今朝、NHK生活ほっとモーニングで、がん患者のことを放送していました。その中で、アメリカで始まった、がん患者、関係者、サポーターたちが参加する「リレーフォーライフ」という運動を紹介していました。日本でも、実現しようと、がん患者のシュウさんを中心に活動しているとのことでした。番組の中では、そのシュウさんのサイトも紹介していました。
私には、身近にがん患者がいました。最初は、下町から高尾山麓に引っ越した両親の、母親のほうでした。下町には親戚が集まっていて、寂しいことはなかったのですが、高尾に引っ越したら、父は趣味の絵を退職後に専念して、いつも旅行していましたから、猫と母が留守番でした。私も週末には訪ねていたのですが、次第に母の体が不自由になり、ついに大たい骨を骨折してはじめて、多発性骨髄腫という病気に罹ったことがわかったのです。それも、母には秘密にしていました。そして、闘病の末になくなったとき私たちが聞いたのは、「骨髄腫という病気は改善してきたのですが多機能低下で・・・」と、納得のいかない主治医の説明でした。本人がなんだかわからないまま、抗がん剤の治療をしていたんです。これって、本当にいいのかと思いましたが、配偶者である父が決めたことだから・・。そして、ひとり暮らしの末に父も、悪性黒色腫(メラノーマ。父は臍にできるという、かなり変った発症でした)を発病してしまいました。最初は、形成外科の医師が、告知すべきではないと判断したために、姉と私とでいろいろ治療を主治医と決めるということになり、父は自分の病気を知るべきだと強く願っていた私は、皮膚科の主治医の協力(皮膚科では告知すべきという考えでした)と姉の説得で、父に告知してもらい、父が自分で治療を決めることになりました。
ここで、一番大事なのは、自分の人生、自分で決めなくてはどうするのかということです。私は絶対に、どんな病気でも、自分で受け止めて考えなくてはいけないと思います。生まれてくるのは偶然だけれど、その後の人生は、自分でコントロールしなくてはいけないんです。教育とは、その知恵を学ぶものじゃないのかしら。自立して生きること、これが人間としての権利であり、義務なんです。
父が闘病の末に亡くなったのは97年3月。自分の生きる希望だった絵が描けなくなって、この世に失望したんだと思います。最晩年、病床で、「早くけりをつけてくれ!」と言っていました。でも、早くに治療でコントロールして、QOL(クオリティオブライフ quality of life 生活の質)を高めて生活することが出来るはずだし、皆がそういう努力をしていると思います。がん治療は、日々、研究して改善されていると私は信じたいです。苦しいだけの昔の治療ではないはず。ガン保険もかなり普及して、告知が当然になってきていますが、未だに医者に「お任せします」という患者が多いのは、悲しい現実です。
がん治療の進歩のためにも、がん患者が身近にいなくても、多くの人たちがこの、リレー・フォー・ライフの運動に参加してもらいたいと思います。アメリカのこの運動、私は素晴らしいと思いました。
がん患者たちが集まって情報を交換し、治療法を選択する、これはとても大切なことだと思います。たくさんの支援グループができることを願います。一人じゃない、自分と同じような人がいるということを知るだけでも、安心に繋がるはずです。一人でも多くの人が、声をあげてほしい。