友人が車で連れて来てくれた山は連なる稜線の狭間に道路が通っていた。つまり普通では見られない真上から山の稜線を見下ろすことが出来るのでシーズンになると観光客が群がるように写真を撮っている。ただ、友人は決して徒歩でその道路に近付こうとしないので一度だけ理由を聞いたら物凄く言いにくそうに「いるから」という答えが返ってきた。勿論「何」がいるのかについての言及は無かったが尋ねる気にもならなかった。
友人が車で連れて来てくれた山は連なる稜線の狭間に道路が通っていた。つまり普通では見られない真上から山の稜線を見下ろすことが出来るのでシーズンになると観光客が群がるように写真を撮っている。ただ、友人は決して徒歩でその道路に近付こうとしないので一度だけ理由を聞いたら物凄く言いにくそうに「いるから」という答えが返ってきた。勿論「何」がいるのかについての言及は無かったが尋ねる気にもならなかった。
たかあきは秋の王都に辿り着きました。名所は駅、名物は貝料理だそうです。
初秋の夜更けに一人訪れたステーションバーは昔と変わらず落ち着いた雰囲気をした広い店内のあちこちで密やかな談笑が交わされていた。貝をつまみに大きな丸い氷の入ったウイスキーグラスを傾けると、時間と共に失って久しい、あの頃は確かにこの手の中に輝いていた総てが蘇るような錯覚に襲われる。
初秋の夜更けに一人訪れたステーションバーは昔と変わらず落ち着いた雰囲気をした広い店内のあちこちで密やかな談笑が交わされていた。貝をつまみに大きな丸い氷の入ったウイスキーグラスを傾けると、時間と共に失って久しい、あの頃は確かにこの手の中に輝いていた総てが蘇るような錯覚に襲われる。