たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『1789バスティーユの恋人たち』より(5)

2016年05月08日 16時56分48秒 | ミュージカル・舞台・映画

池田理代子著『ベルサイユのばら大事典』2002年、集英社発行より

「恐怖政治=

 戦争によるインフレで国民は疲弊し、庶民を代表する山岳派が台頭。公安委員会で実権を持つロベスピエールは革命の成功を目指し、反革命と目される人々を次々と処刑していった。(かつては志を同じくしたジロンド派は、貴族よりであったためほとんど粛清された。)この恐怖政治に反対する勢力が続々と生まれるが、いずれも斬首された。1794年6月~7月の一カ月間に1376人もの人々が処刑されたのである。(「ベルばら」のあのロベスピエールからは考え難いが、理想に燃える余り一切の妥協を許さなかったと考えれば、納得できるだろう。)

 今度は国民の間にも恐怖政治に対する厭世観が高まってくる。いつ自分が処刑されるか、とおびえる議員たちが謀略を練り始めた。7月27日、テルミドール(熱月)9日のクーデターが起こる。公会がロベスピエールの逮捕を要求したのである。市庁舎に逃げたロベスピエール、サン・ジュストたちは自殺を企てたが失敗。翌日、形式的な裁判を経てギロチンにて処刑された。

 ロベスピエールの処刑後、国民公会が再び政治の中心となり、ジャコパン派に激しい迫害を加えた。1794年からの凶作によってインフレとなり、再び貧富の差が激しくなっていく。これを黙認する公会はもはや庶民の味方ではない。追い詰められたパリの民衆は新しい憲法を制定しようとする公会と対立し始める。対抗勢力が2万人を超えると、国民公会は危機を感じ、軍隊を整え始める。この時、最高司令管バラスが副官として白羽の矢を立てたのが、当時公安委員会に所属していたナポレオン・ボナパルトであった。(ナポレオンはイタリア領とフランス領を揺れ動くコルシカ島で生まれた。9歳のときにフランスに留学し、兵学校を経て、パリの士官学校に入学した。)

 ナポレオンは1795年10月5日のヴァンデミエール(葡萄月)の蜂起を鎮圧した。この手柄によって、ナポレオンは国民公会軍の最高司令官となる。(このの頃、イギリス・オーストリアとの戦争はまだ続いていた。革命勢力の疲弊で王党派は徐々に盛り返し、故ルイ16世の弟ブロバンス伯が王位を継承し、のちにルイ18世となる。)

 その後もナポレオンは海外遠征で数々の手柄をたてた。エジプトは放棄したが、凱旋したナポレオンを民衆はヒーローとして熱狂的に出迎えた。

革命の終焉=

 1799年11月9日、ブリュメール(霧月)18日のクーデターによってナポレオンの地位は固まった。政府はここにフランス革命の終了を宣言したのである。

 1804年5月、新しい憲法によってナポレオンは王より偉大なフランス人民の皇帝」の称号を得、ナポレオン一世となった。フランスはふたたび独裁政治に戻っていくのである。」


2011年『レ・ミゼラブル』公演ブログラムより

「ユゴーの原作では、1815年のワーテルローの戦いを重視。ワーテルローは、一度失脚してエルバ島に流されたナポレオンが、ふたたびパリに返り咲いたものの、イギリスとプロイセンの連合軍に大敗した戦場の地名です。これによってナポレオンは、歴史の舞台から退場することになります。

 ワーテルローによるナポレオンの失墜。それはフランスにとって、自由・平等・友愛の共和国という大きな<理想>が失墜し、王政復古という古い不健康な<現実>が社会を支配することを意味する。『レ・ミゼラブル』は、理想を失った社会で、醜い現実と戦う人々の物語なのです。それはまさに、現代を生きる私たちの物語でもありうるわけです。」

 
 たくさんの血を流しながら歴史は繰り返される。人の世はどこまでも愚かしきかな。いつの世も、権力を手に入れた者に弱者の声は届かない。権力を手に入れると弱者の声がきこえなくなる。いつの世も犠牲になるのは社会のもっとも底辺にいる名もなき、弱い立場の人々。為政者によってつくられる社会の仕組みは強い立場の者たちのためにある。日本のみならず、世界中が弱い立場の人々を踏みつけにした上で豊かさが成り立つような、そんな社会が終わっていってほしいという願いを込めて今このブログを書いています。わたし何もできません。こうして書くことだけ。今度また帝国劇場に行ったらささやかですが募金しようと思います。

 ロベスピエールを演じる古川さんのインタビュー記事。

 http://enterstage.jp/interview/2016/01/004143.html

 今までにみた役(『エリザベート』のルドルフ、『レディ・ベス』のフェリペ皇子)の中でもっとも当たり役ではないかと…。ここまで演じられとはキャスティングを知ったとき、正直思っていませんでした。何よりもシングルキャストだし出番も多いので、ご本人が楽しんでいりゃっしゃるのかもしれません。鬘と衣装も似合いすぎています。

 ソニンさん演じるソレーヌと花ちゃんのことをまだ書けていませんが、明日からまた出勤なので書く前に次の観劇はやってきます。My『1789』千秋楽。もっと観たいーってなりそうですが、これで終わり。革命へと向かっていく民衆と革命家たちのエネルギーをダイナミックに表現した群舞のダンスシーン他、見逃さないように、目に焼き付けるように観劇したいと思います。その前に頭がどうにかなってしまいそうなぞっとする仕事。無事に観劇できる日を迎えたいです。


 1992年5月5日『ミス・サイゴン』日本初演の初日。本田美奈子さんと一緒に初日を迎えた感動を石井和孝さんがブログに書かれています。

 http://www.kazutakaishii.com/blog/2012/05/post-493.html

 帝国劇場に行くと美奈子さんの魂がいつもどこかでそっと舞台を見守り続けているのを感じます。


 トップの写真は、2015年11月30日の制作発表。げきぴあから転用しています。