前回、法治でなく党治と書いたが、今日はそれを地でいくことが発表された。北京の日本大使館前でデモが禁止されたというニュースだ。デモをするのは自由だが破壊だとか略奪のような不法行為をすれば逮捕するというのが普通の国だ。それを根拠もなくデモ禁止とは中国国民はどう受け取るのだろうか?長いものには巻かれろととるのが全体主義国家の行動パターンだが、暴れた若者も巻かれるのなら日本への抗議も弱いものだ。
暴徒化したデモが放火、略奪の限りをつくす映像が世界に流れ、さすがに恥ずかしいと感じたのかデモを抑制しようとし出した。在日中国人は暴徒は一部の中国人で見るに耐えないと言っている。私の中国の友人も同じ見方だと思うが、中国の労働組合、総工会が噴飯ものの声明を出してやはり共産党の下部組織だと再認識した。その声明は「釣魚島は中国領土であり、累次に渡る厳しい申し入れにも拘わらず日本政府が国有化したことは違法行為で強く譴責する。中国政府が国家領土を擁護するために採るあらゆる必要な措置を断固として支持する」というもので、労働組合というより共産党の声明文だ。
デモをすることは表現の自由で、誰もが認められてしかるべきだ。政府の顔色を見てのデモでは主体性がない。今回の中国政府のデモ抑制は世界中から中国人の品格を疑われ出したことと、米国のバネッタ国防長官の訪中が無関係ではないだろう。中国人ピアニストの来日を止めたり、多くの交流事業も圧力がかかり実施できない事態を見ると、日本の出方を見るために様子を見ようということで、そう簡単に振り上げたこぶしを下ろさない。
中国と同じ領土問題を抱えているベトナムやフィリピンは固唾をのんで見ている。日本政府も安易に妥協は出来ない。相当な時間がかかることを覚悟せねばならない。