九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

随筆  師の思い出というもの   文科系

2015年07月18日 14時01分37秒 | 文芸作品
 ある日連れ合いと、こんな話が始まった。僕らは激しい喧嘩も度々するが、こういうこともよくしてきたのである。想い出に残る師の言動というものだ。

 話はまず、ずっと高校教師をしてきて、退職後10数年経った連れ合いが最近体験したこんなことから始まった。連れ合いの新任の頃の生徒で、その後も連れ合いのために折に触れてなにくれとなく非常によくしてくれる生徒が、その原因となった思い出を語ってくれたという。「学校に通う時、あるバス停で待っていると、先生がこんな声をかけてくれた。『このタクシーで急ぐから、貴方も乗りなさい』。こういうことが二度あったのだが、私には鮮烈でした」。こんな話は勿論、教師の方はもうとっくに忘れているもの。でも、一個人としての「この先生」の人柄のナチュラルさ、良さとして、生徒の脳裏には強く残っているんだねー、ということになった。

 そこで僕が話したのは、これ。僕がずっと尊敬してきた大学教師、哲学者の二つの話である。
 先ず一つは彼が、大学院生だったかの頃のこと。治安維持法に引っかかって長く京都の拘置所だったかに留め置かれ、初めてシャバに出て来て出会った時に、二人の恩師が取った対照的な言動の話だ。一方の、西田幾太郎氏は出会った途端に身近に飛んでくるようにして、こうたずねたという。「M君、身体は大丈夫だったか?」。これに対して他方の田辺元氏はこう語ったのだそうだ。「M君。沈香も焚かず、屁も放らず。分かるな?」。この違いは、これほど鮮明な対照はないというほどに、説明不要のものであろう。
 今一つはこれ。この恩師が福知山の尋常小学校の頃の話である。社会科の授業だったかで、新しい担任の先生が「村落」を「ムラオチ」と読んだ。M先生、散々迷った揚げ句に、手を上げて(多分口籠もりながら)誤りを指摘したと言う。当然、静寂と沈黙。当時の先生という存在は「三尺下がって、師の影を踏まず」、それほどに偉いのである。が、この先生、やがてきっぱりと顔を上げて、こう語ったそうだ。
「先生が誤りを犯した。M君が正しい。僕もこれからはこういう誤りを犯さないように一生懸命勉強するから、君らもみんな、M君のようにしっかり勉強して欲しい」
 すばらしい話だと思う。戦前を少し知っている僕だから、特にそう思う。また、このすばらしさが理解できたからこそ、M先生は終生これを覚えていて、大学の生徒にも話したということなのだろう。
 
 さて、最後の話は担任ご当人にとっても特別な話だろうが、他の話は教師自身、以降はもう覚えてはいまい。すべて自然に出た言動だからである。師が全く自然にやった事が、子どもには終生、鮮烈に残っていることがある。M先生はこんな解説を付け加えてくれたと記憶している。
「教師が何をどう教えてくれたかなどはすべて忘れてしまっても、その何気ない人としての自然な言動こそが子どもの心に好悪両様の学びとして、ずっーと、深く残っているということがあるものです。その残像こそ、人として最も大切な事を教えてくれる。教育って、そういうものではないかと考えてきました」
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『「友人の麻生君が・・・」の元祖?・谷内正太郎氏』の続き  文科系

2015年07月18日 00時11分30秒 | 国内政治・経済・社会問題
 昨17日にエントリーした中日新聞記事・谷内正太郎氏発言の大元、初紹介は、2013年1月10日の拙エントリー。これに関わってその時のエントリー・コメントでもまた、我が敬愛する1970氏とこんな討論があった。その最後の部分のみ、ここに紹介しておきたい。この論議も、今の情勢を振り返れば、極めて大切なものだと愚考する。以下、中にほんの一部、今回加筆したが、修正はない。

【 後方支援さえもダメだし・・・ (文科系) 2013-01-12 22:15:44
 17970さんへ
 あなたの主要な言い分、この部分は全く納得できません。
『つまり、日本が意気がって集団的自衛権やりますと言っても特に必要とされない。
 後方支援なら今まで通りの拡大解釈で可能だからそれでいいんじゃないか。』
 後方支援を行ったイラク開戦がうその理由でなされたとは、今はもう厳然たる史実。この落とし前を、アメリカも日本政府も国民に対して何もつけていないではないですか。心ある国民は、許せないことのはずだ。こんなことをした国の戦争には、今後は後方支援も認められないということです。認めてよいと変わりうるような侘び、今後への保証など何かありましたか。
 それどころか、こういう国と安保条約を結んでいること自体が今は大問題。世界に嘘をついてまで戦争を引き起こし、それに巻き込まれる可能性が出てきたということですから。

 さらにまた、後方支援以上のことも当然要求されるようになるはずだ。日本の財力目当てに若者を戦場に借り出すことを狙って、アメリカこそが影で9条を変えよと画策していると僕は見ていますね。政府負債でさえ1500兆円を軽く超え、家計黒字が1500兆円もある日本に対して家計借金まで入れたらかの国の赤字は一体いくらになるのやら。そんな負債を抱えたあの国は、もうダメだ。だからこそなりふり構わないのだということも忘れてはならないと思います。
 それで僕はこういった。泥舟と共に地獄まで沈むのか、と。冷戦が終わった時に軍事から経済に金を回さなかったから、イラク戦争も起こったのだと、僕は見ていますね。そういうことを20年も続けたら国は疲弊しますよ。要は、産軍複合体とヘッジファンドに食い尽くされた国でしょ? 貧すれば国だって今時人と同じで、何でもやるということでしょう。】 

【  Unknown (1970) 2013-01-13 04:00:07
 幾ら文科系さんが後方支援も認められないと声高に言っても、実際そういう状況になれば、後方支援は行うでしょうね。
もっとも、文科系さんが世論をリードし、そうならないような空気を作ることが出来れば、それはそれで素敵なことだと思いますが。
今日も報道で嘉手納に最強戦闘機F22配備の報があったが、領空、領海侵犯を繰り返す中国には日米協同で圧力を掛けないと何処までやりたい放題になるか分からんからね。
震災の時にはトモダチ作戦で世話になったが尖閣問題でも米軍の力は借りておかないと。
そういえば、フィリピンも日本へ巡視船売ってくれと話がきていたような。
中国も少し大人しくなればいいんだが。 】

