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ベネズエラ「政権転覆策動」(3) ブラジルで「これはクーデターだ」    文科系

2017年05月17日 11時15分53秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ベネズエラとともに南米で政変推移が注目されてきて、去年政権が転覆されたのが、ブラジル・ルセフ政権。それも、チリと同じように、政権中枢内部にもクーデター派がいました。チリで大統領殺害によって転覆されたアジュンデ政権の後に大統領になったのは、悪名高きピノチェト。彼は、執拗なアジュンデ反対派が多かった軍部の中では、海軍幹部達と並んで政権支持派の将軍と言われてきた人物。政権が転覆した途端に本性を現して大統領になった訳です。つまり、その内部から政権を攪乱し、崩壊目指していたということ。政権内部の中枢にいるスパイだった訳で、これでは政権は潰れます。なお、チリのこの事情については、記録映画「チリの闘い」を昨年10月21日にここで紹介しましたので、ご参照下さい。エントリー右欄外の今月分カレンダーの下にある「バックナンバー」年月欄で「2016年10月」をスクロール・クリックすると、すぐ上のカレンダーが10月分に入れ替わりますから、その21日をクリックして下さい。エントリー本欄が2016年10月21日だけの物に替わりますので、「チリの闘い」を探して、お読み願えます。この後のアジュンデは、「毒を喰らわば皿まで」というのか、チリの左翼を大量虐殺して死ぬ間際になって告発されました。そんな人生こそ歩みたくないものという典型人物です。

 さて、去年のブラジルも同じこと。だから「これはクーデターだ」と。それも政権中枢内部にスパイがいたクーデター。果て、そのスパイとは?


ブラジル・ルセフ大統領が弾劾裁判で失職「これはクーデターだ」一体どういうこと?

ブラジルの上院議会は(2016年)8月31日、政府会計を不正操作した背任罪で職務停止となったルセフ大統領の弾劾裁判を採決し、有罪61、無罪20の賛成多数でルセフ氏の罷免が決まった。ロイターなどが報じた。

ルセフ氏の罷免に伴い、ミシェル・テメル副大統領が大統領に昇格する。任期は、ルセフ氏の残り任期となる2018年末まで。弾劾裁判で大統領が罷免されたのはブラジル史上初めて。1992年に当時のコロル大統領も汚職疑惑で弾劾裁判にかけられたが、採決の直前に辞任している。

ルセフ氏は公邸で会見し、「テメル氏らはクーデターで権力を手にした。私は何の不正もしていない」と述べた。一方テメル氏は「国民のために公共の利益を促進する」と宣誓した。

BBCによると、ルセフ氏は軍事政権時代に左翼ゲリラとして活動し、国家反逆罪で3年間投獄されたのを経て、82年に政界入りし、リオグランデ・ド・スル州のエネルギー通信相を務めた。2001年には左派・労働党のルラ大統領政権で鉱業エネルギー相、官房長官を歴任した。2010年ルラ大統領の後継者として大統領選に出馬し、決選投票でセラ元サンパウロ州知事を下して当選。2011年1月、ブラジル史上初の女性大統領に就任した。

しかし、ルセフ氏が取締役を務めていた国営石油企業ペトロブラスの汚職疑惑で、ルラ元大統領らが訴追された上、2015年の経済成長率がマイナスとなるなど経済の低迷し、支持率が急落。ルセフ大統領も、社会保障費を捻出するために財政赤字の会計を不正操作した背任罪に問われ、5月12日に 弾劾裁判の開始が可決され、180日間の職務停止処分となった。

大統領に昇格するテメル氏は、中道右派の最大政党ブラジル民主運動党(PMDB)の党首。レバノン移民2世で、下院議長を3回務め、過去20年の大統領と協力して連立政権に加わるなど政治経験は豊富だが、ルセフ政権の支持が低下すると連立政権を離脱し、後継の大統領を狙っていた。しかし、世論調査で「大統領にふさわしい人物」として支持したのはわずか2%程度で、国営石油企業ペトロブラスの汚職疑惑でも名前が浮上している。ルセフ氏の職務停止に伴い大統領代行に就任したが、暫定政権の閣僚23人全員が白人男性で、女性や黒人が1人もいなかったことから批判を浴びた。』


 以上は、ハフィントンポストのニュースで、この真偽とかの解釈は読者各人にお任せします。ただし、チョムスキーの著作など僕の長年の中南米観測では、ここの全てが事実。そして、チリ以降の南米の政権転換には、アメリカと左翼のつばぜり合いが絡んでいることが確実と愚考してきました。ちなみに、南米における「解放の神学」と呼ばれたカトリック一派も、アメリカに抵抗してきた長い歴史があります。これだけ人気が高かった大統領を国内勢力だけで仕留めることなど、到底出来ないとも愚考します。この当該副大統領が大統領になって、このとてつもない不人気というのがまた、その証拠になります。「国民は知っている」、「チリと同じように、ブラジル上層部とアメリカとが結びついた画策」ということなのでしょう。


 ベネズエラといいブラジルといい、長い目で見るならば、南米におけるアメリカ人気の凋落は、イスラム世界と同じでしょう。ブレーキが外された坂道の車。トランプの「国内重視」も、そんな「やり過ぎ」の結末という所から来ている。アラブ相手にも、国連安保理拒否権をイスラエル絡みでアメリカは何十回使ったやら。
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ベネズエラ「政権転覆策動」(2)   文科系

2017年05月16日 13時13分40秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 先ずアメリカ財務省がベネズエラにこの2月行ったことに対する、このニュース。

米財務省外国資産管理局(OFAC)は2017年2月13日、ベネズエラのタレク・エルアイサミ副大統領が「国際的な麻薬密輸で重要な役割」を果たしたとして、同副大統領に厳重な制裁を科したと発表した。
 財務省によると、エルアイサミ副大統領はベネズエラからの麻薬密輸に関連して、ベネズエラ空軍基地を出発する輸送機の運航や、複数回にわたりベネズエラからメキシコや米国へ輸送された1000キロ以上の麻薬密輸にかかわったとされる。
さらに、メキシコの麻薬密輸組織「ロスセタス」への密売にも関与したほか、コロンビアの麻薬王を保護したとしている。
同副大統領に対する制裁では、米国内の人物がエルアイサミ副大統領と取引することを禁止し、米国内にある同副大統領の資産を凍結した。』

