カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・フランスの天文書、"Le Ciel"

2019-08-14 20:51:47 | 突発お題

 購入者の希望によって装丁が一冊ずつ異なる本の中でも、その一冊は更に特殊だった。一枚だけ他の本には存在しない肉筆の図版が混じっているのだ。だが購入者である彼女が、「あの日の光景」と題された宵の明星の浮かぶ黄昏の空に彼が込めた真の意味に気付くことは永遠に無かった。
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旅路その63・北の独眼竜

2019-08-14 09:41:09 | 旅人の記録
たかあきは春の廃墟に辿り着きました。名所は古城、名物は野菜料理だそうです。

 その城址公園には騎乗武者の銅像が杜の都と呼ばれる北の地を睥睨するかのように建てられている。昔この地を訪れた時は銅像竣工中で公園に入れなかったが、春の花が咲き乱れる中で握り飯と漬物を齧りながら、幼い頃の病から痘痕面になりながらも後には伊達者と歴史に名を残した隻眼武者の像を見上げる。
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