【 1970さんへ  (文科系) 2013-01-13 09:53:13
 お返事を有り難うございました。それも、論の違う相手にちゃんと心も礼も尽くされた物で、感謝の念も大きかったです。
『幾ら文科系さんが後方支援も認められないと声高に言っても、実際そういう状況になれば、後方支援は行うでしょうね。
もっとも、文科系さんが世論をリードし、そうならないような空気を作ることが出来れば、それはそれで素敵なことだと思いますが』
 まーこういう希求がこのブログに時間を使ってきた動機でした。僕としてはこの動機が認められたような気がして、嬉しいことです。週延べアクセス3,426人というのがこのブログ過去のささやかな最高数ですが、これを超えていくように頑張ります。なお、ここの読者は閲覧数が多くって、週アクセス累計3,426人というこの11年5月の週は1週の閲覧数累計18,306面でした。昨日までの一週間は、同2,086人の7,360面です。ありがたいことに、何面も読んで行かれる熱心な読者が多いということと、受け取ってきました。(ちなみに、アクセスが少々減ってきた現在でも、閲覧数は週累計1万を時に超えます。ここに来る人はそれだけ熱心にあちこち読んで行かれるということでしょう。ーーこの部分は、2015年7月本日現在の追加です)

 昨日の中日新聞夕刊文化欄に名古屋市立大学伊藤恭彦教授(政治学)への長い対談報告があって、こんなことが書いてありました。
『五百年後の世界史の教科書。そこにはこんな記述があるかもしれない。「20世紀から21世紀にかけて生きた人々は、人類史上最もさもしかった」と』
 弱者を顧みないどころか、これをうち捨てていくグローバル新自由主義経済のことを言っているのでしょう。いわゆる古典派の自由主義経済学の方が、まだ遙かにましと言っているようにも聞こえます。
 人間にはまー、現実ばかりではなく、こういう視点も大事だと考えてきました。500年と言わずもせめて50年後の世を構想した視点等を備えた「現実を踏まえた意識的動物」のつもりなんですが。お手元におありでしたら、読んでみてください。 】

 関心のある人は、こういう関連部分、過去ログも読んで下さいね。
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「友人の麻生君が・・・」の元祖?  文科系

2015年07月17日 00時55分18秒 | 国内政治・経済・社会問題
 過去ログをまた一つ再掲する。現在安倍が語っている「友人の麻生君が・・・」という分かりやすい話(笑)に関わる、その原点を覗く思いがするからだ。
 こういう人物が約1年半前に同じペテン言葉を語っていたと紹介した拙稿だ。ご本人が一昨年の新春に語った物だが、去年の新春にそれを僕が想い出したというエントリーである。

【 なんと愚かな「国防」人事!  文科系
  2014年01月16日 | 国内政治・時事問題

 新設された国家安全保障局の局長に、谷内正太郎氏が着いた。去年新春の中日新聞で、内閣官房参与(元外務次官)として以下のようなインタビュー内容を語った人だ。その末尾のこんな言葉から彼の人格が分かるのだが、こんなイーカゲンな人が国家防衛の中枢?! まるでペテン師のような人格、お人だと思う。こんな人物を内閣の「目玉」新施策の責任者にする?! 日本、安倍内閣って本当にトロイ国、政府だなと思うしかない。

 自民党幹事長は軍事オタクの国防族。近ごろしきりに「国防精神」を上から目線のように説かれている方だが、その思考程度も手に取るように分かるというものだ。こんな人事を敢行したのであるから。

『集団的自衛権については、自らが攻撃された時は他の国に助けてもらう、その国が攻撃された時は「われ関せず」という態度は責任ある大国としてありえない。集団的自衛権は国家の品格、品性に関わる問題だ。米国も、そのような日本の貢献を期待している』
 谷内氏は「国家の品格、品性」などと語られたが、相手を見て物を言えと言いたい。
 最近の米国というのは、嘘の理由で国連の反対を押し切って有志国だけでイラク戦争を起こした国だ。この戦争で無数の自国、他国の50万人だかを殺し、後になって大統領が『あれが嘘だとは全く知らなかった』とテレビで堂々と泣き言を語った国だ。因みに、我が日本政府・外務省は、嘘の理由に丸め込まれて参戦し、莫大な出費で今問題の国家累積赤字をさらに積み上げることになったのだが、なお「もっと汗も血も流せ」などと侮蔑的言葉まで浴びせられたのだった。
 さて、こんなふうに二重に踏みにじられた侮辱について、外務省などからその後、何か国民への釈明とか、相手への抗議とかは、あったっけ?

 さらに論を進めると、こういう相手に「国家の品格、品性」をもって対せなどとは、馬の耳に念仏、蛙の面にナントカで、一銭つぎ込む価値もないどころか、ペテンに掛けられるのが落ちというもの。
 谷内さんに尋ねたい。集団的自衛作戦に品格をもって付き合っていく今後に、またしても嘘の理由で戦争を起こされて、日本や世界の若者などが殺されることはないという保証がどこにあるんです? そういう保証をどこで確認できたのです? 当方が品格をもって遇するべきは、品格のある相手でしょう。こんな重大な背信行為国相手に「国家の品格、品性」を国民にお説教とは。貴方のこの言葉、まるで騙りのようなものだ。

 さらに加えるに、こんなトロイ言葉を新聞という公器でもって不特定多数国民に説いて恥じないこの神経! これは、凄く意識して国民にお説教しているのである。これほどアメリカにコケにされてもなお「着いていきます」と応え、「それが品格(婦徳)だ」と子ども(国民)に説く健気妻! 放蕩亭主アメリカにすがりつき続けるどんなアホ妻なのかと、その顔が見たくなった。こんなのが、外務次官! 外務省ってこんなのばかりなのだろう。一時マスコミで騒がれたことだが、ほとんどの国の日本大使館に超高級ワインを山のように揃えて国家の金でただ酒飲んでいると、こういう人格が育つということだろう。それにしても、恥知らずである。 】
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1970さんにお応え   文科系

2015年07月17日 00時48分36秒 | 国内政治・経済・社会問題
 1970さんからいくつかの質問などがあったので、エントリーでお応えしたい。

『ついでに (1970) 2015-07-14 18:36:45
 今、違憲とやってる人達には是非「そもそも自衛隊が違憲、即刻武装解除しろ」ということをやってもらいたい。
でないと、自衛隊を認めた時点でもう矛盾してるんだよな。個別自衛権は正義で集団的自衛権は悪という捉え方は違和感が非常に強いと個人的に思っている。