 ベネズエラ政府はこれに対して、即座に反論声明を出すと共に、この声明を世界非同盟運動会議に持ち込んで、以下2番目の文書を引き出している。以下に日本外務省訳出のその2文書をご紹介するが、世界非同盟運動というのは、ウィキペディアによれば、こういうものである。
『第二次世界大戦後の東西冷戦期以降に、東側西側のいずれの陣営にも公式には加盟していない諸国による国際組織。1961年に設立され、2009年の時点で参加国は118、オブザーバー参加国は16。』

ベネズエラ・ボリバル共和国 人民権力外務省
 声明

ベネズエラ・ボリバル共和国は、アメリカ合衆国財務省外国資産管理局(OFAC)がベネズエラのタレク・エル・アイサミ第一副大統領に対して犯した領土外に及ぶ独断的行為を断固として拒否し、非難し、抗議する。
俗悪で容認できない帝国の権利の存在を認めようとするこれら行為は、米国政府の機関に特別な警察権を与えるものであり、最低限の国際的な合法性をも欠き、国際公法、国際的組織体制、並びに主権平等の尊重及び国家の主権免除の原則などといった諸国家の共同体の規律となる基本的原則に明白に背き、私たちの祖国に対して重大な害と攻撃を加えるものである。
さらに、
国家の至上の権力を傷つけるものであり、疑いなく、品位と価値ある一人のベネズエラ人に対し明らかな偽証を行うものである。彼に対する告発には現実に何らの裏づけもなく、北米の帝国が攻撃のために常々用いる奇怪な嘘であり、幹部を攻撃しその役割遂行を弱める国際的な仕組みの一部となっている。
その領土的範囲を超越して支配を及ぼそうとしている米国の当該機関は、罰されることなく米国麻薬取締局(DEA)と手を携えて行動している。DEAはコロンビア及び世界の最も有名な麻薬取引の闇組織とともに麻薬の製造・取引に厚顔にも関与していることが広く知られている。
DEAとの連携が2005年に終了して以来、ベネズエラは毎年平均55.7トンの麻薬の押収を達成してきており、その能率は60%上昇した。そのため国際連合はベネズエラを世界で最も麻薬の押収が多い6カ国の1つと認めるとともに、領土内で麻薬栽培がない国だとしている。ベネズエラは、麻薬の国際取引に使用される航空機の遮断、不使用、停留、抑止を定めた法令を公布した大陸でも数少ない国家の一つであり、これにより100機以上の航空機に影響を行使してきた。
ベネズエラ・ボリバル共和国の第一副大統領は、優れた犯罪学の専門家であり、ウゴ・チャベス司令官政権での治安問題に対する際立った対処、並びに麻薬密取引やコロンビアのパラミリタリーとの断固たる闘いで知られており、麻薬組織の長102名以上を摘発し、米国から引き渡し要請のあった麻薬密売人21名を引き渡した。
米国の執行機関が犯した国際的違法行為は、私たちの二国間関係において前例なき出来事である。私たちの国の法及び憲法上の秩序をかく乱することに従事してきた在ベネズエラ米国大使館の臨時代理大使は、ベネズエラの民主的体制に対し政治的打撃を加えるため、弱く絶滅したベネズエラの野党過激派に息吹を与えようとしている。
この非常に重大な攻撃により、ベネズエラの主権が及ぶ範囲が傷つけようとされ、タレク・エル・アイサミ副大統領の名誉、世評、尊厳及び人権が侵害されている。
米国の官僚組織が、ベネズエラ野党の暴力的・過激分子と犯罪的に結びつき、バラク・オバマ前大統領が犯したベネズエラに対する歴史的過ちを新しい政権との関係に踏襲させようとしていることは遺憾であり大変危険である。
私たちは平和の国民であり、民族自決の原則、主権尊重を愛する者であり、さらに国際秩序と国際法に愛着を抱く者である。その同じ決意で言う。私たちの国土、私たちの自由である権利、シモン・ボリバルとウゴ・チャベスの栄光を継承する価値ある男女のこの土地に生まれたいかなる兄弟に対するどのような攻撃をも、私たちは許容したことはないし、することもないだろう。

カラカス、2017年2月14日』

『 非同盟運動調整局局長
一方的な強圧的手段を拡大するアメリカ合衆国政府の決定に際し、非同盟運動(NAM)調整局のベネズエラ・ボリバル共和国への連帯の声明


1.非同盟運動調整局は、非同盟運動加盟国に対して国際連合憲章及び国際法に反する一方的な強圧的手段を公布し適用することを非難する原則的立場に即し、ベネズエラ・ボリバル共和国の国民及び機関に対する一方的な強圧的手段を拡大する2017年2月13日のアメリカ合衆国政府の最近の決定を拒否する

2.非同盟運動調整局はこれら手段を遺憾に思うとともに、これら手段を拒否してベネズエラ・ボリバル共和国の国民及び政府への固い支持と連帯を繰り返す。同時にその原則的立場に則して、アメリカ合衆国政府に対し、国際法、国際連合憲章、国家間の平和的な関係を定めた規則及び原則に反し、さらに国家間の対話や政治的理解の精神に影響を及ぼす、このような強圧的手段を放棄し廃止することを強く求める

3.非同盟運動調整局は、憲法に反した方法による政権交代の拒否を含めた、現在の国際情勢における非同盟運動の目的及び原則並びに役割に関するハバナ宣言(2006年)を再確認する。

4.非同盟運動調整局は、紛争の平和的解決を促すための対話の重要性を改めて強調し、そのため、アメリカ合衆国政府及びベネズエラ・ボリバル共和国政府に対し建設的対話を開始することを強く求める。

2017年2月16日、ニューヨーク 』


(次回へ続く。去年の「ブラジル・ルセフ大統領退陣」の2の舞か)
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ベネズエラの「政権転覆策動」  文科系

