九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

安倍首相の「イラク戦争」理解?   文科系

2019年07月16日 03時52分22秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
旧稿の再掲ですが、改めてお読み下さい。

『 爆笑問題の二人、特に太田君と安倍首相との質疑応答をネットで聞いた。こんなやり取りがあってまー驚いたこと。この討論自身から、こんなことを教えられた思いだ。安倍首相って、普段はイエスマンばかりに囲まれて来たのだろう。こんな拙劣な会話、質疑応答でいろんな場を乗り切って来られたようだから! これでは、国会答弁にもまともには答えず、関係のない演説話という「答弁」ばかりにすり替えていくことになるはずだ、と。

 話は、日本国憲法前文の「日本国民は・・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、(われらの安全と生存を保持しようと決意した)」を読み上げた安倍が、これを否定して見せた所から始まっていた。これを「他力本願ですよ、ベトナム戦争、イラク戦争など戦争はいっぱい起こっているのに・・・」と切って捨てた発言をしたことによって、以下の討論が始まったのである。

安倍「イラク戦争は、日本は支持した。その判断自身は間違っていなかった」
太田「アメリカは、間違っていたと言っていますよ」
安倍「大量破壊兵器があるというその情報は間違っていたけど、戦争判断自身は間違っていなかった」
太田「間違った情報による判断が正しい? 人がボコボコ死んだんですよ!?」
安倍「そりゃ非常に残念ですが・・」
太田「残念!? 間違った情報でボコボコ殺されたんですよ!」
安倍「いや、大量破壊兵器がもしあったら・・・」
太田「なかったんですよ。可能性で戦争してもいーんですか」
安倍「そりゃそうですよ」
太田「あいつ人相危ないからで、殺してもいーんですか?」
安倍「そりゃ、苦しい判断がありますよ」
太田「苦しいのは死ぬ方ですよ」

 どうだろう、どっちが普通判断の会話をしているか? 「間違った情報で人がぼこぼこ殺された戦争をするという判断も、それを支持した日本も間違っていなかった」等と口を滑らせて、言い切ってしまったのが、不用意に過ぎたということだろう。普通の判断力があれば、こんなおかしな論理は実際にそう思っていても言わないものだ。それをあっさり言い切ってしまったところに、しかも、国会と違って1対1の公開討論の場面でこんなことをしたその態度に、彼の非論理と安易さが現れている。同時に、安倍はこれが不用意とも思わず日頃を過ごしてきた人間だということも、端無くも示してしまった。そこをつかれて思わず「そりゃそうですよ!」という、意味のないイラク戦争肯定論を叫び続けた、この醜態!

 大変情けない首相を頂いたものである。また、憲法前文への「他力本願」批判も、その根拠が社会ダーウィニズム丸出しの「戦争現実論」とあっては、俗っぽすぎて何の人間らしい政治理念も感じられないものだ。「戦争はない方がよい」とは口では言いながら、「戦争現実論」の例として彼があげたのが、ベトナムとイラクとあっては、いずれもアメリカの戦争で、そのアメリカに揉み手で付いて行く安倍だからこそ、この「戦争現実論」は自らも造り出しているもの、「ない方がよい」は嘘になってしっているというわけだ。

 なんのことはない、嘘の理由で始まったイラク戦争開始判断を「間違っていなかった」と肯定してみせることによって、自らが主としてアメリカがもたらしている『戦争現実』を作る側に立っているのである。だから彼の社会ダーウィニズム風戦争論は、日本の首相という重要な地位にある自らがそういう現実を作っているという自覚も皆無だと示しているわけである。』


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米からロシアへと、トルコがミサイルを買換した理由   文科系

2019年07月15日 10時05分19秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 ユーラシア大陸の大国二つが、アメリカの兵器会社を忌避する行動に出た。こともあろうにロシアの最先端S-400対空システム購入を進めるという。日本が言い値でアメリカ兵器を買ってきたのとは全く違う姿勢だ。この同じ姿勢を見習おうという国が続々と出てき始めたが、昔からの親米大国のあからさまな反米行動の理由はどういうものであったか。ボルトンはいきり立っているだろう。「マスコミに載らない海外記事」から転載する。


『 グローバル軍事結社を弱体化させるS-400    2019年7月12日
ジーン・ペリエ New Eastern Outlook

 アンカラとニューデリーの両方に、ワシントンが前代未聞の政治圧力をかけたにもかかわらず、ロシアの最先端S-400対空システム購入を進めるというインドとトルコ両国の決定に、非常に多くのアナリストが注目している。本質的に、この決定は、アメリカ軍事支配に対する国際的な闘いの転換点だ。ある時点で、インド、トルコ両国がワシントン同盟国だったのに、両国は、そのための兵器販売の収益が全てアメリカ軍事産業の懐に入る、多数の国に軍事インフラを確立するあらゆる取り組みを進めている英米帝国から膨大な圧力を受けていたことは述べておくに値する。

 最近ベルギーのあるマスコミがこう報じた。「喧嘩腰で覇権主義的姿勢のワシントン・オリガルヒの、比類ない強欲のための軍装備品や兵器の売り込みとなると、アメリカの営業担当者(ポンペオのたぐい)の振る舞いは全く破廉恥で失礼なものだ。彼らは、常に「最新版」を購入する以外に選択肢がない立場に顧客を置く流通機構を確立しようとしている。全てが、いくら速く走ろうとも、決して逃れられないタコの触手や泥沼に似ている。
 これに加えて、アンカラに、ワシントンのパトリオット・ミサイルの代わりに、ロシアのS-400システムを購入するようにさせた理由をより良く理解するには、NATOが課しているワシントンの集団防衛と共通安全保障政策は一体何であり、一体誰がそれで恩恵を受けているかを思い起こさなくてはならない。

 たとえアンカラが、NATO経由でパトリオット・ミサイルを購入すると決めたとしても、引き渡し後はペンタゴンに委任されて交替勤務するNATO要員が配備されるだけで、トルコ軍はシステムの直接運用にかかわらないはずだ。過去のワシントンからの兵器購入で、トルコは既にこの種の経験をしており、どこかの時点で、この構造はトルコの国防目的で設計されておらず、国家安全を保障しないのをトルコ指導部は悟ったのだ。本質的に、アンカラは購入した武器のいずれも、国防総省が使って良いと言った時しか使うことができなかったのだ。

 2016年、先のトルコ・クーデター未遂の際、タイップ・エルドアンがワシントンの家臣としてのトルコの役割にうんざりして、自ら率いる国に有益な自立した政策を追求し始めるにつれ、欧米がエルドアンを何とかしようとする中、トルコ軍の一部が彼の命令に服従していないのを素早く知ったのだ。暴徒から逃れるためエルドアンがヘリコプターに乗った際、軍隊が最高指揮官に反抗し、国防総省の命令に従っていたので、トルコ全土に配備されたNATO防空システムで、トルコ空軍にヘリコプターが撃墜されかねないことを知らされたのだ。

