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『「新しい世界経済」の教科書』目次紹介の②  文科系

2021年09月13日 14時04分26秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

『「新しい世界経済」の教科書』目次紹介の②  
「第2部 地に墜ちた資本主義をこう変える」

 昨日紹介を始めたスティグリッツのこの本『これから始まる「新しい世界経済」の教科書』は、その構成、内容も読者にとって極めて親切な、分かりやすいもの。まず、目次の最大5項目からして、次の通り。
「はじめに 今こそ『新しい世界経済』へ大転換する時」
「序章 不平等な経済システムをくつがえす」
「第1部 世界経済を危機に陥れた経済学の間違い」
「第2部 地に墜ちた資本主義をこう変える」
「おわりに アメリカ型グローバリズムを許すな」
 そして、本論である1、2部はそれぞれ計3章と2章からなっており、それぞれの章には節はなく、1部が全3章34条、2部が全2章51条という極めて具体的ないわば箇条書き(説明)になっていて、その箇条書き題名もわざわざすべて目次に載っているという親切さだ。そんなわけで今日は、本論のこの箇条書きそのものを紹介してみたい。それも、読者が最も識りたいはずの「第2部 地に墜ちた資本主義をこう変える」の第4章22項目、第5章29項目の前者の方を転載し、明日は5章29項目の積もりだ。ちなみに、この本の章建ては通しナンバーになっていて、第2部の第1、2章が4、5章なのである。

 第2部 地に墜ちた資本主義をこう変える
 第4章 最上層をいかに制御するか
特権の網を引きちぎる
最上層を利した〝判断〟
知的財産権のバランスを取り戻す
貿易協定のバランスを取り戻す
政府の交渉で医療費を制御する
破産のルールを変更し、住宅所有者と学生を守る
金融セクターの改革
〝大きすぎてつぶせない〟を終わらせる
シャドーバンクを規制する
あらゆる金融市場に透明性を
クレジットカードとデビットカードの手数料を減らす
よりきびしい罰則のあるルールを施行する
FRBのガバナンスを改革する
短期主義を打ち破る
CEO報酬に歯止めをかける
金融取引税を制定する
長期の投資者に力をあたえる
税制を改革する
最高限界税率を引き上げる
〝公平な税制〟を定める
企業の海外所得に課税する
成長促進、平等促進へ

 なお、これらの変革の現実性について少々。アメリカ人ノーベル賞経済学者が「アメリカをこう変えよう」と提唱しているだけではない。著者は当然このことも大変気にしているのであって、「はじめに」には、こんなことが強調してあった。

『本書はもともと、ルーズヴェルト研究所の報告書という形で、主として政策決定者向けに発表された。しかし、世に出るや、該当の人々をはるかに超えて反響があった。〈ニューヨーク・タイムズ〉紙は〝最上層への莫大な富の集中と、さらに強まる中間層への搾取を導いた三五年の政策(レーガノミクスに始まる自由主義経済政策)を書き換えるための大胆な青写真〟と呼び、〈タイム〉誌は、報告書が不平等の〝秘めたる真実〟を暴いたと伝え、フォード財団は〝陸標〟と呼んだ。
 もちろん、政治家たちも耳を傾けてくれた。エリザベス・ウォーレン上院議員(反ウォール街の政治家として知られている)には〝画期的〟と評価していただいた。賛同者、労働組合指導者、連邦議会議員、大統領候補者らが電話してきて、概要説明と話し合いと〝ルール〟のくわしい解説をもとめた。重要なのは、彼らが報告書を行動喚起とみなしていたことだ。より強い経済をつくるために、具体的に今、何ができるか?』 

 さて、あのような考えをもつウォーレンが大統領選挙でなぜ急台頭してきたかの一部理由も分かったが、こんな世界情勢に今の日本は、竹中平蔵が菅首相を崇めたて、「サナエノミクス」が政権与党総裁候補スローガンなのだそうだから、何と言ったら良いのか。日本の金融暴力、経済空洞化、格差はアメリカよりもずっと早く、20世紀末から始まっていた。さらにその上に「アメリカ流金融自由化・規制緩和」という「ルール変更」を認めてきたのであった。そして、この「反省」の方は、政治世界では特に遅れているからこその「サナエノミクス」や、日銀・GPIFぐるみの官製株バブルという悪循環。物作りが駄目になるわけだ。だからこその「国民一人当たり購買力平価GDPが世界5位から33位へと急低落」という貧乏国に、わずか25年でなったのである。

 

(こういう「目次」ですから、当面この紹介だけでも後2回はやります。差し当たって明日は、「第5章 中間層を成長させる」の全29項目の紹介をするつもりです)

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アフガン米撤退で露中イランらが大安堵のヘロイン問題  文科系

2021年09月13日 13時42分54秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 「マスコミに載らない海外記事」のサイトに、アフガン米軍撤退についてある秘話が載っていた。秘話と言っても知る人ぞ知る、アフガンは世界のヘロインだかケシだかの、時には95%の生産地だったとか。2001年の前のタリバン政府では宗教上固く禁止されたこれが、米軍支配になってからまた急増したのである。それがこの撤退によって・・・。

