10月13日(日本時間14日)
米国・カリフォルニアのホームデポ・センター
【ボクシングWBO・WBC世界スーパーバンタム級王座統一戦】
ノニト・ドネア(比国)vs 西岡利晃(帝拳)
※ドネアが試合前にIBF王座を返上
結果は第9RでドネアがTKO勝ちとなったが、
日本人世界王者が海外で知名度高い超一流王者と戦った事だけでも特筆される事であり、
充分賞賛に値すると事前に申し上げておこう。
試合を実現させた西岡の執念と帝拳ジムのバックアップには敬意を表したい。
※正直、ラファエル・マルケス戦は相手が下り坂という点と、会場の雰囲気に
「米国で行われるダイナミックグローブ拡大版」的なモノを感じたので、大多数の
ボクシングファンほど感激は出来なかった私だが、今回は本物のビッグファイトに
日本人世界王者が登場した実感がありました。
そして試合だが
終始、緊張感に満ちた一戦だった。
セミファイナルのリオスvsアルバラードが壮絶な激闘だったため、序盤の探り合いにはブーイングが飛んだが
セミはセミ、メインはメインで別試合なのだとばかりに意に介さない両者。
・・・とはいえ、
先に攻めてきたのはドネア。
やはりスーパースターに拙戦は許されないという矜持か、右ガードをガッチリ固めて警戒してくる西岡を回転の速い連打で煽る。
試合前、私は「結構お互いの強打を警戒して手が出ないんじゃないか」「そうしたら長い距離から右ジャブを出す西岡の方が見栄えイイ展開になるんじゃないか」と思ってたが
ドネアのジャブ・ストレート、踏み込んでからの高速連打は、想像以上に距離を制圧してきた。
結果、西岡は相手の高速パンチを警戒してジャブも出せない、自慢の左も出せない。
そのうえドネアは軽快なフットワークとボディーワークで西岡を撹乱、右ストレートをジャブのように上下に打ち分けてリード。
※序盤の絡み合いで足を気にするようなシーンがあったが、ストレッチ代わりに
フットワークを使ってきたのなら、結果としてドネアからしたら怪我の功名と
なったかも知れない
手の出ない西岡はブーイングを浴びながらポイントも奪われ続ける展開に。
3Rくらいまでなら それも良しだが、5Rまで同ペースでは「相手の得意パンチを食わないでいる」というだけ。
隙を狙った左一発で展開は変わるかも・・・という緊張感はあったが、それとて右ジャブの御膳立てが必要なワケだから、右も左も手が出ない状況は ひたすら厳しかった。
第6R、「このままではいけない」と思ったか、前に出て手を出す姿勢を見せた西岡だったが
ドネアは高速連打から左ボディフック・左アッパーと繋いできて、西岡は尻もちをついてダウン。
ダウンを奪った左アッパーはガード死角から飛び込んできたようなパンチで、
一瞬で外内を打ち分ける“フィリピーノ・フラッシュ”の速さを まざまざと見せ付けられたダウンシーンだった。
これが本物の凄さ、数々のトップ選手を沈めてきたドネアのパンチだ。
立ち上がった西岡に攻勢を仕掛けてくるドネアだったが、西岡も左を返して反撃。
これがドネアを捉えるシーンもあり、一気に会場はヒートアップ。
第7Rは、前のラウンドのヒートアップの余韻で お互いに得意パンチを狙う姿勢。第6Rのダウンで試合が大きく動いた印象。
第8R、また西岡のグラブがガードに多用され始める。
本場のリングに立てただけで満足するなら それも良しだが、勝ちに行くには倒される覚悟で手を出すしかないんだぞ。
第9R、西岡が意を決したかのように前進を強めて右ジャブから左ストレートを狙う。
左ストレートのボディから顔面は、ドネアのバックステップで躱されるが、狙いはイイ。
危険は伴うが、勝利を手にするにはパンチを出すしかないのだ。
一方のドネアは足を使いながら高速連打とカウンターで迎え撃つ。
西岡は、左パンチを きっかけにロープへ追い込み、右リードをしつこく繰り出して左ストレートを打ち込む準備を整えるが
その瞬間、逆にドネアが強烈な右ストレートを突き刺す!