 アラブのマスコミが明らかにしたように、軍事クーデターを始動する暗号化された命令をロシア諜報機関が傍聴し、何が起きようとしているかトルコ国家情報機構に警告したおかげで、エルドアンは、かろうじて死を逃れたのだ。さらに傍聴されたメッセージの中には、その時点でタイップ・エルドアンが宿泊していたマラマリスのホテルを目指して飛行する軍用ヘリコプターからの通信があった。アルジャジーラは、ヘリコプターがホテルに発砲する数分前、トルコ大統領はかろうじてホテルから逃れたと報じている。

 この点に関し、「全能の」NSAを含めアメリカ諜報機関は監視施設を世界中に配備していて、完全に暗殺未遂に気付いていたはずなのに、トルコに何の警告もせず、黙って見ていることを選んだことに大いに注目すべきだ。

 主としてこうした苦い記憶のおかげで、アンカラが支払ったアメリカ製兵器システムに要員を配置している部隊の裏切りによって、彼自身の安全と彼が率いる国家の安全保障の両方が、二度と危険にさらされないようにするとエルドアンは固く決心しているのだ。ロシアの対空システムが、アメリカが構築されたシステムに対する唯一の代案であることにはほとんど何の秘密もない。さらに好意を示そうとして、モスクワは、兵器システムの出荷と共に、S-400システム製造に必要な技術を部分的に移す意図を発表した。さらに、5月に、タイップ・エルドアンが明らかにしたように、S-500対空システムの共同製造でトルコが役割を演じる可能性を論じ始めた。これは、モスクワがアンカラを信頼しており、S-400の出荷が、単なる貿易取り引きを大きく越えるものであることを示している。

 他の国々も気がつかないわけがなく、彼らがそうするのを阻止するため、ワシントンがあらゆる術策を駆使したので、S-400を手に入れるため共にあらゆる苦難を体験したトルコとインドの例に、まず確実に従うにつれ、この進展で、今や彼らが国際武器市場でロシアに最有力の地位を奪われる危険があるため、アメリカ軍需産業内部に大規模なパニックを引き起こした。

 S-400のようなロシアの新世代レーダーと防空体制の購入が、アメリカの単極支配体制全体を破壊するのは確実だ。2015年、中国は最高高度36キロ、最長400キロの距離で、超音速迎撃が可能なS-400に賭けた。S-400を入手する機会を待っている国々のリストには、カタール、サウジアラビア、エジプト、アルジェリア、モロッコ、ベトナムや他の多くの国々がある。
 トルコのテレビ局T24が明らかにしたように、アメリカとトルコ間に、このような緊張をひき起こしたS-400システムは、中東政治の世界で形勢を一変させるものに思われる。S-400は、ワシントンへの属国服従を離脱する抵抗枢軸の象徴になったように思われる。

 ジーン・ペリエは独立研究者、アナリスト、有名な近東・中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。』
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

78歳のクラシック・ギター   文科系

2019年07月13日 12時41分25秒 | 文芸作品
 人になど到底聞かせられない下手な1人習いを経て、定年退職後に先生について16年になったクラシックギター。先日29日の発表会の出来も、かなり酷いものだった。フランシスコ・タレガばかり、「プレリュード10、11番」「エンディーチャとオレムス」「ゆりかご」を弾いたのだが、右手指が固まって弦に指がかからなかったり、逆に親指などは時に強くかかりすぎて音が割れたり。でもまー最後まで弾き切ったから、それなりに満足している。今では、心の弱さもさらけ出すのが発表会と心得て参加している。

 こういう僕のギターにも、ただ二つの取り柄があって、これが意外に大きいことと近年ますます気付き始めた。一つは、今でもランニング10キロが出来る有酸素運動能力がギター生活にも生きていること。そして今一つが、大好きな曲、今で言えば大小26曲ほどを暗譜している暗譜群を持っていること。この二つの意味が、年を経るごとに大きいものになってきた。

 有酸素運動能力は、あの不自然な姿勢で行うハードな長時間練習に耐えられるということ。今でも、2時間弾き続けても何ともない身体だから、まだまだギターを楽しめることになる。有酸素運動能力とは換言すれば、活動年齢を延ばす能力と言って良いと思う。

 暗譜群の方は、年々取捨選択を重ねつつ、月に3~4回り弾いて保ってきたものだが、暗譜しているから下手なりに好きな曲をあれこれと自由に弾き回せるということ。長年定期的に弾いてきた曲だから、目を閉じていても弾けるというようなもので、まーとても幸せである。この年齢で月に3~4回り弾くだけではどんどん傷も増えて、下手にもなっていくけれど、1か月も弾き込めば発表会の曲に出来るものばかりということでもある。
 そればかりか、この暗譜群に連なっていてここから過去に落とした曲の暗譜を復活させることもこの年齢で可能だと分かった。タレガの「マリーア」とか、バリオスの「郷愁のショーロ」とかがそれに当たり、これらは発表会でも弾くことになったもの。この2曲などは、「僕には難しすぎる。これを発表会で弾ける時が来るとは到底思えない」として、暗譜群から落とした曲なのである。

 このようにずっと暗譜に拘ってきたせいなのか、今でも、大変な苦労をしても、新しい曲を覚えることが出来るのである。タレガの「ゆりかご」やリヨベートの「アメリアの遺言」が、最近覚えて暗譜群に加えた曲である。

 こうしてつまり、この暗譜群と有酸素運動能力によってこそ僕のギター人生もまだまだ続けていけるという、そんな感じの幸せだ。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

選挙判断もグローバリズムで!   文科系

2019年07月13日 10時01分01秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 選挙の判断にも、グローバリズムが不可欠な時代になっていると思う。日本の死活問題も今や、基本的には国連レベルでしか解決できないものばかり。こういう世界情勢に対して、自公政権は、国連を無視しているアメリカへの従属を強めるばかりで、そのしわ寄せが国民に行っている。それが、国民1人当たりの購買力換算GDP世界順位の史上希な下落となって現れている。前世紀末には一桁台前半であったその順位が、今や31位なのだ。対するにお隣の台湾が16位で、32位の韓国にも間もなく抜かれるだろう。ちなみにこれらすべて世界機関のIMF発表から採った順位、数字であり、この間の日本は一体何をしていたのかということだ。

