対談は続く
監督曰く「大変だったでしょう」と言われるところが実は苦じゃなかったと。
広島や呉の街並みを調べるのは楽しくて、どんな建物が建っていたかとか、
調べるのが愉しくて面白くて…。
※ここで、晴佐久昌英司祭から「オタク気質なんですね?」のツッコミが…
飛行機は小さい頃から大好きだったという片渕監督、でもだんだん怖くなって
きたという。
アニメを見始めたのは幼稚園くらいで、時期で言えば東映の長編アニメや
TVアニメ「鉄腕アトム」が始まっていた頃。
※ここで晴佐久昌英司祭から「だいたい同じ世代ですね」の言葉が。
晴佐久司祭、見た目がお若い!(いや、片渕監督は年相応として…)
そうして、子供の頃からの積み重ねが「この世界…」に繋がって。
「そうか、オレはこのために存在していたのか」と。
誰かに使われているような気もしました…と語る片渕監督。
※ここで晴佐久司祭は「誰かに使われる」という言葉に反応され、
「宗教用語でいえば『召命』と言います」と説明されました。
監督自身、この映画を作ったことで「救われた」ような気がしたと。
スタッフや家族も「報われた」と。
「罪の意識」「救い」「報い」「愛」。
カトリック映画賞らしい言葉が語られていく。
もちろん、映画の演出に関する話もありました。
司祭:「あと、テンポがいいですよね。ゆったりしているようで、とにかく
テンポがいい。カット割りというか…」
監督:「原作マンガが連載もので、たくさんのエピソードがあって。それは
出来るだけ映画に入れてみたかったんです。すずさんの大事な日々、
なるべく削らす入れるならテンポを速めるしかなくて…」
監督:「登場する服にも物語があります。嫁入り前にもらった和服が最後
どうなるか?他の服も同様です」
司祭:「はぁ~、そうなんですか」
そして片渕監督の至言。
「アニメーションはジャンルじゃなくて技法なんです、それを使って色んな
表現ができると思っています」
アニメの可能性。
「この世界の…」を作るため、広島から、こうのさんから啓示を受け、
さらにアニメの神から遣わされた片渕監督が、さらにアニメーションの
可能性を信じ、広げていく矜持を示した、その瞬間!
熱く肯く晴佐久昌英司祭。
このお二人、純粋な使命感という意味で共通している。
客席にいる、カトリックの方々と片渕監督のファンも。
誰に頼まれるわけもなく「ただ好きだから」「多くの人に知って欲しいから」
ツイートして、チラシや記事を配っている。
私は俗人なので、ゲスな事も考える。
「聖職者とはいえ、信者を増やせば団体内での地位も上がるから、
それで布教を頑張ってる人も居るでしょ」などという具合に…。
しかし、晴佐久昌英司祭の熱意は、純粋だ。
私は強くそう感じた。
「自らが信じるもの、良いと思うもの、それを純粋に広めたい」
その熱意に感動あるのみだった。
それは「この世界の片隅に」に関わる人たちと共通する熱意だ。
呼応する熱意。
私は感激するのみだった。
そもそもシグニス・ジャパンとは…
TV・ラジオ、インターネットなど様々なメディアを通して福音を宣べ伝える
存在で。聖職者、信者、求道者が連携して活動している団体との事。
まさに、あらゆるツールを駆使して「信じるものを広めたい」人々だ。
まぁ、何かにつけ映画の要素をカトリックにこじ付け様とする晴佐久司祭
様からは、逆に俗っぽささえ感じたのだが。
※スミマセン!!
でも、その時の笑顔が、モンティ・パイソンで「ニック、ニック」する
エリック・アイドルっぽかったんですもの!
しかし、それはまた純粋無垢な俗っぽさとも感じられたのです…。
普段、晴佐久司祭が御自身のツイッターで語られる内容は、まさに聖職者の
ものだ。主の教えを説く、司祭様そのものだ。
カトリック映画祭という聖なる場。そこに俗な私が潜り込んだワケですが。
俗さえ受け入れて、さらに感動させる「空間」。
…もう、感じ入るのみでした。
晴佐久司祭から「今日、監督に来て頂けて良かった。お忙しい方だから…」
「皆さんも良かったですね。お話が聞けて!」の言葉あり。
実はチラシに「トークイベントあり」とは書いてあるが、片渕監督の名前は
表記できないでいた…と。
※私は直前に晴佐久司祭の「福音の村」サイトで監督のお名前を確認し、
チケット購入を決意いたしました。
なお、片渕監督は対談冒頭で「何を置いてものつもりで参りました」
「このあと直ぐ舞台挨拶があって列車に乗ります」とコメント済みです。
とにかく。本当に来て良かったです。
主催の皆さま、片渕監督、ファンの皆様に感謝です。
本当に有り難うございました。
※今更ですが拙ブログのセリフなどの正確性は怪しいですので、誤りが
あったらスミマセン!
4月9日にテアトル新宿で行われた上映+トークイベントも濃厚で最高でしたが
http://blog.goo.ne.jp/aru-rodgers/e/1839ccf021e1490162d0af50ead9d70a
※雑多な昭和の考証に協力されたという、前野秀俊さんが登場、ざっくばらん
にしてマニアックな会話で終わった回!
同席した作画監督の松原秀典さんが「もう時間切れ!?ボク全然しゃべって
ないよ!」と絶叫した伝説の回。
今回のようなイベントも味わい深かったです。
自分とは違う世界の、普段体験できない濃密な時間。素晴らしかった。
また趣旨の違う上映会+トークイベントがあれば…
ぜひ行ってみたいと思います!
(終了)