あの人は私にとって天使そのものだった。遙か高みから優しい言葉と毅然とした態度で励まし、陽の当たる場所へと誘ってくれたあの人に少しでも近付こうと、私は己の背に見えない翼を育み、弱々しいながらも空に浮かんでみた。そして地上から離れたつま先をとても心細く、けれど誇らしい気持ちで見下ろした私は、いずれは自分もあの人のように飛べるようになりたいと願った。
けれど、あの人は極めて奔放に空を飛び回るのが常で、己の気分次第で言葉も態度も様々に色彩を変えながら容赦なく私を斬り付けた。だから、私は自分が壊れる前にあの人から貰った翼を打ち砕いて地上に戻った。
己の足で大地を踏みしめる確かさに安らぎながら、私は、時折つま先立ちの格好で二度と手の届かない天を見上げる。
けれど、あの人は極めて奔放に空を飛び回るのが常で、己の気分次第で言葉も態度も様々に色彩を変えながら容赦なく私を斬り付けた。だから、私は自分が壊れる前にあの人から貰った翼を打ち砕いて地上に戻った。
己の足で大地を踏みしめる確かさに安らぎながら、私は、時折つま先立ちの格好で二度と手の届かない天を見上げる。