 ひとつに、そもそも今の世界の膨大な失業者数とか、不安定労働者、低賃金、有効需要の世界的喪失などは、アメリカの横車によって国連金融規制が全く進まなかったから起こったものだ。日本もそのアメリカと同じ野放しの金融立国の道を歩んで来たからだ。日米の物作り後退は、これによるところが大きく、金融による短期金転がし世界では人の職業など減らされていくだけである。

 また、アメリカが先頭に立って作る「軍拡世界」という問題がある。物作り一般がダメになって経済の半分は軍事に頼っていると言われるアメリカは、その輸出のためにもあちこちで争乱を起こし、敵を作り、戦争を起こしていると言える。元々、輸出品が兵器、ITや金融商品ぐらいしかなくなっている国なのだから。日本はその兵器輸入も含めて軍事拡大を急がされるばかりであった。

 憲法9条改訂も今や、日米安保条約がその原動力になっている。集団安保解釈改憲も、トランプの例の言葉「アメリカが攻撃されても日本人はそれをソニーのテレビで観ているだけ!」が示すように、何よりも米国の要求に応えるもの。安倍は、対米イエスマンである以上に「9条改訂が趣味」と自民党内部でも知られているお人ではあるが。ただ、今朝の新聞にこうあったように、アメリカは日本の参院選結果を待っているようだ。
『日本参加 性急に求めず 米当局者 イラン沖有志連合で』
 「性急には求めない」? 求めるのが当たり前という書き方に思えるのは僕だけだろうか。すると、日本はイランと戦争? ベネズエラとも? そしていずれは米中衝突の最前線部隊?


 安倍はこれらすべてに「イエス」というお人である。その上で言うのだが、トランプに対するあの卑屈な態度は一体どこから出てくるのか? スノーデンが暴露したアメリカ世界盗聴網は、ドイツ・メルケル首相の私的電話さえ盗聴して来たと暴露されている。安倍の盗聴など容易いものだったろうなどと、考え込んでしまうのである。モリカケ、基幹統計など嘘と誤魔化し、隠蔽が多いお人と示されてきたから、脅しの材料など事欠かないはずだ。だからこその長期政権!
 顧みれば、福田康夫も鳩山由紀夫も、その政権をアメリカに潰されたのではなかったか。国民が選んだ政権がアメリカに潰される、情けない国、国民だと思うばかりだ。
コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

こんな陰謀戦争に自衛隊を?  文科系

2019年07月12日 01時41分29秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今、対イラン有志連合戦争に向けて大きな陰謀が着々と進められている。ニュースによれば、日本にも参戦の打診があったようだ。「マスコミに載らない海外記事」のサイトがこの陰謀について報告、分析したアメリカの記事をここにご紹介したい。強引な解釈改憲をさらに進めて安倍が安保法制を作り直したのも、こういう要請に答えさせられるためだったのかなどと、考えている。
 今年アメリカが世界を騒がせたイラン、ベネズエラ問題は確かにアメリカの死活問題ではある。「原油独占価格=ドル支払体制」をこの両国が崩し始めているのだから。原油埋蔵量世界4位と1位の国。でも、こんなことは本来、イラン、ベネズエラの自由に属すること。斜陽アメリカ窮余の無理難題が真の戦争原因なのである。フセインもカダフィもこれで殺されたとは、知る人ぞ知る話。彼らも、サウジ王国などとは違って、石油利益を国民に還元していたと知られている。


『 公海上の海賊行為 イラン核合意潰しを狙うアメリカとイギリス Finian Cunningham 2019年7月8日

 イギリス特殊部隊による200万バレルのイラン原油没収はイランを挑発して戦争に駆り立てるのを狙った露骨な海賊行為だ。イギリスの地中海領ジブラルタルでのスーパータンカー没収は国際核合意を維持する最後の機会を潰すことを狙っているようにも見える。

 2015年の合意を実行し、アメリカ制裁を避けて、イランとの貿易を十分に正常化しなかったことで、テヘランが欧州連合を非難し、イランは、特に濃縮ウラン備蓄を増やすことで、包括的共同作業計画(JCPOA)の一部を一時停止すると既に警告していた。
 先月末の日本でのG20サミット後、ヨーロッパはアメリカ制裁を避ける(Instexとして知られている)イランとの取り引き機構を設置する決心を最終的に固めたように思われた。
 最近のイギリス特殊部隊による公海でのイラン原油捕獲のタイミングと、彼らがアメリカの諜報機関と共謀していた兆候は、ヨーロッパは約束を果たせるという、テヘランのあらゆる信頼を破壊するのに役立ち、イランを核合意から離脱するよう促すことになる。

 イギリスは、シリアにEU制裁を課すべくイランが所有する貨物をフェリー輸送しているスーパータンカーをイギリス海兵隊が拿捕したと主張している。このEU制裁は(今まで)シリア政府が戦争(アメリカとNATOに支援された代理勢力により密かに始められた戦争)で国民を弾圧しているという根拠の弱い主張に基づき、2014年から実施されている。
 いずれにせよ、地中海の西開口部、ジブラルタル海峡を横断していた際、推定1億2000万ドルの価値の原油を積んだ、船長330メートルのグレース1に、木曜日早朝、暗闇に紛れて、多数のイギリス特殊部隊員がヘリコプターと高速モーターボートから乗り込んだ。
 乗組員は主にインドとパキスタンの船員で、報道によれば、船はパナマ国旗を掲げ、シンガポール企業が所有している。だが高額の貨物はイランのものだ。イランは、イギリスの動きを「海賊行為」と非難して猛然と反撃した。イランのイスラム革命防衛隊の前のトップが、イギリス船を拿捕して報復するよう促した。

 この報復のエスカレーションは、まさにアメリカとイギリスが、イランとの武力衝突の口実を作るために画策していることを強く感じさせる。
 イギリスによるイラン石油タンカー拿捕を、ワシントンと共謀して意図的に行われた、緊張を煽りたてるための無謀な挑発だと、ロシアは素早く非難した。
 トランプ大統領のタカ派国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトンは、イギリスの事業が「素晴らしいニュース」と言ってほくそえんでいる。トランプ自身はイランがどのように事件に対処するか「非常に、非常に注意深くある」べきだと警告した。予想していたような反応は、事件が計画された挑発だったことを示唆している。
 この拿捕は、ボルトンや他のアメリカ当局者がイランのせいだとしたペルシャ湾近くの石油タンカーに対する外見上明白な偽旗攻撃のいくつかの前の事件に続くものだ。先月末、イラン領を侵害した後、アメリカのスパイ無人飛行機がイランに撃墜された。事件で、間際にトランプが中止したアメリカ空襲による「反撃」が始まるところだった。

