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原発運転期間40年はどのように決定、岸田政権はそれをどう変えたいのか?

2023-04-18 22:30:48 | 原発

 国際環境NGO「FoE Japan」によると、2012年の東京電力福島第一原発事故を踏まえ、原発の利用と規制の分離や安全規制の強化が議論された。そして、それまで明確な規定がなかった原発の運転期間の上限について、「原則40年、1回に限り、原子力規制委員会が認める場合は20年延長可能」とした原子炉等規制法の改正与野党合意の下に成立した。

 「原則40年」とされたのは、原発を構成する設備や機器の設計寿命が40年とされている事、システム自体が年数がたって古くなっていく事。原子炉等規制法を改正して運転期間ルールを制定した2012年の国会審議において、当時の担当大臣(環境大臣)の細野豪志氏は、「作動するそのそれぞれの機器の耐用年数というものも考慮した中で40年というところの数字を導き出した」「例えば電気製品をとっても、車を見ても、40年前の技術で今そのまま通用ものは、逆に言うとほとんどない」と説明している。また、原子炉圧力容器に中性子が当たって劣化する事に加え、「システム自体の古さ」も挙げ、「そういった事を考えれば、40年の運転制限制度というのは必要である」とした。

 さらに、参考人として招致された田中俊一氏(初代原子力規制委員会委員長、当時は候補)は、「40年運転制限制は、古い原子力発電所の安全性を確保するために必要な制度」「40年を超えた原発は、厳格にチェックし、要件を満たさなければ運転させないという姿勢で臨むべき」と述べた。

 岸田政府はそれを無視し、運転期間ルールを、「原子炉等規制法」から削除し、経済産業省が所管する「電気事業法」に移し、運転停止期間を除外できるようにする規定を盛り込むというもの。除外可能期間は、東日本大震災発生後の新規制基準制定による審査やその準備期間、裁判所による仮処分命令その他事業者が予見し難い事由により生じた運転停止期間などとしている。「電気事業法」に移す事により、原発の運転期間に関する「決定権」は、原子力を規制する立場の原子力規制委員会ではなく、原子力を利用する立場の経済産業省がもつ事になる。

(2023年4月18日投稿)

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