アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

指揮の師匠、バーンスタインとシュトレーゼマン!?

2011年08月02日 | ピアノ
先日、「僕はいかにして指揮者になったのか」(佐渡裕)の話で、この本のエピソードのいくつかが「のだめ」の参考にされているようだと書きましたが、今日はその続きを。

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佐渡さんは、明確に誰かの弟子というわけじゃないのですが、売出し中のころ、バーンスタインにかわいがられていて、演奏旅行について回ってアシスタント的なことをしたりしていた。でも「迷惑をかけちゃいけない」と思ってアゴアシ(移動手段や食事など)は全部自前でやってた。

あるとき、いつものように夜行列車でウィーンからハンブルグへ行こうとしていた佐渡さんに、バーンスタインが「なんや、そんなことせんでもええやん。乗せたるから、明日の昼にホテルに来いや」といってくれた。

飛行機の中で、バーンスタインは佐渡さんが持ってた電子辞書に興味を持ったので、佐渡さんが貸してあげると、バーンスタインはいっしょうけんめい英単語を入れている。どんな日本語を知りたいのかと思って覗き込むと、出てるはずないような卑猥な単語ばっかりで(笑)、「なんや、載ってないやん」と残念がっていた。

なんか雰囲気が、あの人に似てますね…ミルヒー・ホルスタイン、じゃなかった、シュトレーゼマン。佐渡さんがいつもは飛行機で同乗せず列車を使ってたのは、遠慮と節約のためであって、飛行機恐怖症じゃないですけどね。

あと、こんなエピソードも。バーンスタインが50年ほど前に作曲した「ファンシー・フリー」という曲があって、それを演奏会でやることになってた前日、勉強しに来いといって佐渡さんが呼ばれた。

それでホテルに行くと、バーンスタインの譜面はまっさらで(^^;; それどころか、楽譜は硬くて開き癖もついてないので開いたままにしておけない状態。「ユタカ、ちょっとこれを閉じんようにしてくれへんか」といって、自分はピアノの前に座り「♪あー、オレは勉強するのが嫌いや。『ラ・ボエーム』がええなあ。『ファンシー・フリー』なんか大嫌いや」と適当な歌詞をつけてプッチーニを弾き語り。

佐渡さんがようやく、楽譜をゴシゴシ開き癖をつけてしんなりさせてやると、少しやる気を出して開いたが、「どうやって振るんだっけ?」「これって、こんなに難しかったか?」…あげくの果てに「明日はやっぱりキャンセルしよ。どう思う?」

でも佐渡さんは、バーンスタインの振る「ファンシー・フリー」が楽しみだったので、「絶対振って!!」と主張し、バーンスタインもそこから心を入れ替えて一夜漬けで勉強し、本番はすばらしい出来だったとか…

私は指揮者としてのバーンスタインとかほとんど知らないんだけど、だから彼が作曲した「ウェストサイド物語」とか「キャンディード」とかね、そんなイメージで。自由で、親しみぶかい音楽。

それが、こんな子どもっぽいというか天然な人柄だったのねぇ…って、ぜんぜん意外じゃないですね(^^) 周囲の人はたいへんだけれどもね。

でも、振り回されながら、
「ライフ・キャン・ビー・ビューティフルや!」
「ほーら、このメロディ、美しい女やぞ。抱きまくれ」
なんてセリフを言われると、その強烈な人柄と相まって、ぐぐっと心に届いちゃうんでしょう。すごい師匠って、そんなものなのかも。

佐渡さんの日本デビュー講演ではベト七を演奏したんだけど、これもバーンスタインの「(まだ決まってないなら)そんならベートーヴェンの七番にせぇ」のひとことで決まったそうだ。そういえばベト七って、のだめによって日本でもポピュラーになって、客の呼べる演目になったやつですよね。こんなところにもつながりが。

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コメント
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