 相変わらずだね(笑) (1970) 2015-07-15 20:46:24
 ま、議会制民主主義なんで前回の選挙で公約を掲げて大勝した自民党がこういう流れで安保改正するのは当たり前の話で。
だからまあブレーキになるのは最高裁の判断と次の選挙になるわけだ。議会制民主主義を尊重するならばそれしかない。 (後略)』


 個別的自衛権も集団的自衛権も、国際法には存在しても日本国憲法には存在しない概念だと言うしかない。よって、国際法を日本国憲法の上に置くというならばいざ知らず、そうでないならばいずれも日本国憲法は認めていないというのが当たり前の解釈であろう。日本国憲法では「戦力不保持」は明確なのであるから。そして、「戦力」を持つというならば、正規にして固有の現憲法改正手続きに従って行うのが筋であるはずだ。それも明確な話と言える。70さんのこれら上記の文言は、貴方らしく筋は通っていると申し上げたい。
 なお、上記国際法が上位と言うがごとき見解に関わることについて、もう一言。
 自公政権は、こんな時だけ国際法を上に持ってきた。これは、ご都合主義であると批判したい。イラク戦争では、国連の制止を振り切ってアメリカが募る有志国に加わったではないか。あの既視感は今も鮮烈であるが、開戦理由が嘘だったと分かったときにも、国連の制止を振り切った行為について行ったことについて、政府からはその後何の釈明もなかったはずである。

 選挙絶対多数政権が決めると言われたが、決めるにも法的な筋というものがあろう。それを無視したら国が揺らぐというような条項として。前述の国際法優先しかり、そして「友人が攻められたら、守ってあげるのが礼儀、品位」という国際的現実論しかりである。ちなみに、こんな「現実論」は憲法改定手続きとは何の関係もない。現実に憲法が追いついていないと見た場合でも、正規の憲法改定手続きを取れというだけのことである。そうでない方向に行くのであるから、やはりここでも、立憲主義無視の暴政という批判は出るべくして出た、まっとうなものと言える。

 最高裁云々・・についても不審の既視感がある。中日新聞本日の中日春秋ではじめて知ったことだが・・・。
『一九五〇年代に最高裁判所長官を務めた田中耕太郎氏は「司法の独立」を強く掲げた。だが数年前に公開された米公文書が明らかにしたのは、「憲法の番人」の隠された顔だった。旧日米安保条約の違憲性が問われた砂川事件をめぐり、最高裁でどんな議論が行われているか。田中氏はひそかに米政府に伝えていたのだ▼そうして出された砂川判決は米国を喜ばせたが、この判決を「合憲」の根拠とするのが、安保関連法案だ。安倍首相は今春、米議会で演説し「この夏までに成就させます」と断言していた▼自ら「まだ国民の理解が進んでいない」と認めたのに強行採決したのは、何よりもこの約束をおもんじてのことなのか。最高法規とは、国民と政府との「至高の約束」なのだが。』
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「よたよたランナーの手記」(126) 嬉しいこと続き   文科系

2015年07月16日 11時45分01秒 | スポーツ
 前回は、7日までのことを書いた。あれから、8、11、12日と走って、13日には所属同人誌の一同人の退会問題で、長久手市山野田という所にある彼女の家に行ってきたのだが、その往復をロードレーサーでやった。

 暑さが増してきたから、ランの方は本当に無理をしていない。LSDプラスちょっと高速という走り方で、すべて1時間9キロにさえ届いていない。おかげで心拍数は極めて安定してきたが、その分脚筋維持に工夫、努力が要る。走らない日などは、機会を見つけては両脚爪先立ち100~200回などとやってきた。それで、かえって脹ら脛やアキレス腱周囲などは強くなったのではないか。この年になっても、好きなこと、その努力って僕の身体を本当に裏切らないものと実感するばかりだ。

 昨日、こんなこともあった。上半身の筋トレもこの1年ほどジムでやり始めたとお婿さんに告げたら、「腕相撲しようか」と申し出があった。背も体重もミドル級ほどの彼は当然腕力も凄く強くって、彼の利き手の左はもちろん右手も勝ったことがなかったのだが、昨日は実にはじめて、この右手で勝てたのである。嬉しかったねー! 負けず嫌いの彼にこう言われた。「今度もう一度やりましょう。確かに、左手も以前とは重さが全く違ってますから、僕も頑張らないと・・・・」。これも嬉しかったねー。脚力と同時に手の握力も、その人の活動年齢を長引かせる指標になっていると、最近読んだことがあったから。

 13日に長久手からロードレーサーを飛ばしたときには、帰りは強めの追い風、加えて愛車のチェーンはこの2日に18年ぶりに初の交換を終えたばかり。こんなに軽くこげるものだろうかと驚きつつ脚を回してきた。常用速度35キロ時でも、ギアを上から4段目ほどに落として回転を多くして進むと、疲れたという感じもなく持続できるのである。長久手市山野田交差点から吹上の我が家まで35分で帰ってきた。
 やっぱり努力は裏切らない。ただ、こんな喜びをいつまで続けられるのだろう、最近はこんな時にも、そんな思いがふっと頭をかすめるのである。
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朝鮮日報より    らくせき

2015年07月16日 09時21分06秒 | Weblog

「(審議を)やればやるほど支持率が下がるだけだ」


 衆議院特別委員会の採決を前に、自民党と連立政権を組む公明党の幹部が日本メディアの記者に対し、こう胸の内を明かした。過去2カ月間、日本の主要メディアが相次いで世論調査を行ったが、「安全保障関連法案について理解した(政府の説明は十分だ)」という回答が20%を超えたことはなかった。国会の審議が長期化するにつれ、反対する世論が高まり、安倍政権の支持率は低下した。


 今年4月末、安倍晋三首相が日本の首相として初めて米国議会の上下両院合同会議で演説した時点でも、安倍内閣の支持率は60%近かった(読売新聞の世論調査)。だが今月に入り、朝日新聞や毎日新聞、日本テレビが実施した世論調査では、支持率は30%台後半から40%前半にまで下がった。支持率と不支持率が逆転する現象も共通して見られた。


