『アンネのアルバム』より(2)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/701e77cf2b6ad7a6dfd13cb142c06c69
「ずぶぬれの逃走-
家族たちは、おびえてしまった。だが、オットーだけは落ちつきはらっていた。
「安心しろ、こういうときのために、お父さんは、隠れ家を用意しておいたのだ。明日の朝、そこに移ろう」
「まあ、お父さん!わたし見直してしまったわ。で、隠れ家ってどこ?
あくる7月6日、午前7時半、まず、マルゴットがオットーの秘書だったミープにつれられて、自転車で出発した。つづいて、両親とアンネが住みなれた家をあとにした。飼いネコのモールチェが、じーっと見送っていた。」
「つれていけなくてごめんなさい」
アンネは、泣きながらあやまった。
ユダヤ人は、電車にも、自転車にものることを許されていなかったので、アンネたちは、ざんざ降りの雨の中を歩いていかなければならなかった。
約二時間、五キロ以上歩いたとき、アンネの前に会は、ブリンセン堀の事務所ビルが堀の水に陰気なすがたを映していた。
「アンネ、あの事務所ビルのうしろにつづいている四階だての家の三、四階が、わたしたちの隠れ家なんだ」
表のビルを通って、うしろの家に入ると、小窓の向うに見える、西教会の塔の鐘の音が、ずぶぬれのアンネたちを、あたたかく迎えてくれた。」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/701e77cf2b6ad7a6dfd13cb142c06c69
「ずぶぬれの逃走-
家族たちは、おびえてしまった。だが、オットーだけは落ちつきはらっていた。
「安心しろ、こういうときのために、お父さんは、隠れ家を用意しておいたのだ。明日の朝、そこに移ろう」
「まあ、お父さん!わたし見直してしまったわ。で、隠れ家ってどこ?
あくる7月6日、午前7時半、まず、マルゴットがオットーの秘書だったミープにつれられて、自転車で出発した。つづいて、両親とアンネが住みなれた家をあとにした。飼いネコのモールチェが、じーっと見送っていた。」
「つれていけなくてごめんなさい」
アンネは、泣きながらあやまった。
ユダヤ人は、電車にも、自転車にものることを許されていなかったので、アンネたちは、ざんざ降りの雨の中を歩いていかなければならなかった。
約二時間、五キロ以上歩いたとき、アンネの前に会は、ブリンセン堀の事務所ビルが堀の水に陰気なすがたを映していた。
「アンネ、あの事務所ビルのうしろにつづいている四階だての家の三、四階が、わたしたちの隠れ家なんだ」
表のビルを通って、うしろの家に入ると、小窓の向うに見える、西教会の塔の鐘の音が、ずぶぬれのアンネたちを、あたたかく迎えてくれた。」