 制裁されている国には、喉から手が出るほど必要な輸出収入源であるイラン財産の実際の没収により、今や挑発は一段強化されたのだ。
 イギリス政府は、イラン石油拿捕はジブラルタル当局に認可されたと主張している。石油の向け先とされるシリアに、EU制裁を実施するため、タンカーを拿捕すべく、ジブラルタル警察掩護用に、イギリス海兵隊を緊急派遣したとロンドンは主張している。
 イギリスの言い分は到底信じがたい。このような危険な作戦を計画するには長大な兵站が必要なはずだ。ジブラルタルのような小さな領土が始められるしろものではないはずだ。しかも、ジブラルタルの帰属についてイギリスと歴史的に論争しているスペイン政府は、イギリスがアメリカ諜報機関に従ってに行動していたと主張している。

 もしイランが思い切って報復としてイギリス船舶を拿捕すれば、エスカレーション・ゲームは高度危険レベルになる。このような動きは反イラン・タカ派が望んでいる戦争理由になりかねない。
 イギリスは自身がワシントンに忠実な戦争挑発共犯であることを示している。ロンドンは、悪名高い背信と欺瞞の黒魔術も見せている。結局、イギリスは、他のヨーロッパ列強とともに国際核合意を支持している国のはずなのだ。
 ブリュッセルの欧州連合幹部は、イラン原油を阻止するイギリス作戦に関与していたり、通知されたりしているようには見えない。もし作戦が、シリアに対するEU制裁を実施することだったのなら、なぜブリュッセルが仲間に入っていなかったのだろう?

 アメリカとイギリスは、シリアに対するEU制裁を実施する目的で拿捕作戦を実行したのではなく、むしろ単にイランの反感を買うために実行したように思われる。加えて、イギリスとアメリカが主張するような想定されたEU制裁の責務は、核合意を維持するため、ヨーロッパは、ワシントンから独立して行動をできるという、テヘランのあらゆる信頼を破壊する効果があるだろう。
 イランには核合意を破棄する以外の選択肢はほとんどないだろう。そうなればアメリカは、イラン石油の世界輸出を全て阻止するため、第二の制裁強化を自己正当化するのが可能になる。イランの命綱、石油輸出を「ゼロ」に封じ込めるというのはトランプ政権が繰り返し自慢していることだ。
 この容赦ない犯罪的なイラン挑発が、どうして戦争を招かないのか理解するのは困難だ。


 Finian Cunninghamは、大手マスコミの元編集者、記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。』
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

参院選 政権最大の嘘議論   文科系

2019年07月11日 11時52分06秒 | 国内政治・経済・社会問題
 参院選でまたまた自民党のデマ宣伝が横行している折、本日中日新聞の社説「19参院選 アベノミクス 暮らしは厳しくなった」が、「アベノミクス成果デマ」にしっかりした反論を加えている。その箇所を抜粋すると、

『安倍政権が掲げたアベノミクスは、大規模な金融緩和と積極的な財政政策、成長戦略を束ねて実施する点が特徴だ。政権は成果としてまず雇用の改善を強調する。
 確かに完全失業率は2%台半ばで安定し、有効求人倍率も全地域で一倍を超えるなど数字上の成果は出た。
 しかし、雇用改善の流れは〇八年に起きたリーマン・ショックの後からはじまっており、成果とは断定し難い。少子高齢化を背景に生産年齢人口は減っており、むしろこれが失業、求人の数字上の改善の説明としては説得力があるのではないか。(中略)
 一方、デフレ脱却を目指して続く金融緩和は地方銀行の経営悪化という副作用ばかりが目立ち、肝心の物価上昇率2%は未達成だ』


「100年に1度」と世界中を騒がせたリーマンショックの世界的不況の後では、どの国も多少の回復は必然ということと、何よりも日本では、失業率計算の基数である生産年齢人口が劇的に減っていて自動的に上がる数字だと反論しているのだ。むしろ、自分の「実績」礼賛の最大ポイントにおいて、こんな嘘のいー加減な弁明数字しか上げられないということこそ、現政権の致命的無為、無能が示されている。

 こんな数字よりもむしろ、こちらの方がはるかに深刻である。国民1人当たり購買力平価換算GDPが世界31位! 前世紀末には1桁台前半だったこともある日本が、台湾の16位にははるかに追い抜かれ、32位の韓国に間もなく抜かれるところなのだ。
 このことの詳細については、今日と同じ主旨の「アベノミクス礼賛の虚偽議論」を描いた拙稿『曲学阿世の新聞書評 2019年06月19日』をお読み願えれば嬉しい。

 この政権はとにかく、モリカケを初めとして、嘘と隠蔽に満ちあふれている。賃金やGDP計算にも関連する、政策実行度をも確かめていく国の基幹統計数字さえその算定基準を密かに換えてしまうというゴマカシがばれた政権なのだから、なにをか言わんやだ。こんなふうに、政府、官僚全体を頽廃させていくことが後世に残す後遺症をこそ、僕は恐怖する。「人間とはこんなものだ」という範を後世に示して恥じない政権なのだ。恥を知れと言いたい。

 ちなみに、官僚の頽廃については、同じく拙稿『安倍官邸独裁「吏道廃れて国滅ぶ」2019年06月24日』をここにご紹介した。元文部官僚でモリカケ忖度問題で政権に抵抗したやの前川喜平と、その先輩文部官僚、寺脇研の「サンデー毎日」における対談のご紹介だ。

 権力者の恣意、放縦は、アメリカのような戦争の連続(で若者らを無為に死なせて行くこと)や、餓えなど、「虎よりも怖い苛政」をさえ招いて来たという歴史がある。おりしも、集団安保解釈改憲からトランプのイラン情勢が風雲急を告げている。アメリカがイラン国際協定から一方的に抜けて行っている制裁にあえいでいるイランが、その生命線であるタンカー輸送を暴力的に妨げるなどは、誰が画策した陰謀行為なのか?
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

喜寿ランナーの手記(257)10キロ時がきつくなった!  文科系

2019年07月10日 07時48分15秒 | スポーツ

 最近どうも10キロ時がきつくなったようだ。この間蹴り足をきちんと鍛えてきたから5分ほどなら11キロ時でも走れるのだが、10キロ時以上を15分も続けると、その日から翌日にかけての疲れを重く感じるようになった。身体の疲れならまだしも、どうも心臓の疲れのようだからことは大きいのだ。なんせ、10キロ時が多かった日には、後で階段を上る時に「ハーーッ!」という感じになる。ただこの問題が、一時的なことなのか復活できることかを、もう少し見ているという今である。

 階段往復50回以上などを久しぶりに重ねて来たら、ふくらはぎの筋肉が痛くなった。腿の筋肉はノープロブレムだったから、つま先を使う筋肉が弱くなっていたということ。そして、これを重ねた後は、足首、甲の痛みなどが全く出なくなったから、走り自身は快調なのだ。左右の脚の蹴りのバランスも良く、ピッチ数も160強、平均心拍は150弱と、きちんと蹴って走れている。と、これはまー時速9・5キロほどで走っている場合。

心臓の疲れもまー、これだけ暑ければ仕方ないさという感じで、秋になるまで様子を見よう。年寄りはとにかく、焦らないこと!