 11日、安倍首相の口から「決めるべきときが来たら決める」という発言が飛び出した。国民も野党も説得がうまくいかないため、自分の思い通りに採決を強行しようという意味だ、と日本メディアは報じた。15日、衆議院特別委員会は安全保障関連法案を与党の自民党と公明党による賛成多数で可決した。まだ衆議院本会議と参議院の議決が残っているが、そのどちらでも否決される可能性はゼロに近い。


 この日の衆議院特別委員会では、野党の議員たちが「自民党 感じ悪いよね」などと書かれたプラカードを掲げ、「強行採決反対」の声を上げる中、安倍首相が「確信があれば前に進んでいくべきだ」と述べた。問題はその「確信」が、韓国にとっては新たな実験台になりかねないということだ。


 かつて日本は「自国が攻撃されない限り、他国を攻撃しない国」だった。自国が攻撃された場合に反撃できる「個別的自衛権」のみ行使できるというのが、日本の伝統的な憲法解釈だった。ところが安倍首相は昨年7月、それを変更した。同盟国や周辺国が攻撃を受けた場合、日本の存立に対する重大な脅威になると判断されれば、日本が攻撃されたものと見なし相手国を攻撃しても、憲法違反にはならないというわけだ。いわゆる「集団的自衛権」の行使容認だ。


 取材班が会った日本人の国際問題専門家たちは「今、日本には韓国を武力で攻撃する意思はない。それは日本が善良になったということではなく、領土の拡張は今や収益性がない時代だからだ」「日本が集団的自衛権の行使を容認するのは、主に中国をけん制するのが目的だ」と指摘した。一方、韓国の専門家たちは「韓国の国力によって、北朝鮮情勢や北東アジアの勢力図によって、あるいは韓国が米国・日本・中国と結んだ関係によって、『武装した日本』は韓国にとって得することも損することもあり得る」と語った。


 15日、野党の議員たちが安倍首相に対しヤジを飛ばす中でも、自衛隊はオーストラリア北部で、史上初めて米軍、オーストラリア軍との2週間にわたる合同演習に参加していた。英紙ガーディアンなど西欧メディアは「米国が日本、オーストラリアと結ぶ三角の軸を通じ、中国をけん制している」との見方を示した。


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「押しつけ憲法」論に出会ったら   文科系

2015年07月15日 17時27分51秒 | 国内政治・経済・社会問題
 最近ここであったコメント論争のご紹介です。ネトウヨ諸君が、憲法論で何かあるとすぐにこうやって逃げる理屈がある。根本は標記のように現憲法を否定していると。これ自身卑怯な言い逃れに使われることが多いのだが、大事な論点だからこの論自身への一つの批判を以下、ご参考までに。

【 『占領下に制定された現憲法そのものが国際法違反だ!』
 これは、右の諸君がいつも言うことね。でも僕はこう反論したい。満州事変・リットン調査団判定前後から、国際法違反を重ねすぎた日本だから、もうどうしようもない国と観られていた。あの教育体制や治安維持法、天皇統治の大日本「帝国」憲法を残す? とんでもないことだろう。日本に任せていたらそうなったし、今頃また戦争をやっていたかも知れない。つまり任せておけない世界の無法者だったわけだ。それを自覚していたから国際連盟を自ら脱退したんだろ? それでいて国際法適用を主張できるのかね?
 国際法に照らしたらとんでもない無法者が、偉そうに国際法に言う自治、統治権を主張する。おかしすぎる。現行戦後処理の方がどれだけ良かったことか。だから戦後の国民は皆歓喜したわけだよ。 】

【 『占領下に制定された現憲法そのものが国際法違反だ!』
 だからここを僕はこう叩いた。現憲法成り立ちに関わるから大事なポイントだよね。
(中略)
 重ねて聴くが、自らこんな行動を取っておいて「国際法」を適応せよと大声で要求するのかね? 自分から国際法を放り出したようなもんだと僕は観ているが。 
 ちなみに、君が言う(国際法違反の)フセインはたった一回の侵略であれだけやられたけど、天皇は生きているよね。 】

 さて、これに対してやっと、こんな答が返ってきた。
【 分かりやすくひとことでいうと、欧米列強を善と想定して語ると間違う!】

【 僕はこう書いた。満州事変前後から、国際法違反をいっぱいやった上に、その自覚があったらしく日本は国際連盟を脱退して見せた。そういう日本がその後に真珠湾まで往ってしまい、その結果として全面的敗戦を喫したときに「押し付け憲法は、国際法違反!」と、君らは言うのかね?と、そう尋ねたのだ。
 このことと、「欧米列強が善」と、関係があるのかね? まるで、こんなことを叫んでいるように聞こえるが。
 日本国憲法体制に重大違反をして日本国を飛び出た人間が、その前後の行為を憲法で裁かれるときに、こう叫ぶのに似ていると思う。
「憲法を作った連中は善なんかじゃない」
 これって、おかしいと思う。少なくともピント外しで、批判になっていないんじゃないかね? 】

 「押しつけ憲法」論に対しては上のように心したら、僕自身が強い気持ちで対処することができたから、これを書こうと思った次第でした。以上報告に替えて。
 拙稿の再掲で、お目汚し、失礼。
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沖縄は厚遇されているのか?   らくせき 

2015年07月15日 09時48分13秒 | Weblog
琉球新報の記事です。

予算面で国から「厚遇」を受けているとの見方もされる沖縄県だが、全国の自治体と比較すると、突出しているとは言えない。
 2013年度ベースで他の都道府県と比較すると、人口1人当たりの国庫支出金は26万4千円で全国4位、総額3737億円は14位につけている。1人当たりの地方交付税は25万3千円で19位、総額3593億円は18位だった。
 さらに国庫支出金と地方交付税を合計した国からの財政移転は、1人当たりで9位(51万8千円)、総額で17位(7330億円)となっている。国からの財政移転の金額は1人当たりでも、総額でも一度も全国1位になったことはない。沖縄だけが「特別扱い」をされているわけではないことが数字から裏付けられる。
 旧国鉄などによる大規模な開発が行われた本土と違って、米施政権下にあった沖縄にはこれらの大型投資がなかった。その上で、県民経済で見る1人当たりの公的支出額(10年度)では全国14位の104万8千円にとどまっている。県企画調整課は「沖縄だけが特別に国から予算をもらい過ぎているという状況にはない」と説明し、ホームページでも全国との比較を紹介している。

