この地方の風車は夏に死んだ蝉の羽を使って作られる。
からからに乾いた羽を壊さぬように胴体から外し、膠で竹ひごに止めて作った風車を河原で回すと、やがて風車は生きている時のようにじいじいと音を立てながら空に舞い上がり、そのまま二度と還って来ない。
あとは残った胴体を川に流すと、その年の夏も終わりを告げるのだ。
からからに乾いた羽を壊さぬように胴体から外し、膠で竹ひごに止めて作った風車を河原で回すと、やがて風車は生きている時のようにじいじいと音を立てながら空に舞い上がり、そのまま二度と還って来ない。
あとは残った胴体を川に流すと、その年の夏も終わりを告げるのだ。