2017年05月15日 07時25分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 南米のチリ・アジュンデ政権がアメリカCIAの画策によって倒されたというのは、世界史上周知の話。ここでも、記録映画「チリの闘い」を昨年10月21日に紹介した。ところで、現在チリの二の舞になりそうな情勢が続いているのが、同じ南米のベネズエラである。反米国連総会演説などで有名だったチャベス大統領が13年に亡くなってから、執拗な政権転覆が図られてきたようだ。
 周辺国と欧米にしか興味がないような日本では南米の事件はなかなか話題にならないが、アメリカ大陸外交で最大の問題だと思う。ちなみに、この国は石油埋蔵量世界一。2位のサウジアラビアと並んで、ダントツなのである。同じく4、5位に並ぶイラン、イラクの歴史を見ても、ベネズエラで何かが起こらない訳はないと、凄く不安になっている。


 チャベスが死んだ翌14年には、こんなことが起こった。
 ベネズエラ政府が野党関係者に対して人権侵害を犯しているとして、ベネズエラ政府関係者23名につきアメリカへの入国が拒否されたほか、アメリカに保有する資産や口座が凍結された。これに対し、マドゥロ大統領が、「在ベネズエラアメリカ大使館 の不正な活動内容の証拠を握っており、アメリカ政府による内政干渉を受け入れない 」と強く批判した上で、 アメリカ政府との外交関係を見直し始めた。15年3月2日、ベネズエラ側からこう持ち出された。
「アメリカのベネズエラ大使館で勤務する職員と同数にしたい。両国は対等な立場でなければならない」として、同国駐在アメリカ大使に対し15日以内にアメリカ大使館職員を100人から17人に削減するよう求めた。これに対し、アメリカ国務省は、声明を出し、反発した。また、ベネズエラのマドゥロ大統領は2月28日、同国を訪れる全てのアメリカ国民にビザ取得を義務付けると発表し、アメリカ外交団削減も要求した。
 ベネズエラ側の理由を、大統領はこう説明している。
「在ベネズエラアメリカ大使館 の不正な活動内容の証拠を握っており、アメリカ政府による内政干渉を受け入れない 」
 なお、この両国対立の焦点には激しくなるばかりの反政府デモが関わってきたが、これもチリと同じ。

 16年にはさらに、こんな深刻な事態になっている。

『(World | 2016年 05月 16日)
 ベネズエラ大統領が非常事態宣言、「米国などが政権転覆計画」
[カラカス 13日 ロイター] - ベネズエラのマドゥロ大統領は13日、国内の一部勢力と米国が仕組んだ政権転覆計画があるとの理由から、60日間の非常事態を宣言した。
マドゥロ氏は非常事態宣言の詳しい内容を示さなかったが、昨年コロンビアとの国境近くの州で実施したケースでは、これらの地域で人権保障関連部分を除く憲法の適用を停止した。

これに先立ち、米国の情報機関当局者は記者団に対して、ベネズエラが経済的・政治的に崩壊する可能性への懸念を高めていると語った。

ベネズエラでは食料および医薬品不足や停電の頻発、物価高騰など経済危機が深刻化し、野党がマドゥロ氏の罷免を目指している。しかしマドゥロ氏は任期を全うする構えで、米国が水面下でのクーデターを扇動していると批判している。
マドゥロ氏は13日の国営テレビで、ブラジル上院でルセフ大統領の弾劾法廷設置が承認された動きを引き合いにして「米政府はベネズエラの右派の要請に基づいて具体的な手段を発動しつつある」と力説した。』


 物不足と超インフレ、野党が組織する市街戦のような政権転覆デモ、アメリカによる政権批判、ベネズエラ政府からの「政権転覆計画暴露」などなどは、チリ転覆前と全く同じこと。ベネズエラの近い将来に、チリが辿った運命を重ねざるを得ないのである。次いで、今年起こったのが、ベネズエラ副大統領の「麻薬絡み事件」と、それによるアメリカからの「制裁」だった。この問題は現在、非同盟諸国会議などに持ち出されて国際問題になっている。

(続く)
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ハリルジャパン(96) 岡崎と柴崎が、やった!  文科系

2017年05月15日 06時33分24秒 | スポーツ
 柴崎がテネリフェ変え始めた! 
 ペインでも「のらりくらり」とプレイして初アシストを記録 theWORLD(ザ・ワールド) 5/14(日)

 味方が柴崎を探す場面も

 柴崎は13日に行われたウエスカ戦にトップ下で先発すると、前半3分にいきなり見せる。中盤でボールを受けると、素早く左足で前線にスルーパス。これにFWロサーノが反応し、ドリブルで相手DFを突破。最後はクロスと見せかけてグラウンダーのシュートを放つアイディアを披露し、GKの裏をかいてゴールネットを揺らしてみせた。これが柴崎のアシストと判断され、移籍後初のアシストとなった。

 その後も指揮官ホセ・ルイス・マルティが柴崎には自由を与えると語っていたように、柴崎はサイドに流れたり中央に構えたりと幅広くプレイ。相変わらずボールを持つと怖いほどの落ち着きがあり、トラップなどのテクニックはチーム内でもずば抜けている。ボールを回す際にはチームメイトが柴崎を探す場面もあり、その技術の高さが認められ始めているようだ。

 足下で欲しい柴崎、スペースに抜けて欲しい味方との間で呼吸が合わないところもあったが、これも時間が経てば改善されるだろう。柴崎が入ったことでテネリフェが変わり始めているのは明らかで、スペインでも「のらりくらり」とゲームメイクする柴崎の姿が見られるようになってきている。


 岡崎、シティ戦でジャンピングボレーシュート得点

 岡崎のレスターはマンチェスター・シティに1対2で敗れたが、1点を返したのが、岡崎。左後方からの速いクロスに対して前へ突っ込み過ぎて、左横を向いた身体と腰を捻りながらのジャンピング・ダイレクトボレーという超難度シュート。それも、ゴール正面とは言えペナルティ・スポットの倍ほどの距離地点まで全速力で走り込んで遠目から打った、脱力したシュート。超がつくような美しい技だった。
 なお、ゲーム後の彼はこんなことを語っているという。
『イングランド仕様に、身体を鍛えてきただけのことはあると感じている。こちらの連中は40キロのダンベルを左右の手にそれぞれ持って足腰を鍛えている。僕は20キロから始めているが・・・
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改めて、政治不在日本の象徴数字を    文科系