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乱発国債買い取りは、「ニセ札作り」   文科系

2015年07月14日 15時57分50秒 | 国内政治・経済・社会問題
 サンデー毎日に興味深い記事が載った。日銀の黒田氏が「今の政策は、そろそろ危ない」と語っているのだという。勿論しかるべく政府内部会議でのこと。そこから漏れ出てきたニュースだ。
 なお、このことの関連で前にもいくつかのエントリーがある。4月15日『「財政ファイナンス」が破綻する時?』などである。

【 日銀が乱発国債を買う「ニセ札作り」にも限界  サンデー毎日 2015年7月19日号

 ギリシャ危機を目の当たりにしても、日本の指導者はあっけらかんとしている。しかし五カ月ほど前、こんなことがあった。
 正確に言えば2月12日、安倍政権の経済・財政政策の基本方針を決める「経済財政諮問会議」の席上で、黒田東彦・日銀総裁が「ここからは、オフレコにしてくれ」と切り出した。

 議事録には、黒田総裁の発言として「財政健全化を強く希望する」という言葉だけが記録されているが、この会議には安倍晋三首相、麻生太郎・副総理、榊原定征・経団連会長らのほかに、関係各省の副大臣、官僚ら30人以上が出席していたから、「オフレコ」のハズの黒田発言の中身は徐々に霞が関に広がっていった。
 黒田発言とは(その後の『日本経済新聞』の報道などをつなぎ合わせると)―。

〈皆さん、ご存じかも知れないが、今、日本国債の格付けが引き下げられた。その状況で、スイスに本部を置くバーゼル銀行監督委員会では「日本国債を損失が出ない安全な資産と考えるのはおかしいのではないか?」という議論が始まっている。国債をリスク資産と見なし、格付けに応じて査定するように銀行の審査基準を変更するという議論なんだ〉
 ここまで聞いて、参加者は静まり返った。これまで銀行が保有する国債は、リスクゼロ資産とされていた。それが......。
 黒田さんは「基準が見直されれば大量の国債を保有する日本の金融機関の経営が悪化し、国債が売れなくなって金利急騰につながりかねない」と説明した。国債はもうダメかもしれない、と弱音を漏らした、とみた向きもあった。

 日本国の借金は2014年12月末時点で約1030兆円。国民1人あたり約811万円に達し、国内総生産(GDP)に占める割合は231・9%にまで膨らんでいる。
 戦後、日本は「預金封鎖」(1946年)の悪夢を経験したが、その時、国の借金は対GDP比204%だったからこれを上回る。
 この黒田発言と関係するかどうかは判然としないが、その数日後、NHK「ニュースウオッチ9」(2月16日放送)は「終戦直後の預金封鎖」を特集した。

    ×  ×  ×

 前回、「10年後、『貧乏人は戦地に行け!』が待っている」と書いたら、複数の読者から「大げさではないか?」とのご指摘を受けた。
 そうかもしれない。が、大げさではない!とも思う。そこで敢(あ)えて、約半年前の「黒田オフレコ発言」を披露した。
 そして注目されるのは、その場に居合わせた安倍さんの反応だ。黒田さんが日本国債の格付けに触れた時、安倍さんは「だから日銀が格付け会社と議論して、説得すればいいじゃないか」と反論した。黒田さんは「以前、どれほど格付け会社とやりあったか、ご存じですか。まったく、彼らは受け付けませんよ」と言い放った。
 やり取りを聞いた人々は首相の「経済オンチ」に唖然(あぜん)とした。

    ×  ×  ×

「異次元の金融緩和」などと称して、日銀が国債発行の80%を買うという、異常な政策を二人三脚で進めてきた安倍・黒田コンビ。二人に亀裂が生まれた!というつもりはないが、二人にとって「破綻寸前のギリシャ」は他人(ひと)事ではないはずだ。
 当方も経済については素人だが、国が垂れ流す国債を無制限に中央銀行が直接、引き受けることを「財政ファイナンス」と言い、「国債マネタイゼーション」(国債の貨幣化)とも呼ぶことを知っている。
 多分、この言葉すら、安倍さんは知らないのではないか?
 はっきり、言おう! 中央銀行が国債を大量に印刷して、それを引き受け、カネに換える。過ぎたる国債は「ニセ札」ではないのか? 】
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イラク戦争が教える安保法制の危うさ   文科系

2015年07月14日 14時47分03秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 安保法案関連では、日本人はイラク戦争をもっともっと思い返すべきだ。

① 「大量破壊兵器を取り除く」という嘘の理由を大々的に世界のマスコミに流して、開戦した。20世紀末の湾岸戦争の時とは違って国連の制止があったのに、それを振り切って有志国だけでやった。その結果がこれ。関連死含めたイラクの死者は50万人を越えた。そういう国際調査団の発表があった。
 さらに、このイラクが、イスラム国誕生の温床にもなった点はどれだけ強調しても強調したり無い。
 ちなみに手元に、アメリカのイラク戦争反省記事が残っている。どんな風に反省しているのか。
・まず、06年1月6日夕刊。見出しは『国連尊重すればよかった イラク開戦を回顧 欧州との連携 米大統領「教訓」』。この大統領とは、ブッシュのことである。テレビに出て「大量破壊兵器がなかったなんて、ちっとも知らなかった」と泣き言さえ言って見せた。
・次いで、06年4月8日夕刊。『イラク政策で”すきま風”』。「戦術的な誤り犯した ライス国務長官」VS「何のことか分からぬ ラムズフェルド米国防長官」。
・今一つは07年5月2日、『新著などで、元CIA長官 イラク開戦批判 ブッシュ政権幹部は防戦』。これは、イラク戦争開戦当時のCIA長官、ジョージ・テネットの新著紹介をしている。CIAなど情報機関の情報を軽視して、当時のチェイニー副大統領らが開戦を強行したと真相を明かしたものだ。

② さて、こんな国と今、9条の日本が集団的自衛体制に入り直そうという。「友だちが襲われたら助けるのが礼儀」とかの馬鹿な理屈を使って。こんなのは、憲法の条文とは何の関係もない屁理屈にすぎない。政府による重大な立憲主義蹂躙である。これが分かるからこそ、政府はさらにこんなごまかしを言う。
「憲法を現実に合わせる」と。バカ言っちゃいけない。憲法を現実に合わせる必要があったとしもその場合は、憲法に書いてあるやり方に従ってやるものだ。それ以外は立憲主義が禁じている国家権力による暴政というものである。憲法学者のほとんどが反知性主義というのは、そういうことなのだろう。

