カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

「音楽」「ヤカン」「役に立たない中学校」ジャンル「悲恋」より・ヤカン男とウグイス娘

2015-03-25 21:08:03 | 三題噺
 声が大きいだというだけの理由で合唱部に入部させられた僕は、ソプラノパートのリーダーを務める女の子に恋をした。当然のように想いを伝える術もないまま、ただ練習曲を一生懸命歌っていた僕は、ある日彼女が僕の歌を笛吹きケトルのようだと話しているのを聞いて心が折れ、合唱部を退部しようと思ったが、貴重な男性パートを失うまいとしたらしい部長の根回しによって叶わず、三年間を傷心の中で過ごした。
 結局、傷心から立ち直るには年単位の日々が必要だったが、その後無理矢理参加させられた合唱部のOB会で、彼女の言う笛吹きケトルが気を引き締める合図的な褒め言葉だったと知って更に愕然とすることになった。
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