'07/08/07の朝刊記事から
拿捕の富丸 返還請求棄却
国際海洋法裁 ロシアの判決追認
豊進丸乗組員は開放命令
【ウィーン6日石井群也】ドイツ・ハンブルクの国際海洋法裁判所は6日、ロシアの国境警備当局に昨年11月に拿捕された釧路市の漁船「第53富丸」の船体返還を求めた日本政府の訴えを棄却する判決を下した。
6月に拿捕された富山県の漁船「第88豊進丸」の乗組員17人の解放などを求めた訴えについては、道内在住者を含む乗組員全員を即時無条件解放するとともに、ロシアが船体返還条件として示した保証金2200万ルーブル(約1億200万円)は合理的でないとして1000万ルーブル(同4600万円)に減額、ロシア側に保証金受け取り後に船体を返還するよう命じた。
裁判は一審制で、この日の判決で確定する。
ウォルフルム裁判長(ドイツ)は富丸に関する判決で、カムチャツカ州の裁判所が既に船体没収を命令していることに関連し「国連海洋法条約に基づけば、ロシア国内の裁判所が下した判決を否定できない。法的権限を犯すことになる」と述べ、船体返還などを求めた日本の主張は同裁判所で扱うべき案件ではないとした。
国際海洋法裁判所
略称はITLOS。
国連海洋法条約に基づき1996年に発足した常設の国際司法裁判機関。
本部はドイツ・ハンブルク。
同条約の基づき付託される紛争や申し立てを管轄する。
裁判官は全21人で、その中の1人は日本の柳井俊二前駐米大使。
過去に扱った日本関係の問題では、オーストラリア、ニュージーランド両国政府が、日本のミナミマグロ調査漁獲を即時中止させる暫定措置を求めた訴訟がある。