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民主党の行方は? 原盛明つれづれ日記より

2007年02月23日 17時01分29秒 | Weblog
最近は大学がやっと春休みになったので、家にいることが多くなった。そんなときには昼間から国会中継をみることもあるが、今国会では、民主党が「格差問題国会」と位置づけて盛んに論陣を張っている光景をよく目にする。それだけを見ていると、この政党が「改憲政党」であることなどふと忘れてしまうような錯覚に陥ることがある。
しかし先日、NHKの「クローズアップ現代」で国会攻防の表裏を探った番組をみていたら、枝野幸男議員が民主党予算委員会筆頭理事として、「格差問題」で国会運営を仕切っているのを知って驚いた。枝野氏といえば、ついこの間まで前原執行部の幹部として、改憲のための国民投票法案の推進に大活躍していた人物だったからである。
民主党憲法調査会長でもあるこの人物は、一昨年の暮れ(2005年12月7日)に日本記者クラブで講演し、改憲の見通しについて「環境権とかの簡単な憲法改正なら3年、9条を含めての改正なら5年くらいでできる」と自信たっぷりに語っていた。「5年間で改憲」というのは安倍首相の公約だから、民主党も安倍内閣に歩調を合わせて5年間で改憲を強行する意向だったのであろう。

 彼はこの席で改憲国民投票法案についても触れ、「内容については自公民3党間に大きな対立点はない。来年(2006年)の通常国会には自公民3党ないし社民党を加えた4党の共同提案で法案を上程し、遅くとも来年中には成立させる」との見通しを述べている。つまり民主党は、社民党までを含めて改憲国民投票法案の成立を具体的な政治日程に載せていたのである。

前原・枝野議員に代表される民主党(ネオコン)若手の基本戦略は、政党の枠組みについては、2大政党論の線に沿って「対決路線」をとるよりは、自公民体制すなわち「実質的な保守大連立政権」を維持することに置かれているように思える。改憲論議の進め方についても、憲法の条文づくりの段階で自公民3党間の意見の違いや民主党内のゴタゴタを引き起こすことをできるだけ避け、まず改憲日程を進めるための土俵づくり(国民投票法案)を先行させることが重要だとの認識だ。この手続きに関しては自公民3党間で合意が成立しているので、彼らの目論見通りに行けば、昨年の通常国会で国民投票法案は圧倒的多数で成立していたはずだったのである。

ところが「政治の世界は一寸先が闇」とはよくいったもので、例の永田議員の「ガセネタメール事件」で前原執行部がポカミスをして総辞職に追い込まれ、煽りを食って枝野議員も衆議院憲法調査会長代理や民主党政権戦略委員会事務局長の役職から降りざるを得なくなった。「自業自得」というべきか、民主党の改憲日程にはここで大きくブレーキがかかったのである。

とはいえ、前原氏に代わって登板した小沢代表が根っからの改憲論者であるこは日本国中の誰もが知っていることだ。なのに、彼はどうして改憲国民投票法案を最優先の政治課題として取り上げないのか。今国会の代表質問でももっぱら「格差問題」に焦点を当て、改憲問題にはほとんど触れなかったのはなぜか。

小沢代表の政治戦略は、前原・枝野氏らのように現在の自公民体制を基盤にし「保守大連立政権」をつくるといった現状維持的なものではなく、自分が首班となる政権をつくることに尽きるといわれている。政権さえ取れば、あとは改憲であろうと政党再編であろうと自分の意のままにやれるというわけだ。つまり、彼の眼には現在の自公民体制のなかの「余計な部分」として映っている旧社会党系の残滓や公明党を一掃して、「純粋の保守党」すなわち強力な新自由主義政党を立ち上げるという一貫した政治戦略が貫かれているのである。

だから国会戦術としては、現在の自公民体制の枠内での政治的取引にこだわらずむしろそれを避けて、当面は自民党に対する「野党」としての民主党の存在をどのようにして国民に印象づけるか、ということに最大の焦点が置かれている。夏の参議院選挙の1人区で勝利するために、彼が自民党顔負けの関係業界への根回し行脚を続けているのもそのためである。また地方首長選挙では、議会では「オール与党」であるにもかかわらず、「自民党と相乗りをしない」との方針を打ち出しているのもそのためである。

だがここにきて、民主党の改憲日程にも少し狂いが生じてきているように思える。
それは、この連載日記の「その1」でも述べたように、小泉構造改革の影響が国民
生活の破壊と格差社会の浮上というかたちで露わになり、国民の目が一斉にワーキングプアー問題や地方格差問題に注がれるようになってきたからである。過日のNHK世論調査によれば、今国会で議論すべき課題は圧倒的に年金・社会保障問題や格差問題に集中しており、憲法問題はわずか10パーセントにも満たない有様だ。このような巨大な世論動向の変化を無視しては、政権を取れるはずがない。
小沢代表の真意はどうあれ、民主党は表向き一時改憲問題を棚上げにせざるを
得なくなってきたのである。

自民党の側でも、夏の参議院選挙の争点になにを取り上げるかで内部の意見が大いに揉めている。安倍首相は、小泉構造改革の総仕上げとして「改憲」「教育改革」「安全保障」の「国家改造3点セット」を争点に掲げることをしきりに強調しているが、現場の選対関係者は「それでは大敗する」と踏んでいるようだ。

当然のことだろう。小泉構造改革の「化けの皮」がようやく剥がれてきたこの時期に、それを取り繕うことなしに「傷に塩を塗る」ような政策など世論に受け入れられるはずがないではないか。もし安倍内閣があくまでも改憲にこだわり、格差是正のための効果的な施策を打ち出せない時は、この内閣は歴史的な短命内閣の仲間入りをすることは確実だ。しかしその時に、果たして「小沢民主政権」は誕生するのだろうか。

                      ネット虫
コメント (1)
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