たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

雪組『ひかりふる路~マクシミリアン・ロベスピエール』『SUPER VOYAGER!』

2018年02月11日 23時51分12秒 | 宝塚
 昼間はあたたかでしたが夜になって風が冷たい日曜日の夜、まさにこの季節ならではの気候。寒さと乾燥と季節の変わり目の始まりの体のだるさ。お昼を部屋の中でちっそくしそうになりながら荷物整理と同時進行でなんとかすませたので夜は外でうどんを食べてから、帰りたいけど帰りたくないちっそくしそうなこの部屋に帰ってきました。帰ってくると斜め向かいのオッサンの部屋からなにやらすごい物音、なんやろ、なんでずっといるんやろ、ひょえ~気持ち悪い~からのストレスと緊張。ほんとに心が休まりませんが荷物あるし、訪問で足と股関節が痛いし、仕方ないですね。

 なんか怒られちゃいそうですが雪組のライブビューイングをどうしてもみたかったです。なんかねえ、最初から最後までみんなで新トップの望海風斗さんをささえて盛り上げていこうっていう温かさに満ちた一体感で、芝居の雪組、日本物の雪組の系譜の上に、トップコンビは、もちろん全体的にすごく歌がうまいなあって思いました。指揮が西野先生なのもなんだかすごく嬉しかった。芝居は『マタ・ハリ』に続いて、ワイルドホーンさんが書き下ろした楽曲が舞台全体を美しく包み込んでいました。客席で千穐楽の舞台を見届けていらしたそうでカーテン・コールで望海さんが紹介されていました。(まさか20数年前雪組をみていたときには、杜けあきさんの退団公演で読売の役をやっていたたかこさんの旦那さんが作曲をした雪組の舞台に観劇する日がくるとはだれも思わなかったですよね、なんだかすごく不思議な感じ・・・。)ショーは若さと溌溂さがはじけている感じでした。ジャニーズみたいって思った場面があったのですがジャニーズより歌もダンスも基礎がしっかりしているので上手いんだろうなあと。星組の『ベルリン、わが愛』に続いて、若手演出家の心意気と冒険心と演者への愛、温かさを感じさせるオリジナル作品の二本立て。宝塚の層の厚さと底力をみたように思いました。冒険心の上に安定感がありました。なんかいいものをみたなあっていう充実感。

 まだまだ昨年の観劇日記も書けていないので少しずつ思い出していければと思いますが、芝居はタイトルからして演出家の想いを感じさせてくれます。東宝版の『1789バスティーユの恋人たち』をみているのでなんの前知識がなくても内容はほぼ理解できました。『1789』のその後を見届けたような感覚でした。フランス革命に身を投じ理想に燃えていたはずのロベスピエールがいつしか革命の象徴的存在と祭り上げらるようになっていくと、次第に革命にとりつかれていき、もはや何を目指していたのかわからないまま恐怖政治を行うようになり、暴走を止めようとするダントンのいさめる言葉の耳に入らなくなってしまい、ダントンを処刑、自分を殺す目的で近づいてきたマリアンヌをそうとは知らずに愛するようになり、いつしかマリー=アンヌもロベスピエールを憎みながら愛するようになりと、ロベスピエールがダントン、マリー=アンヌとそれぞれ対峙、葛藤する場面が印象的でした。マリー=アンヌの真彩希帆さん、愛憎に葛藤する難しい役どころをよくこなされていました。望海さんの隣でわたしがいるから大丈夫ですよ、みたいな強さを感じさせてくれる娘役さん。歌う場面が多かった。歌うまさん。演者をほとんど知らないままみていましたが、ダントンの彩風咲奈さんが二番手の男役さんなのか。歌も芝居も説得力があり納得。すでに安定感を感じさせました。そして革命にとりつかれていくロベスピエールの狂気、美しさと儚さ、歌に芝居をのせていく望海さんの歌声。歌が上手だけというのも違っていて、心がそのまま歌声になっているような、楽曲と美しさが望海さんの歌声をより引き立ている感じでした。革命の辿り着く先がみえなくなって、ダントンを処刑したあとの「次に何をすればいい?」という時の憔悴しきったような、空虚な表情も心に残りました。自分にナイフを向けてきたマリー=アンヌの正体を知り、彼女が逮捕されると自分も死を望むようになったロベスピエール、今までとは違うロベスピエールを描きたかったという演出家の想いがあふれている物語に市がっていました。牢獄で再会した二人の場面、いつしか涙が出ていました。なんかもう一回、映像でみたいなあ。いやなんどでも・・・。サン・ジュストの朝美絢さんもすごく素敵いた。カメラが一回一回ロベスピエールの後ろでいらやしくほくそえむ表情をとらえてくれていて、ロベスピエールからはその表情がみえないのでロベスピエールを操っている感じがうまくでていました。美しさと次々と粛清を行っていく残酷さとが見事に融合。ロベスピエールと運命を共にした史実のサン・ジュストに近いのでは・・・。ショーでは美しい女役姿を披露していて細いし美脚でした。

とまあ、なんかきりがありません。あれだけの芝居をやったあとにあれだけのショーをやるとは、とにやくこれだから宝塚はやめられないという感じで、この世にいる間の楽しみは続いていきそうです。マリー=アンヌとロベスピエールの牢獄での場面、普通に出会っていたなら、いや普通だったら出会うことはなかった、お互いの存在すら知らないままだったみたいなセリフがすごく沁みました。普通であることほどむずかしいことはなく、普通であることほどとうといことはありません。上をみればきりがないけど下をみてもきりがなく、きついことばかりなれどこうしてどうにかこうにか普通の生活を送ることができているのはやっぱりありがたいのだと心に沁みました。マリー=アンヌは架空の人物ですが、お互いに市井の人として出会うことができていたら、セリフにあったように普通の生活を営むことができて幸せだったのかもしれません。

 おそくなってきたのでこれぐらいでやめておきます。映画館、後方席でコンタクトレンズ、弱めにあわせてるし乱視がひどいからあんまりみえなくってつらかったけど、プレミアムスクリーンで席がひろかったのはうれしかったです。いい時間でした。こうして普通にいい作品を楽しめるの、ありがたいです。

 望海さん、何度もみているような気になっていますが全部映像。願わくは一度でいいから生で拝見したいです。チケットがとれません😿