③さらにさて、右翼は社会ダーウィニズムさながらに「戦争は無くならない」という。そんな彼らはイラク戦争も普通のこと、慣れっこのように扱うのかも知れない。それはともかく、「戦争はなくせる」という側はイラク戦争をこそ21世紀最大の国際的侵略行為と見るべきだろう。ならば、この安保法制は国際的侵略行為の片棒をかつぐ覚悟、重大決定ということになっていく。
 こんな①のような国を友人にし直すなど、とんでもないことである。まるで自ら凶暴なヤクザ団体に入っていくようなものであって、危なくて仕方ない。なんせ、当時のアメリカ為政者たち全員が①のように、他人に責任を転嫁し合い、自らは逃げ回っているのだから。


 かくして、安保法制が決定されたら、9条の日本で21世紀最大の愚挙と後世語られることになるだろう。ちょうど、満州事変をエスカレートさせてリットン調査団に糾弾された上に、国連脱退にまで持っていった当時の陸軍軍部、関東軍の愚か者たちのように。ちなみに今のアメリカも、国連無視が目に余るようになった。

 こうして、何が「中国脅威」かと言いたい。日本自らが、この安保法制によって世界の脅威になるということだろう。「中国脅威」は、その煙幕と見るべきだ。
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新聞の片隅に載ったニュースから(205)  大西五郎

2015年07月13日 16時37分30秒 | Weblog
TBS議員アンケ 自民「答えないで」(15.7.11 朝日新聞)

自民党が、安全保障関連法案について、TBSのアンケートに答えないよう党国会議員に指示を出していたことが分かった。失言を恐れて議員のテレビ出演も制限しているが、ここまで議員の活動を縛るのはやり過ぎとの批判も出ている。
アンケートは自民議員を対象に配布。与党がめざす今月中旬の衆院採決が妥当か▽国民の理解が十分得られているか▽法案は「違憲」だと思うか――を選択式で問い、最後に安保法案の必要性についての意見を自由記述で求めている。
党関係者によると、棚橋泰文幹事長代理の指示を受けた党職員が「微妙な時期ですから、答えないようにしてください」と各議員の事務所に連絡したという。
ある中堅幹部は「議員を子ども扱いしている」と批判。別の党議員からも「自由な意見が言えないほど余裕がない状態に追い詰められていると認めるようなものだ」との声が漏れる。
谷垣禎一幹事長は10日の記者会見で、指示については「承知していない」と述べた。TBS広報部は「番組制作の過程はお答えできない」としている。

□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□

どの世論調査でも「安保関連法案についての政府の説明が不十分だ」という答えが80%を超え、今国会での法案成立に反対が過半数です。しかし安倍首相と自民党幹部はこのような世論を無視して、7月15日に安保関連法案の特別委員会採決、16日に衆議院本会での採決というスケジュールを予定どおり進めようしていると伝えられます。そのために党の議員が余分なことを言って法案成立のスケジュールに支障を来たさないようにと、議員の口にチャックをかけたということだと思います
自民党では目下の政治の大きな問題となっている議案について、議員が議員としての見解や意見を持つことを禁じ、法案採決時の一票としか議員の価値を認めていないように思えます。
中堅幹部が「議員を子ども扱いしている」と批判したということですが、今の自民党の若手議員は先日の若手議員の勉強会(文化芸術懇話会)でのマスコミ規制発言にも見られたように、民主主義についての認識・理解に欠け、国会議員としての資質を持っていなくて、子ども扱いされても仕方ないようにも思えます。
また、幹事長が「マスコミからのアンケートに答えないように」という指示を、党幹事長代理が党職員を通じて各議員の事務所に連絡したということを「承知していない」と記者会見で答えたといいます。朝日新聞としては「党の幹事長代理がそのような指示を出したことを幹事長としてどう思うか」と追求すべきではなかったでしょうか。
記者会見で質問が出されたというのに、他のマスコミが報じていないのも可笑しなことだと思います。TBSのアンケートは殆どの憲法学者から「違憲」と言われている安全保障関連法案について法案推進の与党議員がどう思っているかを国民に知らせる重要な手段です。マスコミ・ジャーナリズムは「権力の見張り番」といわれます。その役割を果すようにして欲しいと思います。
                                               大西 五郎
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新聞の片隅に載ったニュースから(204)   大西五郎

2015年07月13日 16時33分06秒 | Weblog
7月18日全国一斉に「安倍政治を許さない」を掲げる運動(15.7.10 中日新聞)

作家の沢地久枝さんやジャーナリストの鳥越俊太郎さんらが東京都内で記者会見し、今月18日の午後1時に「安倍政治を許さない」とメッセージが書かれた紙を全国で一斉に掲げる行動をすると発表した。作家や大学教授ら100人超が呼びかけ人となり、安全保障関連法案の成立を目指す安倍政権に反対の意思を表明する。
メッセージは俳人で本紙1面の「平和の俳句」選者の金子兜太(とうた)さんが書いた。コピーを入手し、全国各地の駅前や街頭、自宅の窓など、さまざまな場所で掲げてくれる賛同者を募っている。名古屋市では同時刻に、東区のウイルあいち前で社会学者の上野千鶴子さんの呼びかけでメッセージを掲げる。
メッセージは沢地さんのホームページからダウンロードできるほかセブンイレブンの「ネットプリント」サービスでも入手できる。
(中日新聞記事の見出しの言葉とは違っています。新聞のものより分り易い表現に直しました。)

