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随筆紹介 「総活躍」    文科系

2016年01月04日 03時17分52秒 | 文芸作品
 総活躍  N・Sさんの作品です

「お金を活躍させましょう」
「お金が活躍するのですか?」
「そうです。今持っているお金を活躍させ、年金の目減り分を補うのです。銀行に任せて、貴女は何もしなくていいのです」と、銀行のおばちゃんは、貯金を投資信託に回せと言う。
〈お金が活躍すると、必ず儲かるという保証はあるのか?。儲かるとは限らないぞ〉と、勧誘員の説明を聞きながら、もう一人の自分が〈用心。用心〉と引き止める。
「齢八十歳。そんなものを申し込んですぐに死んだら、私を取り巻く周りの人達が手続きとかでややこしい思いをするだけじゃないの。」
「いいえ、その様なことにはなりません。娘さんが相続しますのでご心配なく」と、勧めてくる。何故私に目を付けたのかよくわからないが、数回やり取りすれば私は彼女の勧める投資信託は対象外の相手だとわかるだろうと、鷹をくくっている。三回の訪問で、飲み込みのいい銀行のおばちゃんは、私から退散した。

 友人A子は、広い土地付きの家に一人で暮らしている。息子はいるが東京に住み、海外に出ることが多い仕事だ。
「土地に活躍してもらいましょう。私どもにお任せ下さい。奥様は何もしなくていいのです」と、建設会社が壮大なプランを持ってA子の家にやってきた。
〈今住んでいる家を潰し、三階建ての鉄筋住宅を建てる。その一階をA子の自宅にする。二階、三階を貸家にして、オーナーになる。家賃収入を得ることができる。若い人に貸せば、A子が病気になっても息子さんのところへ連絡はしてくれる。息子さんも安心でしょう。それに息子さんと共同名義にすれば相続税が少なくて済む〉と、しつこく勧める。息子の方にも相当なゆさぶり勧誘が来ている。住宅会社は、最近連れ合いを亡くしたA子が、遺産を手にした事を知っているのだ。息子の名前でわずかな金額のローンを組む。新築する家が出来上がるまでの半年、息子さんの家族と住めばと言う。住宅会社にとってA子は、都合のよいお客さんらしい。
「人の数が減っているのに貸家なんて、新築するためにかけた費用は回収出来るのかねえ」
と、A子本人はこの提案を疑問視している。提案は、突然の息子の海外転勤で今のところ中断している。

 一億総活躍時化だと、総理が国民を煽り立てる。寝たきり状態の人も活躍せよとでも言うのかと笑えたが、そうではなく、誰でも挑戦できるチャンス社会にするのだと躍起になっている。気力、体力、知恵、教養等、何れも持ち合わせていない私は、挑戦できるチャンスをもらっても使いようがない。金、土地、人間が忙しく動くことが、6兆円の経済効果に結び付くという発想は、どこから出てきたのだ。私の理解の枠を超えている。


コメント (2)
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「フクシマ」、悪行一覧表(4) 文科系

2016年01月04日 01時50分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 連載の最終回です。この連載は多くの方が読んで下さっていたようで、とても嬉しいものがありました。ここ2日間、1日のアクセス数が140内外、昨日1日の閲覧数に至っては2,775と久しぶりの数を弾き出していました。この連載を目に留めた読者の方々が1~3回などを読んで下さったとも推察されるのです。このブログは、凄く長文の記事が多いにも拘わらず閲覧数が多いという特徴をずーっと示し続けてきました。アクセス数の10倍ほどの閲覧数を常に弾き出してきたからです。それにしても、1日の閲覧数が、2,775! このブログは、去年晩秋に発足10年になりました。微力ですが連日投稿など今年もできる限り頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、「フクシマ」をこれからも、見つづけていきたいとずーっと決意してきました。特に、その残存燃料の所在とその都度の国土破壊状況や、唯一国も関わって行っている健康調査・子ども甲状腺癌の問題などは、生きている限りどこまでも追究していく所存です。


 保安院の大罪(92)「フクシマ」、悪行一覧表(4) 文科系 2012年11月17日

3 悪行一覧表のまとめとして

①日本人は信用を重んじる
 フクシマ原発事故を巡る我が国の論争には、細かい実証的な諸論争以前に大きな二つの前提的命題で対立があるように思う。一つは、脱原発がエネルギー不足を招くとか国の経済命運がかかっていると主張する論点。今ひとつは原子力村はどれだけ信用できるのかということだ。なお、この二つは対立関係にある。電力不足が長期にわたり決定的なものならばムラを信用するも何もないのだし、ムラが決定的に信用できないならば石にかじりついてでも日本の高度技術力でもって日本版グリーン・ニューディール政策を成功させねばならない。こういう観点の討論の入り口として初めに、あらためて日本人論を少々述べてみたい。

