たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

星組『スカーレット・ピンパーネル』思い出し日記

2018年02月18日 18時25分01秒 | 宝塚
 なんとか生き返ってきた日曜日。昨夜は歯磨きをしないまま眠ったかもしれませんが記憶にありません。それぐらい疲れていたのか。起きた時は体が痛かったです、肩、腰、股関節、足。荷物の片づけはきりがなく、ひと区切りの目途がついたところでちっそくしそうな部屋を逃げ出して、五日間フルタイムのきびしい一週間に備えたささやかな息抜きタイム。今週はシステムの締め日があるのでほんとにきびしいんです。振り回されなければ進みますけど、想定外の電話やらに振り回されているうちに一日が終わってしまうんですよね。


ようやく、こちらの記事の続き

2017年6月11日星組『スカーレット・ピンパーネル』_ひとかけらの勇気http://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/287777f7c20a2d1f838f6662c140cadd

 
 『マタ・ハリ』、雪組『ひかりふる路』とワイルドホーンさんが楽曲を提供した作品が続いた流れで、ずっと書きたかったのが書けないままきていたのをようやく。昨年二か所目の就労が始まる前々日でした。思い出すだけで、自分でもくらくらします。はあっ、よくやってるよね、ほんとに。

 ライブビューイングでしたが、星組を観劇したのはたーたん(香寿たつきさん)の退団公演以来。十何年ぶりになるんだろう。万里柚美さんが組長。ずっと星組ひとすじにがんばっていらっしゃる姿に感動。最後退団者の挨拶の前に、スケジュールを読み上げる時、全く手元をみることなく全部頭に入っているの、びっくりでした。


 なんの前知識もなく観劇しましたが、展開についていくことができました。1997年ブロードウェイ初演、2008年星組、2010年月組に続いて7年ぶり三度目の公演。史実はおもたいですが、作品は明るい冒険活劇に仕上がっています。潤色は小池先生、お忙しい。セリと盆を駆使した歯切れのよい舞台展開はさすがです。ワイルドホーンさんの楽曲が耳に心地よく、作品全体を包んでいました。


ストーリー(公式HPより)

「18世紀末のフランス。虐げられてきた民衆が自由を求め立ち上がったフランス革命の勃発から数年が経ち、革命政府の統治下で多くの貴族たちが次々に断頭台へ送られていた頃。恐怖政治に反感を抱くイギリス貴族パーシー・ブレイクニー(紅ゆずる)は、イギリスで赤い星型の花を指す“スカーレット・ピンパーネル”と名乗ってその正体を隠し、無実の罪で捕らわれた貴族達を国外へと逃亡させる活動を行っていた。革命政府の公安委員ショーヴラン(礼真琴)は、一刻も早くスカーレット・ピンパーネルの正体を突き止めようと躍起になっていた。

 一方、パーシーとの結婚を控えたコメディ・フランセーズの花形女優マルグリット(綺咲愛里)は、イギリスへ渡る前の最後の舞台に立つ。しかし、舞台上で革命政府を批判する言葉を発したマルグリットは、ショーヴランから劇場閉鎖を命じられてしまう。そして、劇場の再開許可が欲しければ反共和派の貴族サン・シール侯爵の居所を教えるよう、ショーヴランから迫られるのだった。かつて二人は革命を共に闘った同志であったが、マルグリットは理想とはかけ離れた政策を推し進める共和派を見限った過去を持っていた。一度はショーヴランの要求を撥ね除けたマルグリットだったが、侯爵に危害を与えないことを条件に居所を教えてしまう…。

 イギリスで、パーシーとマルグリットの結婚式が大勢の参列者に囲まれ華やかに挙行される。幸せの絶頂のパーシーのもとに、スカーレット・ピンパーネルの協力者であったサン・シール侯爵が処刑されたとの報せが届く。しかも侯爵の居所を密告したのはマルグリットだというのだ。それが真実だと知ったパーシーは妻への愛と疑念の狭間で苦悩する。

 ルイ16世の遺児ルイ・シャルル奪還を最大の目的としていたパーシーは、やがて信頼できる仲間達に自らの正体を明かし、共に立ち上がって欲しいと訴える。パーシーはマルグリットに真実の姿を隠したまま、高き理想を胸に抱いた仲間と共にドーヴァー海峡を渡り、パリへと向かう──。 」

 主人公パーシーは、イギリス貴族社会からフランスへ冷ややかな視線が注がれるなかで、危機に陥ったフランス革命を救い出す人物。ヒロインのマルグリットは革命の闘士としてフランス革命に参加した過去を持つ人物として描かれています。要は公安委員会のショーヴランでしょうか。


「ロベスピエールを中心とするジャコバン党山岳派は次々と急進的な政策を行い、恐怖政治を遂行したのが公安委員会と言われる組織です。当初は毎月改選される革命政府内の組織に過ぎなかったのですが、穏健共和派であるジロンド派を追放すると反革派に対する取り締まりを強化して全政府機関が公安委員会の監視下に置かれ、次第に公安委員会は絶大な勢力を誇るようになっていきます。しかし、かつての仲間でさえも粛清する恐怖政治の徹底ぶりが、ブルジョワジーの反感を買い、当初は恐怖政治を支持していた民衆でさえも明日は我が身と恐怖におののきました。こうした民意とともに、公安委員会の存在を疎ましく思った一般議員が反旗を翻し、テルミドール反動に発展しました。これをもって約2年間の恐怖政治に終止符が打たれます。」

 ショーヴランは主人公パーシーに対する敵役。悪として描かれていますが、どんな作品も敵役がよくないと作品全体の世界感が成立しないように、ショーヴランがよくないと作品全体がくずれてしまうと思いました。歴代誰がショーヴランを演じるのかが大きなポイントだったんでしょうね。二番手の礼真琴さん、歌うまさんのうえに、どこか憎めないところのあるショーヴランの滑稽さをうまく醸し出していて印象的でした。濃い役所、歌に芝居をのせていく力がすごい方だなと思いました。ショーヴランがしっかりと立つことで舞台全体が安定。パーシーは、この舞台でトップとなった紅ゆずるさんが、星組全体を自分が守っていくんだっていう暖かいまなざしとルイ・シャルルを守るとするピンパーネル団のリーダーという立ち位置とが重ね合わさって、終始あたたかさに満ちていたように思います。

 結婚式の舞台裏で、ルイ・シャルルのために、マルグリットに正体を隠したまま仲間とイギリスからフランスへ船で渡る計画を進めようとしている場面、パーシーが公安委員会の一員のふりをして大げさなひげをつけてイントネーションを変えて喋る場面など、コミカルさもあって楽しいものでした。翻弄されるショーヴランがどこか憎めない感。

 あれやこれやとまだ書きたい感ですが時間切れとなってきました。きびしい一週間に備えなければなりません。ようやくここまで書けました。後日また書くかもしれませんがひとまずこれにて。

 制作発表会の写真は宝塚ジャーナルよりお借りしています。