った際についてくる、〇〇文庫などの名前が入った栞が多いけれど、
割り箸の箸袋だったり、洋服についているタグだったこともある。

以前の私は、知らない誰かが使ったものには抵抗があったが、
新しい本がいくらでも買えるところにいるのではないのだし、本以外でも
物によってはそれほどこだわらなくなった。



2019年の4月12日に、誰かがボストン美術館に行った。
それはきっと旅行で、旅先にその本を持っていったのだろう。
美術館の入館チケットは適度に厚みがあって、ブックマークにするのはちょうどいい。
旅先では、使用した航空券などもブックマーク向きだ。

入館チケットをはさんだ本は、移動のバッグかリュックに入れられ、
涼しい噴水の脇で、木の下のベンチで、乗り物の中で、眠る前に読まれていたのだろう。
男性か女性かわからないその人や、その人とともにいろんな場所を見てきた本のことを想像するのは、少し楽しい。


その本は、わりと好きな作家の作品だったけれど、テーマが身につまされすぎて、残念ながら完読できなかった。
その人は、これを全部読んだのだろうか。