40年来の友人から初句集が送られてきた。A五版ハードカバー、250ページほど。告げられた費用が信じられないほどの、堂々たる出版である。H・Sさんと言う僕より6歳年下の女性だが、知らぬ間に中部日本俳句作家会会員になり、東海地方の現代俳句協会幹部になっていた。
なかなか多面的な作品傾向をお持ちの方で、そこに句の深さも垣間見られる思いがした。勝手にジャンルを付けて、気に入った句をご紹介してみたい。俳句は全くやらない素人とて、つらつらご笑覧をよろしく。出来れば批評もあれば嬉しいです。
・故郷、家族に関わって
薔薇垣の家捨ててきて二十年
柩打つ冷たき石を持たさるる
虹かけて島を時雨の去りにけり
母の待つおほつごもりの峠越ゆ
分け入れば父のゐさうな芒原
母の畑太く短く葱育つ
さくらさくら一人になってしまひけり
半円のままで始まる盆踊
・動植物に
羽抜鶏笑ひの中を走り抜く
慎重に首出す亀や春の風
コスモスを風の中から剪りにけり
鱧と鱧咬みつきあうて計らるる
・保母職に関わる子どもの句
にっこりと笑うて覚めし昼寝の子
立ち小便覚えたる子や山笑ふ
遠足の子につぎつぎと牛鳴けり
・心象風景
切りし指秋思の口に含みけり
覗きたる机の下に秋の闇
不機嫌なりすとんすとんと大根切り
牛小屋の柱に護符や秋暑し
なお、上記それぞれのジャンル内の歌の順番は、出来た年代順に並んでいます。平成2年から26年までとありました。
なかなか多面的な作品傾向をお持ちの方で、そこに句の深さも垣間見られる思いがした。勝手にジャンルを付けて、気に入った句をご紹介してみたい。俳句は全くやらない素人とて、つらつらご笑覧をよろしく。出来れば批評もあれば嬉しいです。
・故郷、家族に関わって
薔薇垣の家捨ててきて二十年
柩打つ冷たき石を持たさるる
虹かけて島を時雨の去りにけり
母の待つおほつごもりの峠越ゆ
分け入れば父のゐさうな芒原
母の畑太く短く葱育つ
さくらさくら一人になってしまひけり
半円のままで始まる盆踊
・動植物に
羽抜鶏笑ひの中を走り抜く
慎重に首出す亀や春の風
コスモスを風の中から剪りにけり
鱧と鱧咬みつきあうて計らるる
・保母職に関わる子どもの句
にっこりと笑うて覚めし昼寝の子
立ち小便覚えたる子や山笑ふ
遠足の子につぎつぎと牛鳴けり
・心象風景
切りし指秋思の口に含みけり
覗きたる机の下に秋の闇
不機嫌なりすとんすとんと大根切り
牛小屋の柱に護符や秋暑し
なお、上記それぞれのジャンル内の歌の順番は、出来た年代順に並んでいます。平成2年から26年までとありました。