たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『アンネのアルバム』より(2)

2022年03月26日 15時08分01秒 | 本あれこれ
『アンネのアルバム』より
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/af4b12365143797b5cd266946bfb7de9





「楽しかった学園生活-

 敵をあざむくには、まず味方から。オットーは娘たちには、「近いうちに、スイスのおばあさんのところに引っ越すかもしれないよ」

 それを聞いた娘たちは、友だちについ口をすべらした。そのため、隠れ家に身をひそめてからも、友人、そして当局はフランク一家はスイスにのがれたと信じていたのである。

 オットーは、どんなときでも笑顔をたやさなかったので、アンネは、危険が迫っていることに気づかず、新入学したユダヤ人中学校のリセームに楽しく通いつづけていた。

 授業態度はあいかわらずで、あんまりさわぐので、担任のヘーシン先生に、
「アンネ、きみはまるでアヒルのおばさんのように、うるさいね。そうだ、罰として、明日までに、に、アヒルを題材にした詩をつくってきたまえ」

 ペロリと舌をだしたアンネは、徹夜で「アヒルのガアガアおばさん」という、ゆかいな詩をものにした。

 先生は、この詩を高く評価してくださったが、クラスの男の子たあちは、アンネに「ガアガアおばさん」というあだ名をつけた。しかし、このおばさんは、男の子たちに人気があった。ブローチをくれた子もあったし、ひとりは一張らの服を着こんで、アンネの家にのりこんできた。

 父のオットーに真剣な顔で、
「ぼく、マリウスといいます。お嬢さんと正式に交際することをぜひ許してください。」

 それに対するオットーの答えは、
「アンネは12歳、まだ10年早い」

 学園は平和だったが、町の中では、ドイツ軍によるユダヤ人狩りが、くりひろげられていた。

 ユダヤ人は、街頭で自宅で、かたっぱしから捕らえられ、トラックで運ばれた。

  そして、ついに、1942年7月5日、親衛隊から、マルゴットのところに一枚のえはがきがとどいた。それは本部への出頭命令書、すなわち、死の収容所ベステルボルグへの片道切符であった。」


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