骨董品に関する物語・遺髪の入ったモーニングブローチ

　私は髪の毛以外は他人に褒めてもらえるような美しい姿をしていなかったから、これを見て私を思い出しておくれと祖母は見事な細工のモーニングジュエリーを遺してくれた。けれど私が祖母を思う時に一番に浮かぶのは髪の毛ではなく、まるで子供のように屈託のない素敵な笑顔なのだ。

骨董品に関する物語・ロケットペンダントのヘアージュエリー

　赤毛だった少女が綺麗な茶褐色の髪をしている母親を羨ましがるので、母親は私もそうだったから、きっとあなたも大人になったら赤毛じゃなくなるわよと慰めた。少女は自分の髪をひと房切り取ってロケットペンダントに収め、大人になってから母親の言葉が嘘ではなかったと知った。