2017年05月14日 05時58分48秒 | 国内政治・経済・社会問題
 本日先程、作家・高村薫のある文章を紹介した。その同じ人物が、同じ「作家的覚書」(岩波新書)でこんなことを述べていると知った。

『さて、いまの時代を個別の要素に分解して見てゆく前に、もう少し大きな括りで、私たちの社会がいまどういう地点に立ち至っているのかを確認しておきたいと思います。
 まず、日本の景気後退はすでに二十年以上に及んでいるのですが、一方でアメリカやアジアはひとまず順調に成長しているので、日本の国民総生産も、一人当たりの国民所得も、相対的に順位を下げ続けております。若い世代は知らないことですが、ジャパンアズナンバーワンと言われて世界第二位の経済大国だった時代は、はるかに遠くなったという実感があります』
(164ページ)

 この表現が、僕が最近ここで何度も強調してきた日本窮状の最重要の思考と、その表現法までがそっくり同じだと知った。こういう「政治不在日本の象徴数字」とも言えるような国連数字が以下のようにはっきりと存在するのである。これとちょうど同じことを高村が上でこう前置きしていることが、特に要注意なのだと愚考する。

『いまの時代を個別の要素に分解して見てゆく前に、もう少し大きな括りで、私たちの社会がいまどういう地点に立ち至っているのかを確認しておきたい』

『日本国民一人当たりGDPの歴史的推移というものだ。各国比較順位も含めて。一九九五年、二〇〇五年、二〇一五年で、こう推移している。順位は、五位、二三位、三二位と極端に落ちていく。一人当たり金額も、四万三千七七四ドルが三万四千六二九ドルにまで落ちた。この劣化ぶりが、九五年と一五年とそれぞれ十位の国との比率を観てみると、非常によく分かる。日本が三位であった九五年は十位の国の一二六%だったものが、二〇一五年には五七%にまで落ちてしまった。他国がどんどん上がってきた間に、日本GDPだけが急減しているからだ。十位の国はこの二〇年に、三万四千八七一ドルから六万五一四ドルにまで上がったのである。これが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれてアメリカまでを買い漁った当時からの、黄昏れた日本国の末路なのである。』
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重ねて、イラク戦争の世界史的意味   文科系

2017年05月14日 05時20分20秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 この9日に載せた「イラク戦争の世界史的意味」は、僕として現世界で最も大切なことを書いたつもりだ。対するに、ここに最初から居着いているような常連名無し君から、右流現世界観から論理的に出てくる典型のようなご批判があった。このご批判と、それに対して書いたコメントとをエントリーとして再掲し、合わせてある作家のアメリカ近況への所感を最後に添えてみたい。

【 Unknown (Unknown)2017-05-10 18:56:29
 繰り返すが、アメリカの軍事力が無い、国連は、軍事的には無力に近い。九条教徒達、北朝鮮へ渡って、「九条の教え」を説いてくるべきでは? 採用されるまで、帰ってこなくていいよ。】

【これも愚か! (文科系)2017-05-11 09:56:36
『アメリカの軍事力が無い、国連は、軍事的には無力に近い』
 こういう愚考を繰り返すから、愚かと言われる。アメリカが国連軍重視だけに変わって、そこに自国の軍隊も出せば、世界がどれだけ平和になることか。米軍に国連の縛りが入るからだ。なぜそれができないのかと、考えた事さえない口調だよね。だから愚か。
 これが実現した世界はもう、9条で十二分にやっていける。つまりその暁には、世界の9条国がどんどん増えていくよ。ちょうど、徳川幕府が日本を統一したら、300年の平和が来たようにね。
 なぜそれができないのか。アメリカが国連に変わりたいと考えているからだよ。つまり、完全な利己主義。今時徳川家康じゃあるまいし、なんで万国(連合)を尊重しないのかね? 上のケネディの国連総会演説に現れたように、これが彼の理想世界でもあったようだし。】

【世界がアメリカに不信 (文科系)2017-05-11 10:34:09
 イラク戦争に仏独は参加しなかった。中ロはアメリカから離れるばかり。AIIB(アジアインフラ開発銀行)に入っていないのは、日米だけと言う驚き! これも、どんな国も市場が欲しいからだ。これでは、G7主導もどれだけ続くことやらで、南米諸国は元々アメリカの勝手さに懲りてきた体験無数だから、つまり、G20中心の世界運営に戻って行かざるを得ないのである。

 それでいて世界市場の4割を占めるEUと、中国、インド、インドネシアの大市場化。アメリカのお隣・カナダの貿易相手国第2位でさえが中国である。これでは、今後の世界にアメリカの位置は小さくなるばかりだ。崩れゆく巨大帝国の常で軍事ばかりは大きいが、何度も言うように、金が続かなければ軍事は10年でさえ続かない。軍事が続かなければトランプがいくら力んでも、ダメ。できるのは「内乱工作と、『音の大きな爆弾』だけ」。つまり虚仮威し、ブラフ。なんせ、国家累積赤字が70兆ドル、年間GDPの4倍という、日本の2倍の困窮状況を抱えている。ドルの信用もどんどんなくなっていく理屈だし、金集めでは怪しげなデリバテブや短期資金国際投資という金転がしやは、リーマンショックに懲りた世界中からすでに胡散臭い物と見抜かれてしまった。こうして、国際収支で唯一頼りだった金融利益ももう先が見えているのである。

 アラブの春やシリアのような内乱工作では、今はベネズエラが狙われて、可哀想だが、あの国は米国の軍門に下ってイラクのようになるのかも知れない。嫌だ、嫌だし、可哀想だ! 原油を世界独占(価格)に吊り上げてシェールガスと釣り合うようにしていくという、アメリカ金融戦略大仕掛けの犠牲者なのだろう。ちなみに、このベネズエラは、サウジアラビヤを凌いで世界一の原油埋蔵国であって、現在、大変な反政府運動が勃発中なのである。

