超レイト・スターターにとっては、ピアノだってバイオリンだって難しいには違いないので、あんまり比べる気もしないくらいのものだけど。
←ピアノで「とりあえず音を並べる」のにも苦労してる人が何をいっても(^^;;
「アート・オブ・バイオリン」(DVD)の中でイツァーク・パールマン曰く、ピアノなら初心者が習ってすぐ「きらきらぼし」くらい弾けるだろうけどバイオリンだとそうはいかない。
-------
ピアノに比べてバイオリンは音作りがとても難しいのです
ピアノの場合、音を出すのはやさしいので
すぐフレーズ作りに取り掛かれます
-------(日本語字幕より)
バイオリンだと、とにかくフレーズ作りより先にやること(音作り)がひたすら長くて、きれいな音が出るまでには95歳になっちゃうかも(笑) 「表現」までたどり着くのはなかなかたいへんなことだ、と。
まーいずれにせよ、「表現」までたどり着くのはたいへんなんじゃないか、とか
同じく下手糞に弾くなら、バイオリンの「きらきらぼし」もピアノの「きらきらぼし」も難易度あんまり変わらないような、とか
つっこみたいところはあるのですが、まぁ私としてはバイオリンとピアノのどちらかに肩入れするのは抵抗あるので(^^;; とりあえずおいとくとして、
上記引用だと、なんだかパールマンさんがピアノを単に馬鹿にしているようにもみえかねないですが、それとはちょっと違うようです。
ここのところ、元のせりふはこんな感じです:
-------
Violinists have harder time to make pure music than pianists,
because pianists can't really do that much on the piano.
They are immediately forced to turn to the phrases.
-------(聞き書きなので不正確ですが)
訳のほうだと「すぐフレーズ作りに取り掛かれます」だけど、元のセリフだと「be forced」ですもんね。バイオリンが「make pure music」に格闘しているときに、ピアノではそこに同様に関わることはできなくて、いきなりフレージングに取り掛からざるをえない、ということでしょうか。
バイオリンだと、とにかく「音色づくり」に膨大な時間を注ぎ込まないといけない。頭の中に理想的な音色のイメージがあって、音を出しながら聴きながらひたすらそれに向かってこすりこむように近づけていく。
イメージがよくないと話にならず、手も器用でなければならず、耳もよくなくちゃいけない。
そしてそれを根気よく続けていく感じ?
で、このDVDは20世紀の偉大なバイオリニストたちの貴重な演奏映像とかが集められていて、エルマン、ハイフェッツ、ミルシテイン、クライスラー、スターン etc. 次々聞いていくと、ほんとに、人が違うとぜんぜん別の音(音色)、というところがバイオリンの大きな特徴であると思います。
音色がどうして違うのか、物理的に明らかな違いでいえば、弓の速さ、圧力、弓が弦についてるポイントとか、そういったことはもちろんだけど、体がひとりずつ違う、というところとも深く結びついているように見えます。
だってね、弾き方がほんとみんな違うんですよ。構え方、弓の動かし方とか。ひょろーんと長い人がわりと少ない動きで静かに弾いてたり、ずんぐりむっくりの方(失礼)が指を寝かせてバイオリンを高く掲げる独特な姿勢で弾いてたり。もちろん、初心者がバイオリンを習うときは、そういう巨匠の弾き方を真似してはいけなくて(笑) 標準的で無難な弾き方をしてみるべきだろうけれども。
たぶん、元々の体格や指の長さや、あれこれ条件も違い好みも違う人が、長年自分の感性と耳を頼りに築き上げてきた音色ってのは、当然のことながらそれぞれ違ってくるのでしょう。
音色だけではなく、弾き方もなんかものすごくフリーダムで、テンポというか揺れの幅がでかい。自在に伸び縮みして弾いてるので、伴奏者なりオケなりは「勝手についてこーい」的な勢いで、まぁわりとよくついていってるんだけど、それでもさすがについていけないところでは、あんまりタテ線が合ってなかったり、でもなんか不思議とあんまり気にならない。
なんか音色も進行もめっちゃ自在なところへ、ぐいぐい引き込まれちゃう。
ローラン・コルシア「スターンの音は必ずしもきれいで正確とはいえませんが、味わいがあります。彼が演奏中に、音を外したときですら、それでいいと思えます」
とにかく「色」がついている。伸び縮みならまだしも、音程までちょっとずらしたりして、それでつく色が魅力的ってんだからすごい世界だよね。カリスマ性というか人間そのものに引きずり込まれる感じ。
それに比べると、ピアノのほうが「すぐフレーズ作りに取り掛かれます」というか「They are immediately forced to turn to the phrases.」であるため、じゃあ自分の「色」をどう作るの、というところが不明確になったりもしがちで、そこが難しいともいえるかも。
ところで、21世紀のバイオリニストのCDを聞くと、そこまでフリーダムじゃないような気がしませんか? タテ線も音程もあってるし、伸び縮みもそんな極端じゃない。おとなしくて、あくまで傷が少なめというか。これってCD録音時代に突入したための文化の変容?
