つれづれなるままに心痛むあれこれ

知る事は幸福度を高める

いちからわかる!台湾のWHO総会参加、日米は支持しているが中国認めず:共同宣言を詳説しないのは歴史を隠蔽歪曲し読者洗脳が目的か?

2024-11-30 10:26:28 | メディア

 2020年5月22日の『いちからわかる!』は「WHO総会に台湾はなぜ参加できない?」をテーマとして、「日米(政府)は支持しているが中国(政府)が認めず……」と見出しをつけていた。

 記事の主張の趣旨は、「中国政府は台湾に対して非道な対応をしている」とみなした「中国政府への非難」とその事について「読者である主権者国民へ理解同意を求める」のが目的のようで、記事の文章が、「中国は台湾を中国の一部だと主張している。しかし、蔡英文政権はこの主張を受け入れていない。中国は……蔡氏に圧力をかけている。台湾としてはWHO総会や専門家会合にもっと参加し、国際的な存在感を高めたいと考えていて、日本や米国も支持している。台湾の希望をかなえるのは、そう簡単ではなさそうだ」としているところにみられる。これでは読者に、中国政府側が台湾に対して一方的に抑圧しているかのような印象を与えてしまうだろう。しかし、朝日はそれを意図してこのような文章にしているとしか思えないのである。また、このような朝日の偏向した内容の記事中国政府に対する内政干渉ともいえ、日中両国の平和を望むそれぞれの国民は朝日に対する不信感を強める結果を招くだろう。

つまり、朝日は、かつてそれぞれの政府が相互に合意し、今日なお効力を有している米中政府間や日中政府間の共通認識隠蔽し歪曲し、読者に「中国敵視」を刷り込(洗脳)もうとしていると考えられるのである。

なぜなら、現在の台湾の国連やWHOとの関係についての説明について、「もともとは(WHO)加盟国だった。中国が1971年に国連に入る際に、台湾は国連を脱退した。その後、国連の専門機関であるWHOからも離脱した」として、いかにも台湾が自主的に決定してきたかのように書いているが、これでは読者は事実を正確に把握できないからである。朝日は、これまで米中政府間や、日中政府間を規定してきたそれぞれの政府間で合意し発表した「共同宣言」を詳細に説明すべきであろう。読者にそれを基にした説明をする事によってこそ、今回のテーマについて、読者は現状をより正確に理解できるのではないだろうか。現状の台湾の中国に対する姿勢はこれまでの共同宣言などの歴史を無視したトランプ政権安倍自公政権が引き起こしているものなのである。朝日や他のメディアは安倍自公政府の御用機関(国民洗脳機関=大本営)に堕してはならない。

米中共同宣言(1972年2月。ニクソンと毛沢東)

1、体制間の相違を相互に認め、それを超えて「平和共存五原則」に基づき国際問題及び2国間問題を処理する。

2、米中ともアジアに覇権を求めず、覇権主義(ソ連)に反対する。

3、「中国は1つであり、台湾は中国の一部である」との中国の主張を米側が認識した事。

4、米中の関係正常化はアジアと世界の緊張緩和に貢献する。

日中共同宣言(1972年9月。田中角栄と周恩来)

1、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つ。

2、日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えた事についての責任を痛感し、深く反省する。

3、日本国政府は、中華人民共和国政府中国唯一の合法政府である事を承認する。

同時に大平外相が、日華平和条約は存在意義を失い終了したと表明した。

※1971年10月、国際連合が中華人民共和国の国連代表権を承認

※1971年10月、台湾は国際連合から追放。あわせてWHOも離脱

※1972年、日中国交樹立で日本政府は台湾と断交

※1979年、米中国交樹立で米国政府は台湾と断交

(2020年5月24日投稿)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 蒋介石国民党支配の50年代台湾 | トップ | 12月21日(月)のつぶやき »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
時宜得た記事 (文科系)
2020-05-24 15:07:22
 時宜を得た正論記事を大変詳しく書いてくださって、深謝。良い公論と読んだ。僕もブログ「9条バトル」で近日書こうと考えていた内容でもある。
 そもそも、分裂した一国の国連加盟代表問題そのものが難しいことを、この台湾参加問題に関わって解説しないこと自身が可笑しいのである。
 その上で上記解説のとおりの歴史的経過があるのだ。今、当時とはすっかり変わってしまったアメリカの意向をそのまま解説するだけなら、公器と言える新聞ではないよねー!

 ちなみにここの皆さん、「9条バトル」も読んで下さいね。全国の9条の会関連では珍しく15年続いたブログでして、現在の週累計アクセスも3000を超えています。よろしく。
返信する
「一国二制度」から、中国転覆へ (文科系)
2020-07-15 10:49:22
 香港については、「一国二制度」という言葉が今でも国際外交で通用しているように、中国の国内問題なのだ。中華人民共和国内部の問題には、国連でさえよほどのことが起こらない限り、介入できない。唯一介入できる余地があるとしたら、この「一国二制度」が出来た時のイギリスとの約束ぐらいだろうが、今やそのイギリスが文句を言うためにアメリカや世界を巻き込んでいる? と言う以上に、アメリカの方が単独で介入しているのである。あたかも、「中国に革命を起こしてやる」と、キッシンジャーや、ネオコンのケーガンが事実として語って来たように、結局アメリカ側の「中国政府転覆シナリオ」は、あくまでも続いていくのだろう。
 ポール・ケネディの「大国の興亡」にある、トゥキディデスの罠よろしく。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

メディア」カテゴリの最新記事