 というような世界情勢は、日本の右の方々にはまるで見えていないのである。だから「アメリカこそ世界警察に」などと、徳川幕府創設のようなことを叫ぶのであろう。何たる非常識! 及び、時代への不明!】

 最後に、ここで、一言追加最近僕と同じようなアメリカ観を持った物書きを一人知った。作家の高村薫である。その近著「作家的覚書」(岩波新書から、この4月20日第一刷発刊)の一節を転載してみよう。
『私たち日本人には、集金力がそのまま政治家の力と見なされるような国の政治家像を理解するのは容易ではないが、ドナルド・トランプなる実業家が共和党の主流派をけちらして快進撃を続ける光景は、アメリカと日本の国情の違いをあらためて私たちに突きつけるものであろう。多方面で物議をかもしている直截な発言も、排他的なアジテーションも、すべては中間層に向けた既存の政治がすくいとることの出来なかった底辺の声に応えるものだとすれば、支持者の熱狂ぶりはむしろ不安に満ちたアメリカの現実を映していると言えるが、それにしても私たち日本人は、こんなに身も蓋もないアメリカを見たことがあっただろうか』(129ページ)
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共謀罪 反対派の反対意見に今一つピンとこない件 1970

2017年05月14日 00時35分06秒 | Weblog
まあタイトル通りなんだけどw
どうも反対意見がいつものような重箱の隅を突っつくような話で、こっちまで届いてこないんだよな。
あなたもいつ捜査の対象になるかも知れないと言ったって、危ないことやりそうな連中、犯罪犯しそうな連中に近寄らなければいいわけで。それより世界中で起きているテロ対策の方をやるのは当たり前なんだけどね。
日本は島国だから陸続きの他国と違ってテロ対策が弛かったがこれからはそうも言ってられなくなる。
必要な法案だと思うけどね。
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琉球新報より   らくせき

2017年05月13日 09時39分26秒 | Weblog
いわゆる「共謀罪」を巡り、安倍晋三首相は「『そもそも』の意味を辞書で調べると『基本的に』という意味もある」と国会で述べた。そんな辞書はないと4月30日朝刊の本欄で報告したところ、政府は「そもそも」に「基本的に」という意味があるとする答弁書を12日に閣議決定した。読んだが文法的に理屈が通らず、校閲記者の私は頭が混乱した。【岩佐義樹】

 答弁書の前に首相の発言を振り返る。

 「共謀罪」でどんな団体が摘発対象となるかを巡り、4月19日の衆院法務委員会で民進党議員は首相の「そもそも罪を犯すことを目的とする集団でなければならない」という1月の答弁を引用。「そもそも」は「最初から」の意味で、当初オウム真理教は宗教団体だったので摘発対象外か、と矛盾を突いた。首相は「辞書で念のために調べた」と自信たっぷりに「基本的に」という意味を挙げた。

 私は30種類以上の辞書を調べたが、そんな意味はなかった。

 その後、民進党議員から同趣旨の質問主意書が出た。政府の12日の答弁書は「大辞林によると『そもそも』に『どだい』という意味があり、『どだい』に『基本』という意味がある」としている。

 大辞林で「どだい」の意味があるとする「そもそも」は名詞用法だ(文例「そもそもは僕が始めたもの」)。「どだい」も、その意味とする「基本」も名詞だが、首相の言う「基本的に」は名詞ではない。「どだい」に副詞用法もあるが、否定的な文脈で使われる。

 大辞林を刊行する三省堂辞書出版部の山本康一さんは「確かに『そもそも』の説明に『どだい』を入れ、『どだい』の説明に『基本』を入れている。だがそうは言っても『そもそも』がすぐに『基本』と結びつくとは言いにくい」と話す。

 「そもそも」=「どだい」=「基本的に」は、どだい無理な解釈だ。答弁書を読む限り「そもそも」=「基本的に」とする辞書はなかったのだろう。それを強引に取り繕うのはおよそ教育的とは言えず、国語への悪影響が懸念される。


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ハリルジャパン(95) アジア勢力地図激変  文科系

2017年05月11日 09時10分50秒 | スポーツ
 サッカーのアジア勢力地図が激変したようだ。昨夜終わったアジア(クラブ)チャンピオンズリーグ一次予選リーグ戦の勝ち残り8チームの国別がかってないような結果になっている。日本と中国が各3チーム、韓国とタイが各1という結果だった。韓国が1チームだけというのは近年記憶にないことだし、タイに至っては近年希有なことだろう。去年は総崩れだった日本クラブが三つ残ったのは、本当に頑張ったと思う。鹿島と浦和が1位通過、失点を抑えて引き分け続きから最後2ゲームで勝って見せた川崎の闘い方も見事だったと言いたい。失点をこれだけ抑えるようになった川崎は、一皮むけたのではないか。必要な時には得点も出来るようだし。

 僕はこの戦いは毎年観ることにしているが、非常な緊迫感に満ち溢れていた。小手先の技術では勝てず、最後まで身体を張らなければならない闘い続きなのである。ちなみに、この10年ほど、日本チームのこのリーグ戦結果は散々だったといって良い。

 昨日観た鹿島・ムアントン(タイ)戦を例に取れば、この相手が鹿島に対して一歩も引いていず、堂々たる闘いなのである。流石に、ほとんどの選手が、躍進著しいタイ国代表というチームだけのことはあると、感心し過ぎていたほどだ。特に、ボール奪取とその後の繋ぎに関しては、鹿島よりも上に見えた。違いはもはや、最も難しいゴール前だけだろう。
 鹿島2得点の一つはスルーパス抜けだし、今一つが右クロスへのヘッド合わせなのだが、この二つとも今売り出し中の鈴木優麿が遠藤康のパスに合わせたもの。「流石に『ここぞっ!』の鹿島」というその強さを見た思いで、2人とも凄い選手だと再認識した。特にこの鈴木だが、全てが揃ったスーパーな若手FWが現れたもの! 身体能力が凄く、日本勢得意のボール扱い技術は勿論、ダッシュ力、ジャンプ力、シュート力と、全てが揃った選手。間違いなく、すぐに代表エース候補に名乗りを上げるだろう。ちなみに、現代表の1トップ、大迫勇也選手と似たタイプに見えたものだが・・・。「柔」の大迫を「豪」の優麿が抜くようなら、次にはもはや、世界比較で中田ヒデクラスも夢ではない。ちなみにこの鈴木、ヒデが世界に打って出た時と同じ21歳。そんなFWに育たないかなーという、一番候補に挙げておきたい。なんせすぐ傍の隣りに金崎もいるのだから。優麿も、金崎の執念、闘争心はしっかりと見てきたようだ。サッカーとは格闘技であるという闘争心であって、原口や岡崎のこれも凄いと思ってきた。


