太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

店屋物

2012-02-24 08:07:47 | 日記
ハワイにいて、日本が懐かしくなることはいろいろあるが、中でも最近とくに思うのは店屋物とお惣菜である。

子供の頃、夕飯のあと、寝るまでの間に、おそばを出前してもらった記憶がある。

当時、祖父が経営していた会社の独身の男性社員が、事務所の2階の寮で寝泊りし、食事は我が家に食べに来ていた。

最初は、その若い人たちが夕飯だけでは足りないのではないかという気遣いだったと私は思うのだが、彼らが所帯を持ち、我が家に来なくなっても、その習慣はしばらく続いていたように思う。

ごま油の香ばしい香りと、湯気をたてたそばつゆの甘い香りが食欲をそそって、天南やもりそばを少しずつ分けてもらった。



ここで出前といったら、ピザ。

他には知らない。

蕎麦屋はないから、パスタや中華、ラーメンなんかの出前をしたらどうだろう?

人件費がかかりすぎて商売にするのは難しいのだろうか。




お惣菜の筆頭は、コロッケだろうか。

日本では、スーパーマーケットで、お弁当や、コロッケ、大学芋や、焼きそば、イカリング、金平ごぼうや、ひじきの煮たのとか、種類豊富に並んでいる。

ちょっとだけ食べたい。でもわざわざ作るほどのこともない。台所を油で汚したくない。

そんな主婦の欲求に、あのお惣菜コーナーは非常に魅力だ。


ハワイのスーパーにも、おいなりさんや、海老の天ぷらが乗ったおすしの巻物なんかがあって、味も日本と変わらない。

ショーケースの中に、ポテトサラダ風、マカロニサラダ風といったものはある。でも、チーズがたっぷり入っていたり、アーティチョーク入りだったり・・


仕事を持つ主婦は、時間がないとき、疲れているときどうしているのかというと、

みなさん口をそろえて  冷凍食品  と答える。

確かに、冷凍食品の置かれているスペースの広さは、日本の数倍だろう。

メキシカンからコリアン、中華や、味の素の餃子、枝豆、ラザニアもスパゲティもピザも、選びきれないほど並んでいる。

かつて小説や映画の中でしか知らなかった『TVディナー』も健在だ。

TVディナーとは、プレートの中にメインからデザートまでパックになった、機内食のようなもの。

これらを大きなカートにしこたま買っている人がけっこういる。


「冷凍食品なら、家に置いておけばいつでも食べられるし便利でしょ」


それはそうだ。

でも、買った冷凍食品の管理を思うと、私はストックしておくのをためらってしまう。

やはり、その時食べたいものを、目で見て買って、すぐ食べるお惣菜がいいなと思う。

それをするには、冷凍食品は少し割高に感じる。


昨日、冷凍食品コーナーで『北海道コロッケ』をみつけた。

でもたっぷり霜がおりていて、いつからここにあったんだろうというシロモノだった。

今夜はお惣菜を買ったつもりで、コロッケを作ろう。







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方向音痴の孤独

2012-02-23 16:45:44 | 日記
世の中には、方角がわかる人と、わからない人と二種類いると思う。


私はスーパー方向音痴だ。

何十年と住んだ街でも、簡単に迷う。

地下道は、出たい場所に一発で出られたことは少ない。

高速の入り口で、目的地が上りなのか下りなのかがわからなくなってドキドキすることもザラだった。


大騒ぎして、車の免許を取ったのはいいが、私には道を覚えるという大仕事が待っているのだ。


なにしろ、最初に覚えた道順でしか、そこに行けない。



たとえば、A地点から①と、②の場所への行き方を覚えた、とする。

①に行ったあと、次は②に行きたいとなると、本来ならば最短距離(ピンクの線)で行けばいいのであるが、

私は延々とA地点まで戻らないと②に行けない。

だから、工事中で迂回させられたら、もう途端にワケがわからなくなる。実際、日本にいたとき、迂回させられたために、普段は10分の道のりを1時間かけて家に帰ったことだってある(自慢か・・)



