太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

自分をごまかしてまで変わらない

2021-06-30 07:49:33 | 日記
若いうちは、自分はどんなふうにも変われる、と思う。
心変わりした恋人に、

「私の悪いところは直すから!」

と言ったことがある人も、言われたことがある人もいるだろう。
恋の上り坂ではアバタもエクボが、下り坂ではエクボもアバタ。

映画「ボヘミアンラプソディー」で、フレディが、世界的なコンサートがあることを黙っていたマネージャー兼恋人を振る場面で、恋人が雨の中、
「I'll make it better!!!!!」
と泣きながら言う。むろん、フレディの気持ちは変わらない。
恋人が変わろうが変わるまいが、すでに心は離れてしまっている。

砂山の砂が、水にさらわれて崩れ、てっぺんに差した滑稽な旗が落ちた。
同じ砂山を築き直したい片割れと、新しい場所で違う誰かと作りたい片割れ。
私はその両方であったことがあり、
前の夫とむりやり別居・離婚したときが、最大の砂山崩壊だった。



先週、夫と出会って15年目の記念日があった。
仕事から帰ると、休みで家にいた夫が、べろべろに酔っぱらっていた。
1か月も前から店を予約し、あと何日、と指折り数えて楽しみにしていたディナー。
瞬間、私の怒り爆発。
キッチンには、3分の2がカラになったウォッカの瓶がある。

「バッカじゃないの!いつもいつも同じこと繰り返して!!」

夫は、飲まないときには何か月も飲まないでいられる。
が、飲み始めると加減を知らない。
私にはお酒を飲みたい人の気持ちがわからない。
私が酒好きだったら、夫もこんなに文句を言われずに済むだろうに。

それだけ酔っていて、運転してゆくつもりでいる夫を押しのけ、私の車で出かけた。
終始、私はイライラし、文句たらたら。

「今日は記念日なんだから、リラックスして楽しもうよぅ」

私だってそうしたいけど、怒りはおさまらない。



私が、夫が酔っぱらうのが好きじゃないのを知りながら、夫はそれを繰り返す。
そして私は、そのたびに怒り、文句を言う。
これを15年、やっている。
お互いに、慣れることもなければ懲りることもなく。
もしかして、ほかの夫婦もこんなもの?


前の結婚時代、喧嘩になると何日も無視されることが恐ろしくて、私は怒ることをやめた。
どんなに怒りたくても、こんなことがあっても怒らない自分、に誇りを感じるようになっていった。
そのたびに、心のどこかで相手を思い切り蔑んでいた。
けれども、それは怒っていないのではなく、怒っている自分を抑え込んでいただけで、
11年かけてそれはヘドロのように溜まっていって、爆発した。


今の夫には、怒りんぼうでネチネチしている、ありのままの私を正直に表現しようと決めている。
きっと夫も、そうなのだ。
人は、変わることができることもある。
でもそれは、自分にウソをつくこととは違う。
怒るのを、なかったことにはできない。
嫌だ、と思う感情を、何も感じなかったことにはできない。


自分をごまかして、変わったつもりでいても、
いつか必ず、表面の塗装がはげてくる。


私はそれを、前の結婚で学び、
情けないような自分でも、大丈夫なのだということを、今の結婚で学んでいる。