 さてこのリーグ戦の今後は、非常に険しい。鹿島は優勝経験がある広州恒大と、浦和は韓国勢で唯一残った済州、川崎は上記ムアントンと当たる。ここでは、僕が優勝候補の一角と見ている上海上港と当たらないのは幸いだが、鹿島が特に大変だろう。ここで鹿島が勝てば優勝も望めるというほどに。

 この戦いの行き着く先の頂点は世界クラブカップ戦であって、去年末ここで鹿島が準優勝した。あれが日本勢に火を付けたのだと思う。鹿島は、南米チャンピオン、コロンビア・アトレティコ・ナシオナルを3対0で破ってこの闘いのアジア勢で初めて決勝戦にまで進み、欧州代表スペイン・レアル・マドリッドと90分2対2という好勝負を演じたのだった。これで味をしめた鹿島はもちろん、鹿島と好勝負を演じている浦和、風間監督時代とはまた変わった川崎の闘いも、この先楽しみこの上ない。なんせ、Jリーグにはないような「闘い」そのものが観られるのだから。
 スポーツはこうでなくっちゃあ。
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シリア情勢 ヒューマンライツウォッチ 1970

2017年05月09日 22時08分22秒 | Weblog
ヒューマンライツウォッチという国際人権団体がある。1970年台に創立され、学者、法律家、ジャーナリスト、地域専門家等280人余りの多国籍な人間が集まる団体で世界各地で起きる様々な人権問題に対して調査、報告等のレポートを出している。
このレポートは各国からも評価され、ヒューマンライツの調査を元にした報道も数多く行われている。
ま、そういう団体がシリアの化学兵器使用に関して調査、報告を続けているわけだ。そしてその最新のレポートにこの前イドリブで使われた神経ガス爆弾(サリン)のレポートもある。
その中で2016年12月と2017年3月にも反政府軍側住民の居住地に神経ガスによる攻撃が政府軍によって行われたと報告されている。
ヒューマンライツウォッチは被害地域の居住者への調査等を中心に爆弾が落とされた地点に残る痕跡の分析を行い、政府軍ヘリから投下された爆弾、地対地ミサイル等で神経ガスが使用されたと結論。シリア政府とロシアに対して厳しい言葉を記している。
レポートに関して『ヒューマンライツウォッチ シリア』で検索すれば誰でも見ることが出来る。




ちなみにヒューマンライツウォッチの本部はニューヨークにあるので 笑
それだけでアレルギー起こす人は見なくてよし。
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イラク戦争の世界史的意味  文科系

2017年05月09日 09時29分53秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 イラク戦争は、国連破壊の確信犯行だったのだと、今確信している。その次第を書いてみよう。

①9・11のアルカイダは、元々はアメリカがアフガニスタンにおいて創り育てたもの。そして、イラク戦争開戦時のあの熱狂ぶりを思い出すと、ぞっとする。嘘の理由をでっちあげて強引に持ち込んだ開戦であった。

②後遺症も含めた大罪が凄い。難民や、そのキャンプ以降の生活・運命やによる関連死含めて50万という国際調査団結果もある死者数。イタリア、スペイン、イギリスなど、当時の有志参戦国政権がほとんどつぶれたこと。IS国などのテロを世界中に喚起したこと。膨大な難民を生みだして、EU混乱やイギリスのEU離脱にも繋がったこと。などなど、この戦争は21世紀世界をどれだけ大きく換えてしまったことだろう。

③そして、世界の未来への影響という点では、なによりも国連無視。という以上に、「米軍主導の『国際警察』」で国連に換わる「指導者」にアメリカがなろうとした国連破壊行動だったのだと愚考したものだ。1990年の冷戦終結以降一強になってすぐに起こった湾岸戦争から、アメリカの国連無視が酷くなるという姿勢がずっと一貫しているのである。ちなみに、「史上かってない大連合」と、ラムズフェルトがイラク戦争有志国連合について獅子吼したのも有名な話だ。中ロを除いたG7運営も、これと同じ発想なのだろう。なお、米軍事費はいつの間にか冷戦時代の2倍になって年間60兆円、日本の国家予算の実に3分の2になった。

④以上の世界政治史的意味は、開戦時の国連総会アナン演説に何よりも雄弁に示されている。以下の言葉の歴史的意味は限りなく重いと振り返ることが出来る。読者には是非、以下を熟読玩味されたい。

『「私たちはいまや大きな岐路に立たされています。国連が創設された1945年にまさるとも劣らない、決定的な瞬間かも知れないのです」
 2003年9月23日、第58回国連総会開会日の冒頭演説で、アナン事務総長はそう述べた。その年の3月にイラクで戦争を始めたアメリカを、名指しではなかったものの厳しく批判した直後である』

『「今日に至るまで、国際の平和と安全に対する幅広い脅威と戦い、自衛を超えた武力行使をすると決める際には、唯一国連だけが与えることの出来る正当性を得なければならないという理解でやってきました」。にもかかわらず、先制攻撃の権利といった根拠で武力を行使する国が現れた──。
 それは「いかに不完全であれ、過去58年間、世界の平和と安定のために頼りにされてきた大原則に根底から挑戦するものなのです」と彼は言う。つまり、「単独主義的で無法な武力行使の先例を作ってしまうもの」なのだと言うのである。アメリカにとっては厳しい批判だが、総会議場は長い拍手に包まれた』
(以上、「国連とアメリカ」(最上敏樹・国際基督教大学教授 2005年刊))