夫は、方角がわかる人で、そういう人から見たら、私は「真面目にやってるのか!」と言いたくなるらしい。

知らない土地でも何とか方角がわかってしまう人に、私の気持ちなんかわかるまい。

何度同じ場所に行っても覚えない私に、

「ほら、山が向こうにあるでしょ。海がこっち。だから、今向かっているのはどの方向かってわかるでしょ?」

という。

わかるわけがない。

そもそも、東西南北が弱い。

郵便局の東側に・・・と言われてもわからないから、「東って右?左?」と聞いて絶句される。

そんな私に、山があっちだの、海がこっちだのって、今から自分が行こうとしている場所の把握ができていないのに、どだい無理というものである。


3月に、友人と、私の姉一家が続けてハワイを訪れてくれることになっており、

普段の日は夫は仕事なので、めでたく免許を取った私が、彼らを案内するということになっている。

「週末ごとに実地訓練しよう」

と夫が言うのだが、盗まれたままのGPSを、新たに買ったほうがずっと安心なんじゃないかと思っているのである。









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フーセン

2012-02-22 10:17:55 | 食べ物とか
私にとって懐かしいお菓子といえば、

チューブに入ったチョコレートや、メロンの形をした入れ物に入ったアイスクリーム、だるまの形のお砂糖のお菓子、アポロチョコレートや、クッピーラムネ。

絵が切り抜きになっているガムもあったし、お米に圧力をかけて膨らませて、砂糖をからめたのもあった。

親に、食べてはいけないと言われていた、イカの燻製なんてのもあったっけ。

太陽がじりじり照りつける夏場の、クーラーなんかない駄菓子屋の店先で、イカの燻製はカビることもなく毎日同じ場所にあった。

もし今、それらを見かけたら、きっと買ってしまうと思う。



時々、夫がフーセンガムを買ってくる。



こういうの。

ハワイには、日本人や日系の人たちがたくさん住んでいるので、日本のお菓子やアニメで夫は育った。

紙芝居もあったというし、お菓子を売りに来る車もあった。

放課後は、近所の日本人の友達の家で「キカイダー」や「仮面ライダー」を見たり、おまんじゅうや、あまーいチョコファッジといった、

自分の家では食べられないお菓子をいただいたりしたそうだ。

厳しかった両親が子供に与えるおやつといえば、リンゴやにんじん、バナナなどで、甘いお菓子は特別なときしか食べられなかったらしい。



夫が『フーセン』と呼ぶ、このフーセンガムも、そんな懐かしいお菓子のひとつ。



夫の兄も大好きで、誕生日やクリスマスプレゼントには、必ずフーセンと、「磯ピーナツ」(ピーナッツをおせんべいでくるんだもの)をオマケで付ける。

僕らが食べる前に、ダディは全部隠して食べてしまうんだと、いつか甥が文句を言っていた。




包み紙の裏側に、怪獣の絵が描いてあり、

腕や脚を水で濡らしてから、これを貼り付け、しばらくたってはがすと、即席タトゥの出来上がり。

本物のタトゥがある今になっても、夫はたまにこの怪獣を手首に写してニヤニヤしている。


バリバリやり手ビジネスマンの義兄も、そっと一人で怪獣を写しているのかもなァー。

想像すると、ちょっと笑える。







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動機

2012-02-22 10:06:36 | 日記
車の路上試験に落ちまくっていた頃。


「ハワイの車の免許がなくたって、日本の免許があるんだからいいじゃん」

凹んでいる私に、夫はそう言った。

「入国してから1年以内は、日本の免許で運転できるけど、それを過ぎたらできないんだよ?」

「1年過ぎたかどうかなんて、誰にもわからないよ」

夫には、そういううユルユルなところがあり、私はそれができない四角四面なところがある。



そもそも、今は私専用の車もないのに、なぜ車の免許が欲しいのかという話になり(もっともな話だが)、私は昔を思い出した。



私が日本で車の免許を取ったのは二十歳の時だった。