『 ヘロイン取り引き崩壊はアフガニスタンにおけるアメリカ敗北の主な恩恵 2021年9月7日 ジェームズ・オニール New Eastern Outlook

 40年後、アメリカによるアフガニスタン占領は最終的に終わった。この国におけるアメリカの関与は、1980年に始まったソ連による占領に応えて始まったので、私は40年と言う。ソ連が1989年に撤退した後でさえ、ソ連による占領に反対するムジャーヒド戦士をアメリカは支援し、決して本当に止めなかった。アメリカの期待に反し、アフガニスタン政府は、更に三年続いた。

 それは完全にアメリカの世界観と一貫しているが、彼らは2021年にアフガニスタンから撤退するだけではなく、破壊の小道を残さざるを得なかった。カブール空港を機能させていた施設は全て破壊された。この無慈悲な破壊を、執念深いと呼ぶのは控えめな表現だ。

 アフガニスタンからの撤退が、世界に広く認められたアメリカの決定からほど遠いことはよく知られている。この決定は間違っていたと強く主張し続ける強い勢力があったし、あるのだ。この抵抗の要素は私利だ。タリバンが、ケシ畑を破壊する1990年の政策を繰り返せば、アメリカは不正収入の重要な源を失う立場にあるのだ。2001年のアメリカ侵略時、世界に大変な殺戮をもたらすヘロインの源であるケシ畑は、ほとんど、もっぱらタリバンが支配し損ねた領域にのみ存在し、元々のケシ畑の5%以下しか残っていなかった。今タリバンが実質的にアフガニスタン領の95%以上を支配しており、残っている小さな地域は、ケシ栽培能力が知られていない。既にカーブルの新政権に接近しているロシアと中国両政府は、ケシ栽培と、今年世界ヘロイン生産高の90%以上になったものの生産に対し、タリバンが同じ非寛容政策を追求するよう期待しているのを明確にしている。

 アメリカ撤退の帰結的意味についての議論で、欧米メディアがほとんど全くケシと、ヘロイン生産を無視しているのは注目に値する。この沈黙の理由を理解するのは、さほど困難ではない。欧米メディアは、アフガニスタンにおけるアメリカの関与が「民主主義構築」の動きだったという意見を長い間支持してきたのだ。ヘロインの世界最大供給元だと認めるのは、欧米が描こうと努力した利他的イメージと適合しなかったのだ。欧米メディアの侵略描写で、ほぼ完全に欠如しているのは、2001年のアメリカ侵略による最も初期の結果の一つは、ケシ生産と、それ故ヘロイン供給の急速な増加だった事実だ。欧米の言説で同様に欠如しているのは、この生産が、栽培のみならず、生ケシのヘロインへの加工と、更に、世界中への物流を、CIAが断固手中に収めた、ほぼ、もっぱらアメリカ事業に過ぎなかった事実だ。そういうわけで、それは、多くの国々の政府に影響を与える彼らの世界計画の一環として使われるCIAの不正資金の重要な貢献者だったのだ。

 このヘロインまん延の結果、苦しんだ三国は、中国とイランとロシアだ。そのために新タリバン政権への、これら三国の支持条件が、彼らが前回権力の座にあった時、タリバンのヘロインに対する執念深い嫌悪を再開させることなのは、ほとんど驚くべきことではない。欧米メディアは、この話題に関する新アフガニスタン政権の見解に、ほぼ完全に沈黙している。だが彼らが前回、権力の座にあった時の彼らの敵意が、どんな形であれ弱まったと信じるべき理由はほとんどない。生産管理は、これまで何千人ものアメリカ請負業者、すなわち傭兵の監督下にあった。またしても、欧米メディアは、アメリカ撤退計画の一部ではなく、おそらく残留するままでいる、これら何千人もの人々の運命については、驚くほど静かだ。新政府下で、連中が、どれほど長い間持続するかは結論の出せない問題だが、彼らは非常に長い時間、い続けるのを許されることはありそうもない。ヘロイン生産に協力した地元指揮官連中の平均寿命は短い。彼らはタリバンによる権力奪取に抵抗し続けると予想されるが、それは崩壊の運命にある抵抗だと思われる。

 ケシ栽培の差し迫った破壊は、代替物という明白な問題を提起する。この産業を養えるだけの十分なケシ栽培に適した場所は世界中ごくわずかだ。裁培業者は主にインドシナの前の生産地域から排除されており、近いうちに中国政府が栽培再開を大目に見ることはありそうにない。ケシ栽培代替源の欠如は、供給を拒否される中毒者たちの世界的な問題を生み出す可能性が高い。供給損失の影響への対処は、とりわけ、両国とも近年中毒が激増しているパキスタンとイラン政府にとって深刻な治療問題をもたらすだろう。長期的には、供給を奪われた中毒者の問題に対処するのは、絶えず増加する中毒者に対処するより小さな問題だ。それゆえ、アフガニスタンからの強制されたアメリカ撤退の主な恩恵の一つは、ヘロイン中毒の世界的流行の低減だろう。近年の成長と繁栄が、もっぱらアメリカの責任である、この恐ろしい商売の崩壊に、さほど多からぬ涙が流されるだろう。欧米メディアが、この事実を論じるのを嫌がっても重要性が減るわけではない。

 ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。』

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