⑤対するに、アメリカ政府の正式なイラク戦争総括は今日現在までなにも無い。イギリス・ブレアの反省に比べて、犯罪的だと思う。国連、世界平和を重視するアメリカ国民、他国民の責任は、今限りなく重くなっている。ちなみに、アメリカ国民は今こそ、ケネディ大統領の六一年国連総会演説を思い出すべきだ。
『戦争にとって代わる唯一の方法は国連を発展させることです。……国連はこのあと発展し、われわれの時代の課題に応えることになるかもしれないし、あるいは、影響力も実力も尊敬も失い、風と共に消えるかもしれない。だが、もし国連を死なせることになったら──その活力を弱め、力をそぎ落とすことになったら──われわれ自身の未来から一切の希望を奪うに等しいのであります』


 こうして今考えると、アメリカはイラク戦争によって国連に換わるような世界の盟主になろうとして失敗したのだと思う。そういう起死回生の無謀な大ばくちが失敗した。65兆ドルの国家累積赤字、冷戦時代の2倍になった年間軍事費、経済の衰退、そして何よりも世界に決定的な不信感を与えたということ。トランプアメリカが示しているのは、もはや衰退しつつある帝国における種々の末期的症状ということでもあろうか。世界の彼への不信の目が、これを何よりも雄弁に物語っている。
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ハリルジャパン(94) 柴崎、2連続先発完投  文科系

2017年05月08日 01時03分30秒 | スポーツ
 スペイン2部のテネリフェにいる柴崎岳が2ゲーム連続で先発完投した。その1ゲーム目は破れたがチーム最高点選手となり、2ゲーム目は勝利して暫定3位に付けている。2位までが1部自動昇格、6位までが昇格プレーオフ出場権となる。

 ここに来てやっとチームに溶け込んだようで、監督も「やっと完璧になった」と述べている。どうやら、レギュラー奪取を決めたようだ。「視野の広い良いパス、特にラストパスが最大の特長」、「あとはこのリーグの厳しさに慣れるだけ」と監督が述べていたのだから、後者を克服できたということだろう。最後のゲーム報告を見ると、どんどんボールを呼び込み始めたとのこと。そして、チームメートもその声や身振りに度々応えだしたのである。

 楽しみで仕方ない。なんせ、日本最大の強み、攻撃的中盤の中でもっとも有望な若手だったのだから、香川クラスの期待をしてしまう。
 今年何とか、一部に上がって欲しいものだ。それも、彼の力で上がってくれれば申し分ない。

 海外に行った日本選手が最も苦戦してきたスペイン。その理由もよく分かっている。①世界一の技術があるリーグである上に、②小さくとも激しい選手ばかりで日本人が当たり負けする、ということのようだ。ここで柴崎が一皮むけていったら、代表の安定的ラスト・パサーが確保出来たというようなもの。
 若い若いと思っていたが、この5月でもう25歳。成功するためにはギリギリの年齢だろう。一皮むけて代表でも大活躍を始めた久保裕也は、柴崎よりも1年半ほど若いのである。でも、FWとして岡崎を抜いたかという大迫勇也は柴崎よりも2歳上だ。ここ1~2年の勝負だ、頑張れ!
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書評「サピエンス全史」(3)続、現代の平和   文科系

2017年05月07日 15時05分21秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
「部族社会時代の名残がある時代には、戦争は善(悪ではなかったという程度ではない)だった」という文章を紹介した。今は防衛戦争を除いては、良くて「必要悪」になっていると、コメントで書いた。だからこそ、こう言えるのであるとさえ(これは僕が)書いた。
 防衛戦争でもないのに国民が熱狂したイラク戦争などは、太平洋戦争同様国民が欺されたから起こったというものだと。

 さて、今書いたことがこの時代の真実であるかどうか? もし真実だとすれば人間の未来は、戦争が地上から無くなるか、政権とマスコミが国民を欺し続けられるか、このどちらかだということになるが・・・。


 さて、この歴史学者の本「サピエンス全史」には、こういう歴史的知識が溢れている。暴力,戦争についてのそれを、さらに続けて紹介してみたい。
『ほとんどの人は、自分がいかに平和な時代に生きているかを実感していない。1000年前から生きている人間は一人もいないので、かって世界が今よりはるかに暴力的であったことは、あっさり忘れられてしまう』

『世界のほとんどの地域で人々は、近隣の部族が真夜中に自分たちの村を包囲して、村人を一人残らず惨殺するのではないかとおびえることなく眠りに就いている』

『生徒が教師から鞭打たれることはないし、子供たちは、親が支払いに窮したとしても、奴隷として売られる心配をする必要はない。また女性たちも、夫が妻を殴ったり、家からでないよう強要したりすることは、法律によって禁じられているのを承知している。こうした安心感が、世界各地でますます現実のものとなっている。
 暴力の減少は主に、国家の台頭のおかげだ。いつの時代も、暴力の大部分は家族やコミュニティ間の限られた範囲で起こる不和の結果だった。すでに見たとおり、地域コミュニティ以上に大きな政治組織を知らない初期の農民たちは、横行する暴力に苦しんだ。権力が分散していた中世ヨーロッパの王国では、人口10万人当たり、毎年20~40人が殺害されていた。王国や帝国は力を増すにつれて、コミュニティに対する統制を強めたため、暴力の水準は低下した。そして、国家と市場が全権を握り、コミュニティが消滅したこの数十年に、暴力の発生率は一段と下落している。現在の殺人の世界平均は、人口10万人当たり年間わずか9人で、こうした殺人の多くは、ソマリアやコロンビアのような弱小国で起こっている。中央集権化されたヨーロッパ諸国では、年間の殺人発生率は人口10万人当たり1人だ。』