□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□

沢地さんのホームページには「2015年7月18日(土)午後1時。このコピーを一人ひとりが道行く人に見えるようにかかげるのです。一人で悩んでいる人、誰にも声をかけられない人は我が家の前で、あるいは窓辺で。どこでも、あらゆる形で。(中略)勇気のいる世の中かもしれません。『許さない』勇気が試されます。政治の暴走を止めるのは、私たちの義務であり、権利でもあります。」と参加への呼びかけが掲げられています。
呼びかけ人は、瀬戸内寂聴さん、小山内美江子さん、むのたけじさん、早乙女勝元さん、倉本聡さん、妹尾河童さん、新谷のり子さんら7月7日現在で110人にのぼっています。
沢地さんのホームページは、インターネットの沢地久枝で検索できます。
ホームページが開いたら「掲げるポスターはこちら⇒安倍政治を許さない」をクリックすると金子兜太さんが墨書した「アベ政治を許さない」のメッセージが出てきます。原寸はA3です。一般の家庭のプリンターはA4対応だと思いますが、私はA4でプリントアウトしてコピーでA3に拡大しました。(ホームページにはセブンイレブンのネットプリントは、予約番号なども掲示されています。A3、白黒 1枚20円です。)
きょう(10日)の中日新聞には、日弁連の勉強会で元最高裁判事の那須弘平さん(現在は弁護士)が「日本の安全が脅かされるほどの緊急かつ深刻な事態が現実に起きているとは思えない。現段階では、新たな解釈が正しいという説明を政府はしていない。憲法前文は不戦の誓いで平和を願う祈りの言葉。これを基本に国会は良識ある判断をしてほしい」と強調しました。
安倍首相は「憲法判断するのは最高裁だ」と言って、憲法学者の違憲論を無視しましたが、元最高裁判事の言葉を何と聴くのでしょう。どの世論調査でも安保関連法案に反対が過半数です。それでも今月半ばには衆議院で採決しようとしている「安倍政治は許せません」ね。
                                           大西 五郎
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安保法案への学者たちの声   文科系

2015年07月12日 13時55分02秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 6月11日のここに「憲法曲解賛成法学者の共通点」というエントリー拙稿を載せさせていただいた。内容的にこれに関わって今日12日の中日新聞朝刊は8~9面全部(この2面には通常の広告もないから、文字通り全面この記事で埋まっている!)を使って「安保法案本紙アンケート 憲法学者120人の声」という特集を組んでいるので、これを全国にご紹介したい。
「安保法案は合憲か違憲か」「9条は改正すべきかどうか」などの質問に204名の回答があって、実名公表に同意した120人の意見を要約掲載している。なお、回答者204名のうち「同法案は違憲」が184名(90%)、合憲はたった7名である。「9条を改訂するべきではない」も153人で75%、「改訂するべき」は17人に過ぎなかった。

 これでも近くこの法案を通すというそのおかしさを、改めて憲法学者諸氏の意見でもって指摘してみたい。こういうやり方は理屈も何もない反知性主義であると語った学者もいたが、安倍政権のやり方は数の暴力そのものであると強調したい。

①まず、自衛隊自身が違憲だというもの

『自衛隊は憲法9条二項で保持を禁じている「戦力」に該当し、安保法案は違憲である』(倉持孝司・南山大学教授)
『政治家が憲法を守る気がない点は欧米にはほとんど観られない。憲法より政治を上位に置く思想は近代以前の極めて野蛮な考え方である』(多田一路・立命館大学教授)

②次に、集団的自衛権を日本国憲法から観て違憲とするもの

『従来の政府解釈に言う「自衛」とは日本が武力攻撃を受けた場合の反撃を意味し、それが憲法9条二項の下で自衛隊を合憲とするギリギリの線だ。今回の安保法案は他国への武力攻撃に対して自衛隊が武力行使することを可能にしており、このギリギリの線を踏み越えてしまっている』(本秀紀・名古屋大学教授)
『集団的自衛権行使を認めるなら、9条改正を訴えてそのルールに乗せるのが立憲主義の基本。それを無視して内閣の解釈変更で行うことは姑息で、立憲主義のルールに反する』(阪口正二郎・一橋大学教授)

③日本国憲法理念の強調や、立憲主義の主張として

『わが国は軍事力を行使しないということで国際的信頼を得ており、それが日本の平和的存立につながっている。大量破壊兵器時代の今日にあっては戦争をしない国際関係を構築することが国家存立の基礎であり、わが国の憲法はその点からみて人類史的意義を持つものだと思う』(石崎誠也・新潟大学教授)
『憲法9条二項の徹底した平和主義は極めて先駆的。世界の平和と安全保障をめぐる複雑な状況の下で、「武力なき平和」のコンセプトを明確に打ち出すこの憲法の存在意義は、むしろ高まっている』(水島朝穂・早稲田大学教授)
『安倍政権の憲法に関する一連の態度は、明らかに立憲主義に反しており、憲法上許容できるものではない。安保法案をめぐる今回の論議は、現政権の立憲主義への挑戦、憲法の否定ととらえねばならない』(森保憲・桐蔭横浜大教授)
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書評「プーチン 人間的考察」(6)人脈、贅沢、マッチョ演出、カバエワ  文科系

2015年07月10日 15時36分44秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
①人脈

 ロシアでは何事も「主人と仲間」。これを「屋根」(互いに守り合うという意味でもあるのだろう)とも名付け、政治でもこの義理と人情が法制よりも優先するという。プーチンのその人脈は彼の誕生日に呼ばれる人々とのことで、初めて大統領になった年のその人数が21人。現在は携帯直通者40~50人で、その内訳はこんな風である。まず、KGB時代の同僚など。次いで、レニングラード大・同市役所の周辺。そして、特別なのがこれ、オーゼロ・グループと呼ばれている人々である。オーゼロとは湖のこと、レニングラードから近いフィンランド方面にラドガ湖という湖があるが、そこの協同別荘組合の8人である。レニングラード時代の友人たちらしいが、全員がロシア政府幹部、ロシア鉄道社長などの大実業家、政府系研究者などなどになりおおせている。
 裏切らない限りは仲間を大事にするというのも、プーチンの大きな特徴である。ただ、これらの人々のなかから、自ら辞表を出して仲間を抜けていった人々もいるということだ。さもありなんと思うばかりである。

②贅沢

 先ずプーチンの財産だが、400~500億ドルと推定されている。石油株200億ドル、ガス関連株130億ドルなどと目に見えたものがあるのだから、わりとはっきりしているようだ。それにしても、サウジアラビア国王の財産210億ドルを例にあげて説得するこの金持ちぶりは凄まじい。
 所有邸宅が、エリツィンから譲り受けた12の公邸を含み20か所。58の飛行機とヘリコプター、700台の車に、ヨット4つだそうだ。ちなみに、ロシアのステイタス・シンボルは1にヨット、2が大邸宅、3が飛行機で、4に車と書いてあった。
 朝食を正午に摂り、その後2時間はプールとジムというから、いつ仕事をするのだろうか。ちなみに、夜型人間と紹介してあり、会談するのにメルケル首相でさえかなり待たされたということだ。
 