西岡ダウン!
立ち上がった西岡だがダメージは深く、再開を許したレフェリーは帝拳陣営の要求で すぐに試合をストップ。
ドネアは鮮やかなTKO勝利で王座統一を成し遂げ、改めてS・バンタム級最強を証明。
相手が相手だけに、こういう結果も充分に予想されたが
実際に異次元パンチで西岡が倒されるシーンを見せ付けられ、なんか今日は一日放心状態になってしまった。
試合前に流れていたドネアが相手を倒すシーンに、西岡戦も加えられるかと思うと複雑だが
ドネアが試合後に左グラブを外すときの痛そうな表情、血の滲んだバンデージを見ると改めて「完敗だったんだなぁ」と思い知らされる。
ボブ・アラム氏は「どんどん試合してもらう」とコメントしていたが、
インタビューで西岡を称え、「アリガトウ」と何度も日本語で語ってくれた好漢ドネアには傷を癒す充分な時間を与えて欲しい。
敗れてなお堂々とインタビューを受ける西岡も立派だった。
※たとえそれが米国TVの慣習であれ・・・だ。
さらに言うと、ダウンを奪われてジリジリと後退し尻すぼみで判定負けする不名誉を拒否し、勝利を目指して攻撃を仕掛けた気概も称えたい。
あのノリト・ドネアをロープに詰めて倒そう・・・と試みたのだ。
素晴らしい勇気だ。
帝拳ジムの本田会長は、西岡の引退を明言。
花道ともいえる舞台を与えてもらった西岡選手は、これに従うべきだろう。
気が早いとも思うが、「お疲れ様」と申し上げたい。
日本ボクシング界の最大の大一番が終わった。
暫くは放心状態が続きそうだ。
米国・カリフォルニアのホームデポ・センター
【ボクシングWBO・WBC世界スーパーバンタム級王座統一戦】
ノニト・ドネア(比国)vs 西岡利晃(帝拳)
※ドネアが試合前にIBF王座を返上
結果は第9RでドネアがTKO勝ちとなったが、
日本人世界王者が海外で知名度高い超一流王者と戦った事だけでも特筆される事であり、
充分賞賛に値すると事前に申し上げておこう。
試合を実現させた西岡の執念と帝拳ジムのバックアップには敬意を表したい。
※正直、ラファエル・マルケス戦は相手が下り坂という点と、会場の雰囲気に
「米国で行われるダイナミックグローブ拡大版」的なモノを感じたので、大多数の
ボクシングファンほど感激は出来なかった私だが、今回は本物のビッグファイトに
日本人世界王者が登場した実感がありました。
そして試合だが
終始、緊張感に満ちた一戦だった。
セミファイナルのリオスvsアルバラードが壮絶な激闘だったため、序盤の探り合いにはブーイングが飛んだが
セミはセミ、メインはメインで別試合なのだとばかりに意に介さない両者。
・・・とはいえ、
先に攻めてきたのはドネア。
やはりスーパースターに拙戦は許されないという矜持か、右ガードをガッチリ固めて警戒してくる西岡を回転の速い連打で煽る。
試合前、私は「結構お互いの強打を警戒して手が出ないんじゃないか」「そうしたら長い距離から右ジャブを出す西岡の方が見栄えイイ展開になるんじゃないか」と思ってたが
ドネアのジャブ・ストレート、踏み込んでからの高速連打は、想像以上に距離を制圧してきた。
結果、西岡は相手の高速パンチを警戒してジャブも出せない、自慢の左も出せない。
そのうえドネアは軽快なフットワークとボディーワークで西岡を撹乱、右ストレートをジャブのように上下に打ち分けてリード。
※序盤の絡み合いで足を気にするようなシーンがあったが、ストレッチ代わりに
フットワークを使ってきたのなら、結果としてドネアからしたら怪我の功名と