 それにしても僕のジムの81歳の先輩ランナーは凄い。去年、高所から落ちて右骨盤を割って3か月だったかの大手術入院をしたと聞いたのだが、今は前と同じように走っている。今思えば長い入院後初めてみた時は、トレッドミルをただヨタヨタゆっくりと歩いていただけだったのに。1年経った今はもう全く以前と変わりないのである。こういう人には、とにかく励まされる。 
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカの国際情勢論 3 アメリカの本音   文科系

2019年07月09日 12時18分26秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 「アメリカが世界の平和を支えてきた」とか、「中国、ロシア、イランなどが今後世界不安定の要因」とかを骨子とするこういう「国際情勢理論」の本当の背景、出所は、別にあると思う。ちょうど、イラク戦争の本当の原因が「大量破壊兵器の所持」ではなくって、フセインが原油のドル支払体制を崩し始めたことだと言われて来たように。また、シリア内乱工作の原因が、化学兵器使用・市民弾圧などにあるのではなくって、「敵は本能寺」よろしく「アメリカの仇敵イランを滅ぼすための前哨戦、その友邦国を滅ぼしてイランを丸裸にするために」だったというように。ちなみに、アメリカにとってこのイランとは、フセインと同じく原油=ドル支払体制を崩した国であり、同時に国王政を倒したことによってアメリカの友邦サウジやUAEから忌み嫌われている国である。つまり、ベネズエラと並んで、アメリカの世界原油政策の鬼子! この両国原油埋蔵量は、ベネズエラが1位、イランが4位である。
 ちなみに、国連と、その下の圧倒的に多くの国の反対を押し切ってイラク戦争を敢行し、有志参戦国イギリスが深刻かつ重大な反省書をまとめたことに示されているように、そして今またイラン戦争瀬戸際に追い込んでいるように、アメリカが世界の平和を保ってきたなどは、余りにも明白な、嘘である。

 アメリカの真の世界戦略、思惑はこういうことだろうと、以下ごく短く、かつ端的にまとめてみたい。

短期金融転がし投資主義から物経済がすっかり駄目になって、産軍と、石油=ドル体制、およびGAFAのバブル株価が今のアメリカを辛うじて支えている。軍隊、兵器輸出なども含めれば、今のアメリカ経済の半分は、軍事で持っていると言われてきた。なにしろ、その軍事費は、冷戦時代の2倍を優に超えているのだから。物経済不振や一般消費不況など税収減の下で軍事費がこれだけ増えた結果、国家の借金はアメリカGDPの4倍という発表になった。アメリカの元会計検査委員長デイブ・ウオーカーが2015年に精査、発表した数字である。なお、「資本主義の下の経済は、これをきちんと制御できなければ必ず軍事化する」とは、世界経済学史に残る人類の知恵、遺産の一つだとも付け加えておきたい。

②そこから、今の原油ドル支払い体制を守るためにも、大きすぎる軍隊の存在意義を示すためにも、敵と戦争とがどうしても必要になっている国である。そこを世界戦略上は「アメリカの傘の下の世界安定、平和」と言い換えているに過ぎない。もちろん嘘を承知で。この嘘を承知というのは、イラク戦争で明白に示されたものと愚考する。ケネディ暗殺にしても、キューバ危機や9・11に関わるいくつか分かっている隠蔽工作についても、タリバン・アルカイダとの過去の「愛憎関係」についても、この国には嘘が横行している。それも、国家の存立を左右するような大きすぎる嘘が。

③そして、こんな今のアメリカの最大懸念はこれ。軍事以外の自国物経済を金融が破壊して他国に譲ってきた後の国際貿易から、通貨危機などを創造して世界の金融搾取、金融による世界支配に励んできたが、中国が物経済で台頭し、その黒字分によって金融でも台頭し始めている。さらに、この中国の金は、元の保護制度によってアメリカは奪い取れない仕組もあるのだろう。ちなみに、ファーウェーを親のカタキよろしく敵視するのは、ここの5Gが間もなくGAFAのバブル株価を崩壊させる可能性があるからだ。ドイツのGDPをその株式時価総額が超えたと言われる現在のGAFAバブルは、原油=ドル支払い世界体制と並んで、金融帝国アメリカの生命線なのだろう。

 GAFAバブルが崩れれば、「パクス・アメリカーナ」、「アメリカによる世界の平和」は終わる。その金融・軍事世界支配の野望とともに。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカの国際情勢論 2 「日本は自前の軍拡を!」  文科系

2019年07月08日 19時34分53秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 昨日から、ニューズウイーク最新号の日本版コラムニスト論文「日本の進むべき道」を要約している。アメリカの日本への要求が分からなければ日本の情勢が何も見えて来ないに等しいからだ。この金融グローバル時代に、アメリカの動きを見ないで右翼ポピュリズム政治を説く勢力などは、結局国を売ることになる輩だと思う。

 さて、調べてみたらこの筆者は、CIAの日本方面幹部であって、今はニューズウイーク日本版コラムニストでもある人物だ。去年日本記者クラブでも講演したというから、いわゆる日本ハンドラー最前線部隊の1人という、米最深部からの「日本当面の国際路線」なのだろう。

 前回要約したように、論文の前半「国際情勢論」は、まー随分身勝手な物と読んだ。まず、こんなことを言う。現在の世界は、「パクスアメリカーナ」、米国の傘の下に世界の安定、平和があるなどと。アフガン戦争、イラク戦争、シリア内乱工作など関連死含めたら200万人の悲劇とか、そこから流れ出した難民による世界大混乱などは、何もなかったようではないか。また、20世紀に米国自身も主導して作った国連など二つの世界平和組織は無視されて跡形もないような論文である。イラク戦争前に示されたように、米国の軍事横暴にとって国連はもはや邪魔者にしかなっていないという扱いなのだ。イラク戦争開戦に見るように、現在世界唯一のこの国際平和組織を邪魔者扱いしていることこそ、アメリカが国際民主主義を蹂躙していると何よりも証明している。その口で説く「世界平和」を信用する人間の方が可笑しいのだ。日本のマスコミなどもアメリカの報道や批判において、もう少しこういう常識を採用したらよい。

 さて、先回まとめた国際情勢論から「日本の進路」が4項目示されることになる。日米関係、国際関係、経済力、軍事なのだが、その要はアメリカらしく、何よりも軍事優先でこういうものだ。中国の台頭もあって傾きかけた世界安定米国傘をば、アジアの一角から日本はもっと熱心に支えろ、と。