③「マッチョ・プーチン」の漫画

 常にカメラマンを同行していているのは「マッチョ」演出のためだという。彼のこの癖はもう秘書らも知り抜いていて、先回りした彼らがやるものの方が多いようだ。たとえば、
 同行テレビクルーが突如現れたアムール虎に襲われそうになった。とっさにプーチン、脇の銃をひったくって撃ったと。これは事後談がすっぱ抜かれて、近所の動物園から麻酔で半分眠っている虎があらかじめ放たれていたという話なのである。
「プーチン、5000人のオートバイライダーを引き連れて、黒ずくめハーレー・ダビドソンで先頭に立つ雄姿」という絵も大喧伝された。而してその真相は、こうだと語る。あの400キロのハーレーを彼が操れるわけがないと言いだした人が出た。調査の結果はフルオートマティックで、かつ3輪のハーレーをカナダに特注したのだと。その前輪とプーチンだけを撮したのが件の絵であったというお話である。
 こういうパフォーマンスが選挙にも極めて有効というのも、ロシア的ということか。2012年3期目の大統領選挙得票率は、64%。ただし、人口1000万人の首都モスクワでは、47%だった。シリアとウクライナの「国威発揚行動」が成果を上げたと見えた時期の支持率は、一時86%に跳ね上がったという。シリア問題ではアメリカに抗して欧州を分断して見せたのだし、ウクライナ問題は日本の新聞で騒がれてきた通りの報道、説明をこの著者は行っている。


④カバエワ

 新体操のカバエワを皆さんご存知だろう。04年アテネ五輪の新体操個人総合部門優勝者だ。ロシア社交界の花形セレブにして、プーチン与党の下院議員にもなっている。二人の仲が新聞種になったのが08年4月、年齢差31歳の恋である。その後彼女は未婚の母になっている。09年に男児出産、12年には女児出産。そして、糟糠の妻リュドミーラとは、13年6月に離婚。

(この書評はこれで終わります)
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書評「プーチン 人間的考察」(5)人誑(たら)し名人  文科系

2015年07月09日 23時17分25秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 この本は著者が表題にも、また本書中でも繰り返し語っているように、プーチン個人の人間を描くというもの。それはそれで面白いのだが、その内容的にはまーゴシップ満載というところだ。その点はここまで観てきた通り。それほど今のロシアが腐った国というのを庇うつもりは毛頭ないのだが、それにしてもと考え込んでいた。まるで、ロシアという国もプーチン個人も、全く良いところがないと述べているような。としたらこの著者、なぜこんな本が書けたのだろう。いくら東西のプーチン著作を渉猟した博識の実証的研究をご披露するにしても、こんな週刊誌のゴシップのような記述を集めて来て税抜き5500円もする本を書くことを、ある人にはその一生の集大成の一つのように出来るものだろうか。そんな疑問だ。関連してそもそも、僕みたいな物好きと違って、こんな高い本を誰が買うのだろうという疑問もわく。そこで思ったことだが、多分アメリカの学会や関係の米政治世界で翻訳が出てそれも売れると目論んだのだろう。その証拠に、そもそもこの著者は、京都大学法学部を卒業して、アメリカはコロンビア大学で博士号を取っている。
 そんなことを僕は自問自答していた。
 ともあれ、今回まず一つは、この書に書いてある二つだけのプーチンの異能の一つ、人誑し能力についてまとめてみる。次回には、著者のお望み通り彼のゴシップをさらに集めてみよう。ちなみに、もう一つの彼の異能は、柔道家としての才能と努力。26歳でレニングラード市125ポンド級柔道チャンピオンになっているのだが。
 こうしてつまり、あと一回でこの書評を終わる積もりだ。

 人誑し名人、プーチン

 モスクワ大統領府に勤め始めてたった3年半で、数ある候補を押しのけてエリツィン後継者に選ばれて大統領になったプーチン。著者は、その最大の要因を表題の能力に観ている。こんな短期間でエリツィンとその「ファミリー」に己を信頼させた能力のことだ。著者はこの能力をこう説明している。

 人が人に己を信頼させるには、相手をそのまま受け入れて見せることによって相手と同種の人間であると強く思わせ、相手の熱烈な共感を得てしまう能力と。この説明のために著者は、こんなアメリカのある心理学者の用語を使ってみせる。コミュニケーションの要点は、相手の受容(アクセプタンス)と共感(エンパシー)であって、プーチンはこの力に秀でている、と。
 この能力はKGBで修練した。プーチンが非常に若い頃から関心を持っていて接触を始め、結局そこを職場としたKGBの最大の教養だとも、著者は話を進めていく。KGBではこの能力(養成)を「個人的関係形成能力」と呼んでいるようだ。一言で言えば、相手に影響を及ぼせる人間になれということのようだ。

 因みにこの章とは全く違う「第4章 東独」のところに、東独滞在時代の同僚のこんな証言もある。
「東独市民をソ連の情報提供者に工作する能力は非常に秀でていて、東独時代のプーチンはこれで2回昇進している」
「エモーショナルな人間なのに、必要なときには並外れた自己制御能力を発揮する」
 
 プーチンが3年半で大統領になったのはエリツィン初めそのファミリーを、こういう能力で誑し込んだということなのである。
 また、大統領になってから長くプーチンに会おうとしなかったアメリカ大統領ジョージ・ブッシュがはじめて彼に会わざるを得なくなった機会にプーチンが彼をめろめろにしたというのも、有名な話のようだ。プーチンはブッシュにこんな話をしたと言う。
「幼いとき貧しい母からギリシャ正教の洗礼を受けさせられて、一つの十字架をもらった。以来私はそれを片時も離さず、聖地エルサレムに行ったときには清めてもらいさえした」
 この話によってブッシュが抱いたプーチンへの信頼を、ブッシュがこう語っている。そんな文献が残っているらしい。
「私は、この男の眼をじっと見た。すると、彼が実にストレートで信頼に足る人物であることが判った。私は彼の魂を感じることができたのである」
 こうして、プーチンに会おうとしなかったブッシュが、たった一度会っただけでファーストネームを呼び合う仲になったというのである。凄い! 
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