 日本人は今でも、一般ピープルが世界一時間を守る民族だと、これは例えばJRダイヤに象徴されていること。江戸時代から強固に築かれた社会的信用を大事にするという習慣から来ていると観てきた。サッカー用語でいえば、相手をリスペクトする点において世界一の民族だと思う。日本のサービス業の質の高さもここに淵源があるといわれている。
 さて、原子力村はすっかり社会的信用を無くしたのだ。独占価格で創り出した他人の金で社会に安全神話を形成し、ばらまいてきた。それなのに自らの安全管理については「規制の虜」に示されたように実にルーズだった。例えばこれだけの事故を前にして未だに、津波ではなく地震自身の事故原因程度すら、真面目に調査・公表する態度も見えない。国民へのリスペクトが決定的に欠けていると告発したい。
 そもそも一体、原発存続論者らは、こういう彼らを信用するのか。日本人として、そこのところが全く理解不能である。何度も言ってきたが、特に官僚を中心とした原子力村の信用は地に落ちたのである。こんな彼らに、日本の原子力の明日をもう託せないのだ。
 たった一度起こしても信用ゼロになる過ちというものはあるはずだ。福島事故の悲惨な結果、その事後処理における国民無視の隠蔽や悪あがき、これらの原因としての「規制の虜」問題はそういうものだと言えよう。が、こういう意見への反論者たちは僕と違ってもう一回だけでも彼らにチャンスを与えようと語っているわけだ。それは違うだろう。以上2までに観てきたように、彼らにはこんな疑念さえ湧いて来るのだから。日本版グリーン・ニューディール政策決死隊を成功させ、電力不足を完全に解消できると見通していてさえ、「脱原発は50年不可能」などと言いかねない連中であると。自分らの死活問題として、あるいは、自分らの傷ついたプライドを守るためにも、そんなことをやりかねない連中だと、僕は観ている。以下はその論理的傍証として、以上観てきたこと全ての背景説明の積もりで述べる。

②「社会主義国家」的な経産官僚
 電力会社は、独占価格を政府が決めているに等しい大独占企業である。そして、この大独占企業関連群の膨大な領域に、官僚たちの最も高級な再就職口が無数に散りばめられている。さらに、福島事故後の処理経過が示したものは、こういう原子力ムラが政治家やマスコミに強大な力を行使してきたという事実だった。
 内閣官房長官の発言さえどうどうと否定してみせる官僚群は、日本有数の新聞の論説幹部にも数々の陰湿な脅迫行為を働くのである。
 福島県の佐藤栄佐久前知事は、「収賄額0円」で有名になった不可解な(冤罪)事件で退職を余儀なくされた。これは、プルサーマル計画への彼の度重なる注文行動などからだったと、その著作によって断言されている。この点については、本年4月20日~25日の間、5回に分けた拙稿「知事抹殺」要約をご参照されたい。

 さて、これではまるで社会主義体制ではないか。旧ソ連や現代中国の国家ぐるみ企業集団のようなものなのだから。また鳩山と菅両首相の追い落としとか民主党変質とかに示されたように、今のところこの力がどの政党の力よりも強いのだから、原子力村は日本最強の政治集団とも言える。つまり、官僚が全面的に荷担するこの勢力の前には選挙なんて儀式のようなものであって、民主主義などはとっくの昔に撥ね除けられているのである。これは日本当面の諸悪の根源であって、グローバリズムの害悪とか資本主義的諸悪とか何とか言う以前の、苦しい国家予算を恒常的にして超高額にピンハネしているという大問題ではないか。

 国会事故調査委員会は、福島事故を「規制の虜」が呼び込んだものと断罪した。これは、電力会社の原発のあり方を規制する政治の側が逆に規制される企業側の虜になっていた告発されたということなのである。この力が上のようなものであってみれば、一定力を持った全政党を含めて今は日本全体がこの力の虜になっていると断言しても良いのだろう。それは、国民が意識しようと否とにかかわらず客観的にそうなのである。
(終わり) 
コメント (4)
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