まわりの友人達は、高校3年の春休みとか、大学時代にさっさと免許を取っていたが、私はそれほど興味がなかった。

ある時、職場の人達と映画を観に行った。

題名は忘れたけれど、かなり怖いホラー映画だった。

若者のグループが古い館に行ってパーティをしていたら、なぜか一人ずつ殺されて消えてゆくというお決まりのストーリーだ。

一人の女の子が、殺人鬼がいる館から命からがら外へ出ることができ、門の外に停めてある車に辿りついてエンジンをかけるのだが、

キュルキュルと空回りするだけで、なかなかエンジンがかからない。殺人鬼は追ってくる。

焦りと恐怖でパニックになりながらも、何度もセルを回してようやくエンジンがかかって、彼女は逃げることができた。




私が車の教習所の予約をしたのは、その翌日だ。




もし、私が彼女だったら。

もし、あの状況で私が車を運転できなかったら。




この理由を人に言うと、必ずあきれた顔をされる。

そんな理由で免許を取った人、はじめて見た、と言われたこともある。

でも私は真剣に、運転できることで身を助ける日が来るかもしれない、と思ったのだ。


晴れて免許を手にして、車も買って、毎日乗るようになったら、

もうそんなことはすっかり忘れてしまい、車を運転することは特別なことではなく、まるでご飯を食べるように日常のことになっていった。

ハワイに来て、それができなくなるかも、という所に立たされて、

私を教習所に駆り立てた、あの恐怖を懐かしく思い出したのである。








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ありが10×10

2012-02-21 11:25:42 | 日記
朝起きて、キッチンに行くと、タイルの床を、アリが行進しているのを発見した。

郵便受けの中に、小さいアリがたくさんいるのは知っていた。

郵便物にいつもアリが数匹くっついてくるので、その場で払ってくるのだが、

払いきれなかったアリが、快適な家の中を知ってしまったのか、郵便受けの中にるのと同じアリが大量にいるのだ。


ホノルルに住む友人は、アパートメントの4階なのに、もっと小さい茶色いアリがいっぱいいるのだという。

そのちっちゃいアリが、人を噛む。

アリにアレルギーがある友人は、噛まれた場所が腫れてしまい、大変なのだと言っていた。


見たところ、このアリは人を噛みそうにもないし、別に害はないと思うのだが、いかんせん見た目が悪い。

行列をたどっても、特に何かにたかっているわけでもなかったので、

「君たちに罪はないが許せよ」

と言って退治した。


数日たって、アリの数は激減し、ついに見かけなくなった。

諦めて郵便受けに戻ったかと安堵した矢先の今日、食品庫をあけたら、見慣れない黒いビンがある。

なんだっけ?と思い、手に取ろうとしたところ、そのビンが動いている・・・・


「ひぇーーーーーッ!」


それは、いただきものの、パッションフルーツのバターの瓶詰めで、黒いのは全部アリだった。

あわててビンをつまみ、シンクで水をかけると、たちまち元のクリーム色が出てきた。

ちゃんと密封してあるのに、甘い匂いが外側についていたのだろうか。


気を取り直して、お茶でも飲もうと、とっておきの緑茶と急須を出した。

急須も食品庫の中においてあるので、一応チェックしたけれど、黒っぽい焼き物でいまひとつよく見えない。

でも昨日も使ったことだし、と思い、茶葉をいれ、沸いた湯を注いだら、



わらわらわらーーーーーッ



と、けっこうな数のアリが、急須の口から出てきた。


「ぎゃーーーーーッ!!」


そのとき、昔、同居していた祖母が、棚にあった黒飴を口に入れたら、みっしりアリがたかっていた。という恐ろしい思い出が走馬灯のように頭をよぎった。


それにしても、緑茶にしか使わない、この急須に、なぜあんなにアリがいたのだろう。

「とっておきの、貴重な緑茶を無駄にさせおって!」

お湯とお水で一網打尽にしたのは言うまでもない。






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