『米軍による傘は今後もずっと、日本の安全保障の中核であり続けるはずだ。ただし、現在この傘は戦後最も不確かに見える。中国の軍事力増強だけを考えても、不安定な状態はこれからも続くだろう。・・・日本は今や自前の軍事力強化が必要な時期に来ている』

 しかもこの路線をば、外交以上に軍事強化を図って推進すべきとまで述べているのである。
『国際社会における不確実性の増加を軍事力強化と外交によって埋め合わせることは日本の国益にかなう』

『従って、ステルス戦闘機F35の購入や護衛艦「いずも」の事実上の空母化は、日本にとって賢明なステップだ』

 先回述べたような国際情勢論から必然的に出てくるこのような「日本の進路」こそ、「米中衝突最前線に米国の尖兵として日本が立つべきだ」ということになるのだろう。軍事はもちろん、外交一般も経済も・・・。なぜそうなのか? 米国が過去に取った行動から観ると、こんな理解は僕にはとても信じられない。中国の軍事強化がアメリカほどに世界を不安定に乱す時が来るとしても、まだまだ先の話だろう。アメリカのあちこちの大きな戦争は、21世紀になってすでに3回も起こっているのだ。しかも、それぞれの戦争の理由はいまだにきちんと説明さえされていない。
 そういうすべての戦争を踏まえて、これから中国に対するアジアの尖兵に、どうして日本がならねばならないのだろう。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカの国際情勢論(1)   文科系

2019年07月07日 12時43分01秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 日本マスコミに海外ニュース、見るべき国際情勢論があまりに少なくて、加えるに偏っているので、「ニューズ・ウイーク」を取り始めた。『2003年の発行部数は、アメリカで約310万部、アメリカ国外で約90万部の計400万部とされ』、日本語版については『2014年10月よりCCCメディアハウスが発行している。発行部数6万部』という政治週刊誌だそうだ(以上の『 』はウィキペディアから)。ある病院でこれを読む機会があって、米国外信、報道の一部をほとんど垂れ流すだけのような日本マスコミよりも、米国報道自身の方がはるかに日本を支配する米国の意向が分かると考えたからである。結果は予想通り、米国の思考がとてもよく分かり、日本マスコミ海外ニュースは実に頼り無いものと映った。「中央マスコミの忖度」からか安倍・米国に甘く、反米ニュースには米国以上にバイアスがかかっている日本マスコミなど素通りしてやろうというわけである。

 さて、この間度々ここに書いてきた事だが、世界に広がっている右翼ポピュリズム潮流は、米国が大歓迎するところ。米国のうち続いた戦争政策が作り出した難民問題や、米のグローバル金融による各国搾取やが世界に右翼ポピュリズムを生んでいると観てきたが、その結果のように各国国民の目が国内にだけ向かえば、米国にとってこんな好都合はないわけだ。そういった世界各国情勢を踏まえてこそ、今の米国が「米中衝突」、香港・ウイグルをいかに画策、展開していくかに専心できる。今後の国際情勢では何を置いても、香港、ウイグル、西南太平洋問題である。日本も、これでもってこそアメリカに揺さぶられていく。そう述べた上で、今後も以下のように、「ニューズウイーク」記事要約紹介をここで続けていくとお約束しておきたい。


 さて、ニューズウイーク7月9日号に、「これが日本の進むべき道だ」という記事がある。同誌の「日本版コラムニスト」と肩書きが付いたグレン・カールというお方が書いている。調べてみたら、元CIA諜報員「オペレーションオフィサー」とあったし、去年日本記者クラブで講演もしていたりするから、米外交の、それもアジア方面外交の「本流」のお方と見うる。さて、この記事の内容である。

 書き出しが、トランプの例の「日米安保暴言」。「米国は日本を守るが、日本は米が攻撃されてもソニーのテレビで見ているだけ」を取り上げて「トランプの無知と無礼は今に始まったことではない」と言いつつも、「今回の発言が持つ意味は大きい」と、始めている。そしてこの本文であるが、先ず、最も基本的な国際情勢認識はこういうもの。
『アメリカが超大国として君臨することで世界の平和が維持されている「パクス・アメリカーナ」の時代は終わりを迎えようとしている』
 ならば、静かに「アメリカの傘の下の平和」を終えていくかと言うと。これが、さにあらずで、
『アメリカが国際秩序の維持に消極的になれば、ロシアと中国は国際的な影響力を強めやすくなる。アメリカの同盟国は、どうやって自国を守るかを考えなくてはならなくなった』
 
 その上ですぐに、日米関係、国際関係、経済力、軍事など小見出しを付けて日本の方向が示されるのだが、その書き出しがこういうものだ。
『安倍晋三首相は理解しているようだが、日本に必要なのは以下の行動だ』 ちなみにこの文章だが、我が日本国の首相を、まるでアメリカ忖度人のように扱っていると思えないか。

 さて、以下は明日要約していくが、この国際情勢認識そのものが僕にはアメリカの立場だけの、酷く一面的な独断が酷すぎると読める。簡単な反証例で論破可能だからだ。

 アフガン戦争から引き続くイラク戦争、シリア内乱は、そして、そこからの膨大な難民の世界流出が、アメリカこそ21世紀の世界平和、国際秩序を乱してきた張本人と示している。アメリカはこれらの戦争を現に、国連の度重なる制止を振り切って敢行したのではなかったか! イラク戦争に至っては、当時の有志参戦国の政権は、その後総て国民の選挙によって崩壊させられたのではなかったか。イギリスなどは、長年掛けて「イラク戦争参戦の誤りの反省書」まで仕上げている。

 対するに「ロシア、中国の国際的な影響力」に対して「米同盟国は国防が必要」と説いているが、この両国に今のアメリカほどの戦争指向が間もなく起こってくるとは、僕には到底考えられない。当面はアメリカが「(ロ中の戦争指向を)それらしく見せる」ことに腐心していくのだろう。イラク、シリアで関連死含めて150万人だかを殺した21世紀の米国より酷い戦争国と、果たしてこのロ中をアメリカが示して見せられるだろうか?

