'07/03/29の朝刊記事から
羽田空港発着 11万回増へ
新滑走路あす着工 国際線拡充に期待
羽田空港に4本目の滑走路を新設する建設工事が30日から始まる。
2009年末に予定した供用開始は、着工の遅れで10年10月末となる見込みだが、常に満杯状態の国内線発着枠が緩和され、国際定期便も就航する空港に変わる。
航空各社は最大の好機を手にしようと懸命で、国交省には効果を最大限に発揮する長期的な戦略が求められそうだ。
羽田空港には現在3本の滑走路があるが、航空会社の乗り入れ希望が多く、離着陸は常時混雑している。
需要の増大に対応するため、新滑走路の建設が02年に決定。
千葉県の漁協と行った漁業補償交渉が難航したため、工事の着手が遅れていたが、12日にようやく合意に達した。
新滑走路(D滑走路、2500メートル)は空港南東側の沖合いに埋め立て部と桟橋部を組み合わせて建設。
羽田の旅客便の年間発着回数は現在29万6千回だが、完成すると1.4倍の40万7千回に増える。
国交省は増加分の約11万回のうち8万回を国内線、3万回を国際線に当てる予定で経済波及効果を約1兆7千億円と試算している。
関係者が関心を強く示すのが国際線の就航範囲と回数だ。
国交省は過去の経緯から成田は国際線、羽田は国内線との方針を堅持し、羽田は成田の補完とする考え。
羽田の国際線は近距離路線とし、その範囲も羽田から最も遠い国内線の沖縄・石垣島まで半径約2千キロ圏内を目安としている。
想定ではソウルや上海が含まれ、香港や北京が入らない。
経済財政諮問会議の民間議員は27日、「アジアの主要都市に就航を」と要望。
中国の路線網を拡充する全日本空輸は都心に近い羽田の利便性が高いため、山元峯生社長も「国際線容量の拡大をお願いしたい」と発言している。
'07/03/29の朝刊記事から
靖国神社 戦犯合祀 国が積極関与
国会図書館資料公表 69年に「A級は可能」
国立国会図書館は28日、靖国神社に関する非公開資料などを「新編靖国神社問題資料集」にまとめ、国会に提出した。
この中で、戦犯合祀の決定過程における旧厚生省の積極的なかかわりが浮かび上がり、神社側がA級戦犯について、実際の合祀の9年前には「合祀可」との見解を文書に残していたことも分かった。
国会図書館は昨年1月から、国会議員らから資料要求が相次いだことを受け、靖国神社などからの収集に着手。
資料集は1200ページに及び、1800部を作製したが、一般販売はせず、5月の連休をめどに閲覧を始め、同図書館のホームページ(HP)にも公開する。
靖国神社は戦犯のうち、まずB、C級戦犯について1959年から合祀している。
非公開だった資料のうち、同神社作成の「合祀基準に関する打合会」によると、58年4月9日、旧厚生省引揚援護局復員課職員と神社関係者が出席した打ち合わせの際、同課の事務官は「B級以下で個別審議して差し支へない程度でしかも目立たないように合祀しては如何」と発言。
これに対し、神社側は「総代会に相談してみる」と回答しており、旧厚生省が積極的にリードしていた。
靖国神社
明治維新後の1869年に設立された東京招魂社が前身で、10年後に靖国神社と改称、軍が所管した。
日本軍の戦死者らを「英霊」として祭る。
戦前は天皇が参拝し、国家神道の精神的支柱だった。
戦後の政教分離で宗教法人となった。
合祀者約250万人の大半は第二次世界大戦で死亡した軍人と軍属。
東条英機元首相ら東京裁判のA級戦犯14人が1978年に合祀された。
A級戦犯
第二次大戦後の1946年、連合国は極東国際軍事裁判(東京裁判)を開き「平和に対する罪」や「人道に対する罪」で重大戦争犯罪人(A級戦犯)として28人を起訴した。
48年11月に途中死亡者ら3人を除く被告全員が有罪判決を受けた。
東条英機元首相ら7人が絞首刑、木戸幸一元内大臣ら16人が終身禁固刑、重光葵元外相ら2人が有期の禁固刑だった。