アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

実践的な職業教育って何だろう

2014年10月29日 | 大学生活
またろう中三のころだったと思うけど、会社で技術者リーダーシップ研修とかなんとかいうものがあって、そこにスピーカーとして来ていた、つまり社内でかなり上のほうに行った人をパーティー席上で捕まえて話をした。

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その人は高専出身、一般大学に編入・卒業して入社したそうなので、
「息子が高専に行きたいといっているのですが」というとその人は開口一番、
「いやご心配はよくわかります」といった。(私、まだ何も言ってないって!!)

「高専では即戦力となる技術を学べます。私は通信学科にいたので、就職希望の同期生たちは飛ぶように売れて、たとえば通信士として船に乗り込んでいったのです。でもご存知のようにモールス信号で通信をする時代は思ったより早く終わりが来て、その人たちはみんな職を失いました」

結局、その人がいいたいことは、高専に行きたければ行っていいから、でもそのあとに大学は行けと。「すぐ役に立つことはすぐ陳腐化するんです。無駄なようでも幅広く基礎的な学問を身につけておけばそれに新しいことをプラスするだけで何が来ても対処できます。大学に行っても、高専で学んだことはちゃんと生きます。みんなと違うことができる、知ってるというのはそれはそれでいいことですよ。私もそこが強みだったと思います」

話した時間は短かったと思うんだけど、その人はものすごく的確に私の懸念事項にズバッと答えてくれた。

高校から大学に行く一般的なコースでは、広く浅く学ぶことから始まって、だんだんと専門を絞って深堀りしていくことになる。高専の場合は、数学や物理・化学、基礎的な工学も学びながらものづくりの体験や技術を実地に練習していって、そのあと大学に入ればもっと幅広い視点から学ぶことになる。

いわば「T」文字の、タテ線のところを後にするか先にするかみたいなイメージだ。

どっちが優れているということではないと思う。たぶん、両方の人が混じっていたら、イイ感じになるだろう。


先日、文科省で「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議(第1回)」というのが行われて、そこで出た「資料4 冨山和彦委員提出資料」というのがあまりに衝撃的だったので、G型L型という話題が一部で沸騰中だけれども、その話は上記の話と関係あるようにも一見みえるけれど、実はすごく違うような気がする。

たとえば高専は、現在すでに、「実践的な職業教育を行う」ところだと思う。特に、中小企業で技術を必要としているところからは、高専生に強い引き合いがある(昔ほどじゃないかもしれないけど)。だけど「資料4」のPDF 8ページの表を見てください。

「L型」では、「機械力学、流体力学」ではなく、「TOYOTAで使われている最新鋭の工作機械の使い方」を学ぶとなっている。でも、実際のところ高専では、「機械力学、流体力学」を学ぶのと合わせて「図面の描き方」や「工作機械の使い方」を学ぶわけだ。

誰が、機械力学も知らなくて、工作機械の使い方だけ練習したヤツを雇うの!?

技術が陳腐化するとか、そんな話ですらない。グラグラのところに、壁だけきれいに塗った建物を建てるようなものだ。

シェイクスピアも文学概論も知らなくて観光案内用英会話だけ練習した人は、要するにそれだけの人だ。

「法学部」の行に書かれた例は、あまりにわけわからんちんでここに写すにしのびないからパス。

G(グローバル)型、L(ローカル)型といわれて何が違和感あるって、ここに書かれている「L型」は、ローカルでいい仕事ができる人じゃないってこと。単に「基礎」がない人。

この資料でイメージされる「L型」は、自分が教えられた「実践的な職業訓練」の背景も理解する材料がないということ。もしかしたらlaborとかけたつもりなのかもしれない。なんか、科学的思考や論理的思考できる人を極限まで減らすと好き勝手できていいなぁみたいなにおいを感じてしまうのは、SFの読みすぎ?

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コメント (6)
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