 また、これらの国際情勢認識に絡んで国連が一言も出てこないのも、いかにもアメリカらしい。この人類史が20世紀になって初めて生み出した多国間主義に基づく国際平和組織をば、アメリカは無視しているのだ。将来にわたってもそうだと考えている如くに。人類史視点で見れば、これこそ21世紀アメリカ外交最大の人類史的誤りなのだと思う。ケネディやアイゼンハウアーが生きていたら、必ず僕と同じ事を、それも生涯懸命に叫び続けると確信している。戦争や経済競争においてではなく、国連においてこそいろんな色の小さな国の人々が初めて、アメリカと対等に物が言えるのだ。国連を無視して憚らぬということは、こういう人々を端から無視して掛かること、民主主義も(他国の)自由も既に投げ捨てた国である。

(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スノーデン・アサンジと、香港・ウイグル   文科系

2019年07月06日 10時51分54秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 アメリカ国家による世界的大々的な盗聴犯罪を暴いたのが、エドワード・スノーデン。世界の国家犯罪などを暴露してきたウィキリークスの創始者であり、イラク戦争における米犯罪映像を世界に告発した「大罪」を問われて、イギリス、スエーデン政府も巻き込んだ末に今や土壇場、拷問にまで追い詰められたのが、ジュリアン・アサンジ。彼はたとえば、米ヘリコプターからのイラク人無差別射殺映像を世界に流すことによって、アメリカ国家を告発したのだった。
 それぞれロシア(空港)、イギリスに難を逃れた彼らは、いずれも米国家による執拗な捕獲・引き渡し工作によって人生を破壊される覚悟を示した立派な確信犯人物だ。

 さて他方、香港で大問題になっているのが、「逃亡犯条例」。こちらは、「中国による邪悪極まる政治弾圧」として、日本のマスコミでも反対する市民達は英雄のように描かれている。政治犯の中国引き渡しに反対して、中国成金に多いと言われる逃亡詐欺師をも擁護する「運動」が公的建築物の破壊暴動にまで進んでも、英雄? 同じく中国を巡るいわゆるウイグル問題も、ここと中東を往き来しているイスラム国戦闘員らの暗躍は、日本のマスコミにはほぼ無視されているようだ。 

 何処か、可笑しくないか。香港問題には旧宗主国イギリスが、ウイグル問題にはイスラム「過激派」を通じてアメリカが絡んでいることは明らかなのだけれど、この関係の特報などが多い割に、こういうダークな側面は全く出てこないのである。否、世界ニュースのどこをどう詳報するかという親米諸国における海外ニュース種選択そのものが、何処かで統制ないしは自主規制されていると、僕には思われる。香港、ウイグル、イラン、ベネズエラ、シリア等々の反体制派は何をやっても皆立派であって、日本の反体制派は例えば辺野古の山城議長、公権力との小競り合いから数ヶ月の留置。国連人権委員会でも問題になった。確か、器物破損か公務執行妨害だったかな? それで数ヶ月! これが法治国家かという人権事件だが、辺野古を報じてきた日本のマスコミはこれも報じたか?

 アメリカ世界政治戦略が作ってきた、自己都合の世界世論工作に日本マスコミが左右されていると思えてならない。日本にとって香港やウイグルの問題は確かに、隣の国の出来事。が、グローバル時代の現在世界・社会では、遠近よりもはるかに大切な問題がある。日本にとって地球の裏側で市民を無差別大量虐殺する国は、場合によっては日本一般市民をも自己都合で殺すことになりうるし、ドイツのメルケル首相の私的電話でさえ常時盗聴してきた国は、日本の要人の醜聞なども無数に掴んできて、これを日本支配に活用してきたに違いないのである。

 そこで日本マスコミにとっても問題になるのが、こういうこと。安倍首相のように「対米卑屈によってこそ国内尊大が許される」で行くのか、スノーデンやアサンジの多少の爪の垢でも飲む正気が必要なのか。僕は後者だ。でなければ、アメリカの哲学者ノーム・チョムスキーが予言し続けたように「アメリカの世界覇権(完結)か、人類の生存か」にこのグローバル世界が負の形で直面するに至ると本気で恐怖している。これは、国連と世界の民主主義が無視されるビッグマザー支配の小説「1984年」の世界だろうとも。彼女は世界の総てを盗聴し、己の邪悪、悪行を暴く者は即座に抹殺する。スノーデンやアサンジのように。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

何度でも「太平洋戦争の大嘘」という大嘘  文科系

2019年07月04日 10時50分38秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 安倍政権になって、右流太平洋戦争論が世に喧しい。これは世界的傾向であって、この3分の2以上は米国の仕業。世界中に右翼ポピュリズムが吹き荒れているのも、「新自由主義流儀の外国搾取、圧力」とか「(その外国搾取と)21世紀米国のいくつかの戦争が世界にばらまいた難民」などの産物と観うるからだ。表題と同じ過去エントリーがここで今なおよく読まれているのも、そんな影響と愚考してきた。最近では18年4月の1、2、6日に書いたこのシリーズの3回目に載せた僕の応答文を再掲したい。


『右巻き諸氏に・・・ (文科系)2018-04-12 22:06:28
『「日本、太平洋戦争は、植民地解放に貢献した」・・事実なんじゃない?』
 右巻き諸氏は、皆これを信じている。つまり、名無し君は、そういう「種本論」をオウム返しにしてきただけ。而してその実態は、僕がすぐ上コメントに書いた通り。これには誰も反論できないはずで、だからこそ名無し君は、同じ結論を繰り返すことしかできなかった。よせばよいのに。
 第二次大戦後に植民地独立が急に進んだのは、歴史教科書にはこう書いてあるはずだ。全体主義国が破れて民主主義国が勝ったから、世界的に民主主義施策が急に進んだということ。ヒトラーのような人種差別もますます悪になったしね。なお、こう言う流れは18世紀から続いてきたことでもある。

 流石に、オウム返しとはよく言ったもので、名無し君論は正しく、完全な独断なのである。つまり、証明抜きの独りよがりを繰り返すだけ。反証があっても、それに応えられずに、独断を繰り返すだけ。恥ずかしすぎて、情けないことです。

 ハル・ノートの広告、「太平洋戦争の大嘘」と同じですね。どちらが嘘なのだか・・・。』
 

『このエントリーの価値 (文科系)2018-05-06 12:57:47
 手前味噌ですが、標記のことにつき一言。
 
 たったこれだけのエントリー文章内容だけで、右流太平洋戦争肯定論は粉砕できています。誰が読んでもそうなるはずだ。
・戦前のドイツと日本は、完全な違法戦争を敢行した。
・加えるにこの両国は、国際法を守らない確信犯として、当時の国連を脱退している。これは、1933年のことである。
・この両国が世界大戦に勝っていたら、世界は上記のように「大変なこと」になっていた。

(上記のようにとは、エントリーの以下の内容を指す。アジア諸国民は、実質、天皇の臣民。ヨーロッパ諸国ではユダヤ人、身障者らの皆殺し。米国参戦が無かったらイギリスが負けていたから、残るはロシア、米国だけ。確保した英国資源などもドイツに結集させて、米国、ロシアもやがて征服されていただろう。)