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「アート・オブ・バイオリン」(DVD)の中でイツァーク・パールマン曰く、ピアノなら初心者が習ってすぐ「きらきらぼし」くらい弾けるだろうけどバイオリンだとそうはいかない。
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ピアノに比べてバイオリンは音作りがとても難しいのです
ピアノの場合、音を出すのはやさしいので
すぐフレーズ作りに取り掛かれます
-------(日本語字幕より)
バイオリンだと、とにかくフレーズ作りより先にやること(音作り)がひたすら長くて、きれいな音が出るまでには95歳になっちゃうかも(笑) 「表現」までたどり着くのはなかなかたいへんなことだ、と。
まーいずれにせよ、「表現」までたどり着くのはたいへんなんじゃないか、とか
同じく下手糞に弾くなら、バイオリンの「きらきらぼし」もピアノの「きらきらぼし」も難易度あんまり変わらないような、とか
つっこみたいところはあるのですが、まぁ私としてはバイオリンとピアノのどちらかに肩入れするのは抵抗あるので(^^;; とりあえずおいとくとして、
上記引用だと、なんだかパールマンさんがピアノを単に馬鹿にしているようにもみえかねないですが、それとはちょっと違うようです。
ここのところ、元のせりふはこんな感じです:
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Violinists have harder time to make pure music than pianists,
because pianists can't really do that much on the piano.
They are immediately forced to turn to the phrases.
-------(聞き書きなので不正確ですが)
訳のほうだと「すぐフレーズ作りに取り掛かれます」だけど、元のセリフだと「be forced」ですもんね。バイオリンが「make pure music」に格闘しているときに、ピアノではそこに同様に関わることはできなくて、いきなりフレージングに取り掛からざるをえない、ということでしょうか。
バイオリンだと、とにかく「音色づくり」に膨大な時間を注ぎ込まないといけない。頭の中に理想的な音色のイメージがあって、音を出しながら聴きながらひたすらそれに向かってこすりこむように近づけていく。
イメージがよくないと話にならず、手も器用でなければならず、耳もよくなくちゃいけない。
そしてそれを根気よく続けていく感じ?
で、このDVDは20世紀の偉大なバイオリニストたちの貴重な演奏映像とかが集められていて、エルマン、ハイフェッツ、ミルシテイン、クライスラー、スターン etc. 次々聞いていくと、ほんとに、人が違うとぜんぜん別の音(音色)、というところがバイオリンの大きな特徴であると思います。
音色がどうして違うのか、物理的に明らかな違いでいえば、弓の速さ、圧力、弓が弦についてるポイントとか、そういったことはもちろんだけど、体がひとりずつ違う、というところとも深く結びついているように見えます。
だってね、弾き方がほんとみんな違うんですよ。構え方、弓の動かし方とか。ひょろーんと長い人がわりと少ない動きで静かに弾いてたり、ずんぐりむっくりの方(失礼)が指を寝かせてバイオリンを高く掲げる独特な姿勢で弾いてたり。もちろん、初心者がバイオリンを習うときは、そういう巨匠の弾き方を真似してはいけなくて(笑) 標準的で無難な弾き方をしてみるべきだろうけれども。
たぶん、元々の体格や指の長さや、あれこれ条件も違い好みも違う人が、長年自分の感性と耳を頼りに築き上げてきた音色ってのは、当然のことながらそれぞれ違ってくるのでしょう。
音色だけではなく、弾き方もなんかものすごくフリーダムで、テンポというか揺れの幅がでかい。自在に伸び縮みして弾いてるので、伴奏者なりオケなりは「勝手についてこーい」的な勢いで、まぁわりとよくついていってるんだけど、それでもさすがについていけないところでは、あんまりタテ線が合ってなかったり、でもなんか不思議とあんまり気にならない。
なんか音色も進行もめっちゃ自在なところへ、ぐいぐい引き込まれちゃう。
ローラン・コルシア「スターンの音は必ずしもきれいで正確とはいえませんが、味わいがあります。彼が演奏中に、音を外したときですら、それでいいと思えます」
とにかく「色」がついている。伸び縮みならまだしも、音程までちょっとずらしたりして、それでつく色が魅力的ってんだからすごい世界だよね。カリスマ性というか人間そのものに引きずり込まれる感じ。
それに比べると、ピアノのほうが「すぐフレーズ作りに取り掛かれます」というか「They are immediately forced to turn to the phrases.」であるため、じゃあ自分の「色」をどう作るの、というところが不明確になったりもしがちで、そこが難しいともいえるかも。
ところで、21世紀のバイオリニストのCDを聞くと、そこまでフリーダムじゃないような気がしませんか? タテ線も音程もあってるし、伸び縮みもそんな極端じゃない。おとなしくて、あくまで傷が少なめというか。これってCD録音時代に突入したための文化の変容?
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