『1945年以降、国家内部の暴力が減少しているのか増加しているのかについては、見解が分かれるかもしれない。だが、国家間の武力紛争がかってないほどまで減少していることは、誰も否定できない。最も明白な例はおそらく、ヨーロッパの諸帝国の崩壊だろう。歴史を振り返れば、帝国はつねに反乱を厳しく弾圧してきた。やがて末期を迎えると、落日の帝国は、全力で生き残りを図り、血みどろの戦いに陥る。・・・だが1945年以降、帝国の大半は平和的な早期撤退を選択してきた。そうした国々の崩壊過程は、比較的すみやかで、平穏で、秩序立ったものになった』
 こうしてあげられている例が、二つある。一つは大英帝国で、1945年に世界の四分の一を支配していたが、これらをほとんど平和裏に明け渡したと述べられる。もう一つの例がソ連と東欧圏諸国で、こんな表現になっている。
『これほど強大な帝国が、これほど短期間に、かつ平穏に姿を消した例は、これまで一つもない。・・・・ゴルバチョフがセルビア指導部、あるいはアルジェリアでのフランスのような行動を取っていたらどうなっていたかと考えると、背筋が寒くなる』
 この共産圏諸国の崩壊においても、もちろん例外はちゃんと見つめられている。セルビアとルーマニア政権が武力による「反乱」鎮圧を図ったと。

 こうして、どこの国でも右の方々が陥りやすい「社会ダーウィニズム」思想(無意識のそれも含めて)は、こういうものであると断定できるはずだ。世界史を知らず、今の世界でも自国(周辺)しか観ることができないという、そういう条件の下でしか生まれないものと。社会ダーウィニズムとは、こういう考え方、感じ方、思想を指している。
「動物は争うもの。人間も動物だから、争うもの。その人間の国家も同じことで、だから結局、戦争は無くならない。動物も人間も人間国家も、そういう争いに勝つべく己を進化させたもののみが生き残っていく」
 この思想が誤りであるとは、学問の常識になっている。
 今の世界各国に溢れているいわゆる「ポピュリズム」には、この社会ダーウィニズム思想、感覚を持った人々がとても多いように思われる。今のこの「ポピュリズム」隆盛は、新自由主義グローバリゼーションの産物なのだと思う。

 
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シリア情勢 1970

2017年05月05日 20時29分09秒 | Weblog
つい先日、『アサド政府が国内3ヵ所で化学兵器を生産、イランとロシアはそれを認識している』という報道があった。
そして昨日、ようやくトルコとロシアの間でシリア内戦の停戦合意がなされた。内容はシリア国内数ヵ所の地帯を停戦地域にするというもの。そこでは武器の使用は当然、シリア政府軍の戦闘機の飛行も禁止。
そして、注目されるのは停戦地域にイドリブ県全域が含まれたこと。ここがこの前、アサドが化学兵器を使用して奪還を図った地域。アサドには手痛い結果になるが、ロシアはトルコと合意。化学兵器生産の報道後の決定なのでロシアもトルコの提案を認める形で決着。
この停戦合意はトルコとロシアとイランが保証国になる。
ヨーロッパでの報道は、アサドが停戦地域の合意を遵守するか冷ややかに伝えられてるが、ロシアのアサド政府に対する締め付けはこれまで以上に厳しくなるだろう。
仮に今回の合意が遵守されればトルコに流入した膨大な数の難民が帰国可能になるので今後に注目したい。
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歴史の今を知る難しさということ   文科系

2017年05月05日 17時21分25秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 大事なコメントを二つ書いたので、並べて再掲させていただきます。主内容をあらかじめ述べておけばこういうこと。
 結論は、歴史の今を知るのはとても難しいということ。それは、長年の夫婦などでも、相手の感覚の違いなどを驚きを持って発見する時というものがあって、そういう時にこそ人の人間理解が一歩深まるものということと同じことである。

『 反論 (文科系)2017-05-04 19:05:49
 この文章に反論。
『私は「現代は史上初めて、平和を愛するエリート層が世界を治める時代だ。政治家も、実業家も、知識人も、芸術家も、戦争は悪であり、回避できると心底信じている」に疑問を呈しただけで、「政治指導層が平和を愛する心を持ったから戦争が少なくなった」より「戦争は損になる割合が多くなった」「核による恐怖の平和」という現実を認めているのなら、それほど反論もありません』

 これも、この歴史家が述べているような人類の過去の史実を知らなくって、現代の感覚で過去を見るから言えること。だからこそ、「この点に関して、過去の人類がどうだったかを貴方知っているのですか?」と怒って詰問した訳でした。

 貴方が嘲笑った文章のすぐ前にこう書いてあります。
『歴史上、フン族の首長やヴァイキングの王侯、アステカ帝国の神官をはじめとする多くのエリート層は、戦争を善なるものと肯定的に捉えていた』
 つまり、民主主義はもちろん、広範囲な統一国家も少ない時代では、我が部族だけが「人間」で、他は獣なのです。獣に対する人間の勝利は「我が信ずる神の栄光」も同じこと。こう理解しなければ奴隷制まっ盛りの時代なんて到底分からない訳です。

 こういう大部分の人類史時代に比べれば、「人種差別は悪」というような「民主主義のグローバル時代」では、どんな為政者も「戦争は悪」、万一必要と理解したそれでさえ悪となるわけ。つまり必要悪。』

『 追加です (文科系)2017-05-05 17:02:16
 追加します。
 こういう大事な史実一つを知っているかどうかで、現代史とその諸問題の見方もかなり変わってくるはずだ。現代世界政治で最も重要な民主主義という概念の理解でさえもこうなのだから。つまり、今の民主主義感覚で過去の人間も観てしまう。

 現生人類どうしでさえ、「自分の感覚で相手を捉えて,大失敗」とか、長年の夫婦でさえ、『相手がこんな感覚を持っていたとは今まで全く知らなかった。人間って、違うもんだなー』なんて経験は無数にあるのだ。そして、相手と自分が違う点が認められた時こそ、人間理解、自己認識が一歩進む時なのだ。ソクラテスが喝破したように「自分を知るのがいかに難しいか」と同じように「(過去の感覚との違いを認めてこそ)その時代の感覚を知ることができる」ということがいかに難しいかという問題でもある。

 だから僕は、このブログにこんなことも書いてきました。僕は時代劇なんてまともには観ない。すべて嘘だからだ。現代の感覚で過去の人間を見ている。現代人に、「士農工商」が華やかだった江戸時代前半の人々の対人感覚が分かるはずがない。
 時代劇なんて全て、当時の感覚からすればリアルさに欠けるはずである。
 むしろ、それをいい事に、現代のリアル感覚を書けないストーリー作家が時代劇を書くのだろう、などと。』
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