 右のネット右翼は上のようなことは何も知らずに、種本の内容だけを繰り返しているだけなのである。嘘も百編言えば真実になる?』


『この「大嘘」シリーズ・・・ (文科系)2018-05-24 09:23:59
 この「太平洋戦争の大嘘」シリーズは、このエントリーの最終回。4月1,2日の1~2回目が、ここのところ当ブログアクセス・ベスト10に度々出てくる。が、今読み返してみると、この3回目がもっともコンパクトに結論が書かれていて、分かり易い(と愚考した)。右の方々とのいろんな論争で、要点、焦点が絞られてきたということなのだろう。
 三つ読んで頂くのが一番良いが、分かり易いまとめとしてここを是非読んで頂きたいと、書き手としては要望する。
 よろしくお願いいたします。

 それにしても、こんな明白な歴史的戦争犯罪をどうしたら無罪と自分に言い聞かせられるのだろう。「日本弁護の思い」があって言葉、論理をいろいろ、手を変えて後から出して来る、思いつくというのが、右の人々の特徴だからこそ、言葉も全て誤るのだ。黒いものを白にはできない、当たり前のことである』
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

右流戦争論・9条論の本質  文科系

2019年07月02日 00時00分00秒 | 国内政治・経済・社会問題
 6月27日「安倍首相のイラク戦争理解?」を巡って、名無し君との間で起こった論議をご紹介したい。右の「戦争は現実」論、9条改訂論理が単純化されて出てくるので、とてもよく分かるからだ


『Unknown (Unknown)2019-06-29 18:37:22
 開戦前に、イラクへ行って、日本国憲法九条を説いた人がいたけど、それは、どうだったの?』

『Unknown (Unknown)2019-06-29 18:38:40
 文ちゃんの言う、『戦争現実』に、適応しただけじゃん。』

『また、馬鹿言った! (文科系)2019-06-29 22:48:12
 また馬鹿言った。僕の文章が読めていなくって。
『文ちゃんの言う、『戦争現実』に』
 これって、僕はこういう文脈で語ったよね。

『戦争は現実に存在する。だから、(戦争を無くするなどとは語らずに)この現実に適応することだけが国ができることである。軍事力増強は必要だ』。
 というのが、安倍や右翼が語る論法で、そんな論法を使いつつ常にアメリカの戦争に実質協力して(戦争を増やして)きた、と。

 僕は、戦争現実そのものを無くする、なくせるという立場だ。それをできるだけ早くやりたいし、国際連盟とか国際連合とかの国際平和組織が人類史に誕生してからは、それが人類の具体的課題になり始めたと、ここで語ってきた。』
 
『Unknown (Unknown)2019-07-01 18:14:02
 でも、イラクは、文ちゃんが言う、戦争現実だよね?
文脈とやらで、誤魔化すの?
戦争現実、今もあちこちで、ありそうですが?』

『 アフガン戦争から (文科系)2019-07-01 21:39:38
 今も泥沼のままでアメリカの若者が続々死んでいるアフガン戦争から、中東の「戦争現実」がどんどん深刻になった。アメリカが対ソ戦略上タリバンを育て上げ、これを政権に付けたその後で、その政権を潰したというまさにマッチポンプとして起こしたあの戦争から。

 イラク戦争もまさに同じで、アメリカが育て上げたフセインがアメリカの意に沿わぬほど大きくなりすぎたから潰すためにおこしたものだった。

 これらをただ支持してきた安倍は、その幹事長時代も含めて、アメリカが21世紀になって新たに作り上げ深刻化した「戦争現実」を、世界第3の経済大国の首相として一緒に作り上げてきたも同じだ。上で僕が言っているのはそういうことで、そういう自覚が安倍に欠けているから、これを9条改悪の理由にできるにすぎないのである。』


 ここで、その後のことを少々。アラブの春以降のシリア内乱は、イラク戦争を抜きにはあり得なかった。シリアのイスラム国が、イラク戦争で残った兵器、残党、憎しみとともに育ち上がったからである。その結果が、アフガン、イラクをはるかに超えるシリアの死者、難民。こういう21世紀中東戦争総ての出発点とも言えるアフガン戦争、米軍駐留もいまだに一向に終わる見通しはない。
 こうして、21世紀の戦争現実はアメリカが作ってきたと言える。それを前提に9条改訂を論ずるのは全く逆の、誤った論理と言いたい。
 

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「謝ったじゃないか」と居座る首相の人格   文科系

2019年07月01日 11時51分31秒 | 国内政治・経済・社会問題
 今日の阿修羅掲示板に、表題のような興味深い記事があった。安倍首相の人格、品格が端的に顕れている「事件」だと考える。
 之を読んで、「起こりうる、ありそうな出来事だ」と思ったのは僕だけではないだろう。 

『 だから謝ったじゃないかと逆切れの安倍晋三!

 G20サミットの歓迎夕食会スピーチで、主催国として議長を務める安倍晋三が、大阪城にエレベーターを付けたのを「大きなミス」と発言した。障碍者は来るなと言わんばかりの発言に、居並ぶ各国の首脳が驚いた。
 こんな原稿を違和感なく読み上げる安倍の神経を疑った。
 しかし、過去の言動を調べてみると、晋三にとってエレベーター発言は、別に「驚き」でもなんでもなかったようだ。
 以下を見ると、安倍晋三という人物は、障碍者や高齢者など社会的弱者への配慮は皆無の人間だと分かる。
 2012年12月14日の朝日の記事である。

**************************

 首相になる前の自民党総裁、安倍晋三に同行した記者が書いたようだ。
 15・30 自民党の安倍総裁が遊説のため、静岡県内をJR東海道線の普通列車で移動中、初老の男性に注意される。
 JR職員がおさえていた席に、後から乗ってきた安倍氏が座ったため。男性は安倍氏の隣に立って苦言を続ける。
 安倍氏はしばらく聞いていたが、「だから、すみませんって言ってるじゃないか」と怒り、その後は座ったまま目を閉じる。男性は隣に立ち続けた。  (以上 朝日)

****************************

 記事から読み解くと、「謝ったのだからいいだろう!」と言わんばかりに逆切れしている様子だ。
 この席は、おそらく、高齢者や体が不自由な人のための「優先席」ではなかったのか。そこへ初老の男性が着席しようとしたところ、後からやって来た晋三に席を横取りされ、怒った男性が小言を言った。
 これに頭にきた安倍が、逆噴射したというわけだ。席には当然、自分が座るとの日ごろの傲慢な姿勢がポロッと出たのではないか。
 安倍には「常識」が通用しない。』


 謝ったら、居座っていて良かったのか?
 JR職員に事情を確かめようともしなかったようだし、その上でさらに、「隣に立ち続けた」男性をずっと無視し続けたのだろうか?
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする