カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

旅路その60・都内の霊園にて

2019-08-06 22:23:45 | 旅人の記録
たかあきは冬の王都に辿り着きました。名所は特に無し、名物は焼き菓子だそうです。

 閑静な住宅街の一角にある大きな霊園には沢山の歴史的な有名人が祀られているが、残念ながら我が一族の墓があるわけではない。だから園内を歩く時は何となく後ろめたさを感じつつ近所で購入した鯛焼きを遊具の設置されたエリアで頂き、更に帰りは老舗の煎餅屋で大量の煎餅を購入してしまうのだった。
コメント

骨董品に関する物語・白鳥の塩入れ

2019-08-06 21:33:34 | 突発お題

「この白鳥の塩入れは」
「今度はどんな問題があった」
「羽を広げて付属のソルトスプーンを定位置にセットすると何処かに泳いで行ってしまう」
「それは既に塩入れの役目を果たしていないぞ」
「三日もすると戻るんだが、入れておいた筈の塩が空になっていてな」
「問題はそこなのか」
コメント

骨董品に関する物語・ブロンズのノートパッド

2019-08-06 21:31:35 | 突発お題

 珍しいでしょうと婚約者が見せてくれた青銅製のノートパッドは、昔、飽きて捨てたら勝手に死んだ女の部屋から俺が持ち出して古道具屋に売り飛ばしたものだった。無言のまま見詰めていると新しくセットされたロールに文字が浮かび上がって俺に対する糾弾を始め、当然のようにすべてが終わった。
コメント

骨董品に関する物語・コバルトブルーの香水瓶

2019-08-06 21:29:45 | 突発お題

 うちの屋根裏には小人が間借りしているのだが、この前とうに香りの消えた青い雫型の香水瓶を欲しがったので渡したところ、弦を張って琵琶のような楽器に仕立てていた。音は出るのかと訊ねたら弾いてくれた音色はとても綺麗だったが、惜しくもきちんとした曲を弾く技術は無いそうだ。
コメント