たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

ミュージカル『スクルージ』より_スクルージ

2020年03月29日 17時00分02秒 | ミュージカル・舞台・映画
(『ミュージカル2013年11・12月号より』)

「ミュージカル『スクルージ』は、イギリスの国民的作家チャールズ・ディケンズの名作『クリスマス・キャロル』を原作とした映画『クリスマス・キャロル』のミュージカル化で、クリスマスシーズンの定番演目として、海外でも人気の作品だ。脚本・作曲・作詞はレスリー・ブリカッス。

 日本初演は1994年、スクルージ役は市村正親さん。以後、97年、99年と演じ続けている。

 19世紀半ばのロンドン。守銭奴の老人スクルージは、クリスマス・イヴの日でさえ借金の催促をする嫌われ者。そのイヴの夜、7年前に死んだ事務所の共同経営者マーレイが現れ、「今夜、3人のクリスマスの精霊が訪れて、お前を、過去・現在・未来に連れて行くだろう」と告げる。果たして精霊は訪れ、スクルージは衝撃の未来を知ることになる・・・。

 この12月、久しぶりに上演が決まった『スクルージ』で、市村さんが、14年ぶりにスクルージを演じる。


<エベネザー・スクルージ>市村正親

🎄久しぶりのスクルージ役、役作りで考えられていることは?

 特に新しいことはやろうとは考えていませんね。シンプルに演じたいと思っています。クリスマスの夜に、自分の過去と現在と未来の精霊に出会うことによって、自分の人生を見つめ直し、周りの物事に気がついていくスクルージという男の話というのを、シンプルに、芝居として深くやりたいですね。

🎄スクルージに描かれているものは?

 いいお話なんですよ。スクルージは金貸しで、周りの人をかなり苦しめてきましたけど、自分の過去を振り返って、人生をやり直すことを決めます。自分の過去を見つめ直し、これからどう生きていくか・・・そこに作品のテーマがあると思います」。

 「けっ!!ばかばかしい!!」、クリスマスイヴを祝うロンドンの下町の貧しい人々の姿をあざ笑う市村さんスクルージ、どこか憎めないクソじじいぶりが絶妙でした。元気に走りまわる子役ちゃんたちがいっぱいの舞台、大きくなってきたのでティム坊やを卒業した加藤憲史郎君がずっと舞台にいたのも嬉しかったです。孤独な少年時代を送ったスクルージも演じていました。明日からクリスマス休暇が始まる学校の放課後、迎えに来る人がなくひとり教室に残っている孤独なスクルージ少年の姿には胸が締め付けられるものがありました。誰にも愛されないスクルージを迎えにきたのは幼い妹。守銭奴となったスクルージですが妹を大切に思っていたんですよね。根っからの悪人にはなり切れなかった優しい心根がずっと心の片すみにあったのかなと思います。だから生まれ変わることができたのかなと思います。最初に訪れた過去のクリスマスの精霊は、子どもを残して亡くなったスクルージの妹の姿をしていました。2015年は香寿たつきさん、2019年は愛原実花さん。愛原さんは13年にも演じられていたんですね。素敵でした。 

 ロンドンの下町に灯りがともる舞台装置もあったかく沁みる舞台。わたしは、1994年初演、2015年、2019年と観劇。写真は2019年12月14日の日生劇場。