なったかも知れない
手の出ない西岡はブーイングを浴びながらポイントも奪われ続ける展開に。
3Rくらいまでなら それも良しだが、5Rまで同ペースでは「相手の得意パンチを食わないでいる」というだけ。
隙を狙った左一発で展開は変わるかも・・・という緊張感はあったが、それとて右ジャブの御膳立てが必要なワケだから、右も左も手が出ない状況は ひたすら厳しかった。
第6R、「このままではいけない」と思ったか、前に出て手を出す姿勢を見せた西岡だったが
ドネアは高速連打から左ボディフック・左アッパーと繋いできて、西岡は尻もちをついてダウン。
ダウンを奪った左アッパーはガード死角から飛び込んできたようなパンチで、
一瞬で外内を打ち分ける“フィリピーノ・フラッシュ”の速さを まざまざと見せ付けられたダウンシーンだった。
これが本物の凄さ、数々のトップ選手を沈めてきたドネアのパンチだ。
立ち上がった西岡に攻勢を仕掛けてくるドネアだったが、西岡も左を返して反撃。
これがドネアを捉えるシーンもあり、一気に会場はヒートアップ。
第7Rは、前のラウンドのヒートアップの余韻で お互いに得意パンチを狙う姿勢。第6Rのダウンで試合が大きく動いた印象。
第8R、また西岡のグラブがガードに多用され始める。
本場のリングに立てただけで満足するなら それも良しだが、勝ちに行くには倒される覚悟で手を出すしかないんだぞ。
第9R、西岡が意を決したかのように前進を強めて右ジャブから左ストレートを狙う。
左ストレートのボディから顔面は、ドネアのバックステップで躱されるが、狙いはイイ。
危険は伴うが、勝利を手にするにはパンチを出すしかないのだ。
一方のドネアは足を使いながら高速連打とカウンターで迎え撃つ。
西岡は、左パンチを きっかけにロープへ追い込み、右リードをしつこく繰り出して左ストレートを打ち込む準備を整えるが
その瞬間、逆にドネアが強烈な右ストレートを突き刺す!
西岡ダウン!
立ち上がった西岡だがダメージは深く、再開を許したレフェリーは帝拳陣営の要求で すぐに試合をストップ。
ドネアは鮮やかなTKO勝利で王座統一を成し遂げ、改めてS・バンタム級最強を証明。
相手が相手だけに、こういう結果も充分に予想されたが
実際に異次元パンチで西岡が倒されるシーンを見せ付けられ、なんか今日は一日放心状態になってしまった。
試合前に流れていたドネアが相手を倒すシーンに、西岡戦も加えられるかと思うと複雑だが
ドネアが試合後に左グラブを外すときの痛そうな表情、血の滲んだバンデージを見ると改めて「完敗だったんだなぁ」と思い知らされる。
ボブ・アラム氏は「どんどん試合してもらう」とコメントしていたが、
インタビューで西岡を称え、「アリガトウ」と何度も日本語で語ってくれた好漢ドネアには傷を癒す充分な時間を与えて欲しい。
敗れてなお堂々とインタビューを受ける西岡も立派だった。
※たとえそれが米国TVの慣習であれ・・・だ。
さらに言うと、ダウンを奪われてジリジリと後退し尻すぼみで判定負けする不名誉を拒否し、勝利を目指して攻撃を仕掛けた気概も称えたい。
あのノリト・ドネアをロープに詰めて倒そう・・・と試みたのだ。
素晴らしい勇気だ。
帝拳ジムの本田会長は、西岡の引退を明言。
花道ともいえる舞台を与えてもらった西岡選手は、これに従うべきだろう。
気が早いとも思うが、「お疲れ様」と申し上げたい。
日本ボクシング界の最大の大一番が終わった。
暫くは放心状態が続きそうだ。