1ドルが137円10銭台なのだそうだ。この24年ぶりとかの安値現象は、普通こう説明されている。米金利が上がり、日本金利は緩和策継続との動向からと。しかしながら、株とか通貨や国債、債券には空売りという大儲け手段が絡んでいる場合も多いのであって、円暴落がずっと警告されてきた「アホノミクス」「財政ファイナンス」日本には、バブルに対する空売りと同様にこの危険も常に警告されてきた。現にこの6月には、月に5兆円ほどの日銀による日本国債買いが16兆円とかになったと聞く。売ったほうはイギリスのあるヘッジファンドだが、空売り策動の狙いはないのかどうか?
こんな機会だから、その空売りの仕組について、今一度説明してみよう。前世紀の末、アジア通貨危機の発端タイ・バーツの空売りはこのように行われた。
『1ドル25バーツから30バーツへの下落というバーツ安のシナリオを予想し、3ヶ月や半年後の決済時点に1ドル25バーツ近傍でバーツを売り、ドルを買う先物予約をする。バーツ売りを開始すると市場は投機家の思惑に左右され、その思惑が新たな市場トレンドを形成していく。決算時点で30バーツに下落したバーツを現物市場で調達し、安いバーツとドルを交換すれば、莫大な為替収益が得られる。96年末から始まったバーツ売りに防戦するため、タイ中央銀行は1997年2月には外貨準備250億ドルしかないのに230億ドルのドル売りバーツ買いの先物為替契約をしていたという。短期資本が流出し、タイ中央銀行は5月14日の1日だけで100億ドルのドル売り介入で防戦したが、外貨準備が払底すると固定相場は維持できなくなり、投機筋が想定したとおりの、自己実現的な為替下落となる。通貨、債券、株式価値の下落にさいして投機で儲けるグループの対極には、損失を被った多数の投資家や通貨当局が存在する。』(毛利良一著「グローバリゼーションとIMF・世界銀行」、大月書店2002年刊)
①「1ドル25バーツ近傍でバーツを売り、ドルを買う先物予約」を例えば100億ドル分やっておく。
②他人のバーツまでを借り尽くしてバーツ空売りを重ねた末に、「決算時点で30バーツに下落したバーツを現物市場で調達」を84億ドル分やれば、2500億バーツが手に入る。
③この2500億バーツで①の先物予約を実行すれば、100億ドルが手に入り、このうち16億ドルが丸々儲けになる。
債券などというものはこうして、高値になったから売って利を出すというだけでなく、「暴落させて儲ける」という道もあるわけだ。そのかわり、「売られた方」の関係者にとってはまさに「生き馬の目を抜かれる」ごとしで、命にも関わるような一大事なのである。こういうことが一国の通貨に対しても常に行われてきた「通貨危機」というのが、まさに株主利益最大化方針資本主義の所業として世界中で無数に繰り返されてきたのである。
こんな機会だから、その空売りの仕組について、今一度説明してみよう。前世紀の末、アジア通貨危機の発端タイ・バーツの空売りはこのように行われた。
『1ドル25バーツから30バーツへの下落というバーツ安のシナリオを予想し、3ヶ月や半年後の決済時点に1ドル25バーツ近傍でバーツを売り、ドルを買う先物予約をする。バーツ売りを開始すると市場は投機家の思惑に左右され、その思惑が新たな市場トレンドを形成していく。決算時点で30バーツに下落したバーツを現物市場で調達し、安いバーツとドルを交換すれば、莫大な為替収益が得られる。96年末から始まったバーツ売りに防戦するため、タイ中央銀行は1997年2月には外貨準備250億ドルしかないのに230億ドルのドル売りバーツ買いの先物為替契約をしていたという。短期資本が流出し、タイ中央銀行は5月14日の1日だけで100億ドルのドル売り介入で防戦したが、外貨準備が払底すると固定相場は維持できなくなり、投機筋が想定したとおりの、自己実現的な為替下落となる。通貨、債券、株式価値の下落にさいして投機で儲けるグループの対極には、損失を被った多数の投資家や通貨当局が存在する。』(毛利良一著「グローバリゼーションとIMF・世界銀行」、大月書店2002年刊)
①「1ドル25バーツ近傍でバーツを売り、ドルを買う先物予約」を例えば100億ドル分やっておく。
②他人のバーツまでを借り尽くしてバーツ空売りを重ねた末に、「決算時点で30バーツに下落したバーツを現物市場で調達」を84億ドル分やれば、2500億バーツが手に入る。
③この2500億バーツで①の先物予約を実行すれば、100億ドルが手に入り、このうち16億ドルが丸々儲けになる。
債券などというものはこうして、高値になったから売って利を出すというだけでなく、「暴落させて儲ける」という道もあるわけだ。そのかわり、「売られた方」の関係者にとってはまさに「生き馬の目を抜かれる」ごとしで、命にも関わるような一大事なのである。こういうことが一国の通貨に対しても常に行われてきた「通貨危機」というのが、まさに株主利益最大化方針資本主義の所業として世界中で無数に繰り返されてきたのである。